【乳がん:術後治療】「加速乳房部分照射」vs「全乳房照射」

リンパ節転移陰性の人は乳房温存術後の放射線療法を考える場合、「加速乳房部分照射」を選択しても、「全乳房照射」に劣らない同側乳房内再発率が期待できる。

「加速乳房部分照射」を選択することで、照射開始3ヵ月以内のグレード2以上の放射線毒性の低減が期待できる。試験では「全乳房照射」を受けた人の45%が経験したのに対し、「加速乳房部分照射」を受けた人のうち経験した人は28%であった(p<0.0001)。

「加速乳房部分照射」を選択することで、照射開始3ヵ月以降のグレード2以上の放射線毒性の低減も期待できる。試験では「全乳房照射」を受けた人の32%が経験したのに対し、「加速乳房部分照射」を受けた人のうち経験した人は13%であった(p<0.0001)。

本試験が発表される前に改訂された『乳癌診療ガイドライン(2018年版 Ver.2)』の「CQ3. 照射法として加速乳房部分照射(APBI)は勧められるか?」においては「長期のエビデンスがまだ十分ではなく、行わないことを弱く推奨する。」「標準治療としては全乳房照射が勧められ、APBIを行う際には臨床試験の枠組み内で行うべきである。また、わが国にAPBIを導入するにあたっては、欧米の患者との体格や乳房サイズの差による技術的な問題についてのさらなる検討も必要である。」としている。

【発表】

2019年12月5日

【試験名】

RAPID(Phase 3)〔NCT00282035

【原著】

Lancet. 2019; 394: 2165-2172. [PubMed: 31813635]

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