【FLT3陽性急性骨髄性白血病:二次治療(OS)】「ゾスパタ」vs「化学療法」

ADMIRAL(NEJM)                         

FLT3変異を有する急性骨髄性白血病と診断され、何らかの治療に難治性または再発した人が次の治療を考える場合、「ゾスパタ」治療を選択することで、生存期間の延長が期待できる。

完全または部分的な血液学的回復を伴う完全寛解が得られた患者の割合は、「ゾスパタ」治療を選択することで15.3%から34.0%に向上した。

ゾスパタ」治療を選択することでグレード3以上の有害事象と重篤な有害事象を経験するリスクの低下が期待できる。「ゾスパタ」治療を受けた人でとくに頻度が高かったグレード 3 以上の有害事象は、発熱性好中球減少症(45.9%)、貧血(40.7%)、血小板減少症(22.8%)であった。

2018年3月23日、本試験の結果などを基に 「ゾスパタ」は、「成人の再発・難治FLT3 遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病」を対象に、製造販売承認申請が行われ、同年9月21日、承認された。

【発表】

2019年10月31日

【試験名】

ADMIRAL(Phase 3)〔NCT02421939

【原著】

N Engl J Med. 2019;381:1728-1740. [PubMed: 31665578]

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【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

国際共同第Ⅲ相試験において、初回再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性a)の急性骨髄性白血病患者(FLT3-ITD変異b)、FLT3-TKD変異c)又はFLT3-ITD変異及びFLT3-TKD変異)371例d)(本剤群247例、化学療法群e)124例)(日本人48例[本剤群33例、化学療法群15例])を対象に、化学療法e)を対照として本剤120mgを1日1回連日投与した際の有効性及び安全性を検討した。

主要評価項目の1つである、第1回中間解析における本剤群(解析対象例数:142例、日本人18例を含む)のCRf)又はCRhg)率は、28.2%(40/142例、95%信頼区間:20.9%~36.3%[CR率:19.0%(27/142例)、CRh率:9.2%(13/142例)])であった。なお、化学療法群(解析対象例数:73例、日本人4例を含む)のCR又はCRh率は、13.7%(10/73例、95%信頼区間:6.8%~23.8%[CR率:9.6%(7/73例)、CRh率:4.1%(3/73例)])であった(データカットオフ:2017年8月4日)。

もう1つの主要評価項目である、OS(全生存期間)の最終解析(解析イベント数261イベント)の結果は以下の表のとおりであり、本剤群のOSの中央値は化学療法群と比較して長かった。

本剤を投与された246例(日本人33例を含む)中206例(83.7%)に副作用が認められた。主な副作用はALT増加(29.7%)、AST増加(28.0%)、貧血(23.2%)及び発熱性好中球減少症(15.9%)等であった(データカットオフ:2018年9月17日)。

a)FLT3遺伝子変異検査にはリューコストラットCDx FLT3変異検査が使用された。
リューコストラットCDx FLT3変異検査はコンパニオン診断薬として製造販売承認されている。

b)FLT3-ITD変異:内部縦列重複変異

c)FLT3-TKD変異:D835又はI836のチロシンキナーゼドメイン変異

d)無作為化された患者

e)「低用量シタラビン」、「アザシチジン」、「ミトキサントロンエトポシドシタラビン(MEC)」又は「顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)+フルダラビンシタラビンイダルビシン(FLAG-IDA)」から選択

f)CRは、骨髄の正常造血細胞が再生し、形態学的に白血病細胞が認められず、骨髄中の芽球数が5%未満、好中球絶対数が1.0×109/L以上、かつ血小板数が100×109/L以上であり、赤血球及び血小板輸血を行っておらず、髄外性白血病が認められていない状態。

g)CRhは、骨髄中の芽球数が5%未満、好中球絶対数が0.5×109/L以上、かつ血小板数が50×109/L以上であり、髄外性白血病が認められていない状態。