【肝細胞がん:一次治療(PFS、OS)】「テセントリク+アバスチン」vs「ネクサバール」

IMbrave150(NEJM)                        

切除不能な肝細胞がんと診断された人が初めての全身治療を考える場合、「テセントリクアバスチン」治療を選択することで、「ネクサバール」治療を選択した場合を上回る生存期間および無増悪生存期間が期待できる。1年生存率は「テセントリクアバスチン」治療で67.2%と、「ネクサバール」治療の54.6%を上回った。

テセントリクアバスチン」治療を受けた27.3%の人が治療に奏効した。「ネクサバール」治療を受けた人の奏効率は11.9%であった。

テセントリクアバスチン」治療を受けた56.5%の人がグレード3または4の有害事象を経験した。「テセントリクアバスチン」治療の主なグレード3または4有害事象は高血圧(15.2%)。一方、「ネクサバール」治療を55.1%の人がグレード3または4の有害事象を経験した。

本試験の結果を受けて、2020年2月14日「切除不能な肝細胞癌」を効能・効果として承認申請され、同年9月25日承認された。

【発表】

2020年5月14日

【試験名】

IMbrave150(Phase 3)〔NCT03434379/jRCT2080223820

【試験参加国】

日本(千葉大学医学部附属病院、国立がん研究センター東病院、久留米大学病院、JA北海道札幌厚生病院、北海道大学病院、金沢大学附属病院、北里大学病院、熊本大学医学部附属病院、大阪公立大学医学部附属病院、近畿大学病院、佐賀県医療センター好生館、静岡がんセンター、武蔵野赤十字病院)、米国、オーストラリア、カナダ、中国、チェコ、フランス、ドイツ、香港、イタリア、韓国、ポーランド、ロシア、シンガポール、スペイン、台湾、英国

【原著】

N Engl J Med 2020; 382:1894-1905. [PubMed: 32402160]

【さらに詳しく】

【こちらの図鑑も合わせて見る】

【トライアル図鑑】IMbrave150(肝細胞がん)
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【添付文書における表記】

テセントリク

全身化学療法歴のないChild-Pugh分類Aの切除不能な肝細胞癌患者注13)501例(日本人61例を含む)を対象に、本剤1200mgとベバシズマブ(遺伝子組換え)(本剤併用群、336例)の併用投与の有効性及び安全性を、ソラフェニブ(対照群、165例)と比較する第Ⅲ相ランダム化試験を実施した注14)。中間解析の結果、501例(日本人61例を含む)のITT集団において、本剤併用群で対照群と比較して、主要評価項目の一つである全生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]0.58[0.42, 0.79]、P=0.0006[層別log-rank検定]、有意水準両側0.0033)、中央値[95%信頼区間]は本剤併用群で中央値未達[推定不能]、対照群で13.2[10.4, 推定不能]カ月であった。もう一つの主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]0.59[0.47, 0.76]、P<0.0001[層別log-rank検定]、有意水準両側0.002)、中央値[95%信頼区間]は本剤併用群で6.8[5.7, 8.3]カ月、対照群で4.3[4.0, 5.6]カ月であった。また、日本人患者(本剤併用群35例、対照群26例)におけるITT集団の全生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤併用群で中央値未達[推定不能]、対照群で14.9[推定不能]カ月であり(ハザード比[95%信頼区間]:1.71[0.50, 5.84])、無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤併用群で中央値未達[6.4, 推定不能]カ月、対照群で7.7[4.2, 12.7]カ月であった(ハザード比[95%信頼区間]:0.85[0.39, 1.86])。

本剤とベバシズマブ(遺伝子組換え)が投与された329例(日本人35例を含む)において276例(83.9%)に副作用が認められた。主な副作用(10%以上)は、高血圧78例(23.7%)、蛋白尿62例(18.8%)、疲労50例(15.2%)、AST増加46例(14.0%)、そう痒症43例(13.1%)、注入に伴う反応36例(10.9%)、下痢34例(10.3%)、ALT増加34例(10.3%)、食欲減退33例(10.0%)等であった。

注13)局所療法(経皮的エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法、放射線療法等)の適応となる患者は除外された。

注14)本剤併用群では本剤1200mg及びベバシズマブ(遺伝子組換え)15mg/kgを3週間間隔で投与し、対照群ではソラフェニブ400mgを1日2回投与した。

 

アバスチン

全身化学療法歴のないChild-Pugh分類Aの切除不能な肝細胞癌患者注25)501例(日本人61例を含む)を対象に、本剤15mg/kgとアテゾリズマブ(遺伝子組換え)(本剤併用群、336例)の併用投与の有効性及び安全性を、ソラフェニブ(対照群、165例)と比較する第Ⅲ相ランダム化試験を実施した注26)。中間解析の結果、501例(日本人61例を含む)のITT集団において、本剤併用群で対照群と比較して、主要評価項目の一つである全生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]0.58[0.42, 0.79]、P=0.0006[層別log-rank検定]、有意水準両側0.0033)、中央値[95%信頼区間]は本剤併用群で中央値未達[推定不能]、対照群で13.2[10.4, 推定不能]カ月であった。もう一つの主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]0.59[0.47, 0.76]、P<0.0001[層別log-rank検定]、有意水準両側0.002)、中央値[95%信頼区間]は本剤併用群で6.8[5.7, 8.3]カ月、対照群で4.3[4.0, 5.6]カ月であった。また、日本人患者(本剤併用群35例、対照群26例)におけるITT 集団の全生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤併用群で中央値未達[推定不能]、対照群で14.9[推定不能]カ月であり(ハザード比[95%信頼区間]:1.71[0.50, 5.84])、無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤併用群で中央値未達[6.4, 推定不能]カ月、対照群で7.7[4.2, 12.7]カ月であった(ハザード比[95%信頼区間]:0.85[0.39, 1.86])。

本剤とアテゾリズマブ(遺伝子組換え)が投与された329例(日本人35例を含む)において276例(83.9%)に副作用が認められた。主な副作用(10%以上)は、高血圧78例(23.7%)、蛋白尿62例(18.8%)、疲労50例(15.2%)、AST増加46例(14.0%)、そう痒症43例(13.1%)、注入に伴う反応36例(10.9%)、下痢34例(10.3%)、ALT増加34例(10.3%)、食欲減退33例(10.0%)等であった。

注25)局所療法(経皮的エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法、放射線療法等)の適応となる患者は除外された。

注26)本剤併用群では本剤15mg/kg及びアテゾリズマブ(遺伝子組換え)1200mgを3週間間隔で投与し、対照群ではソラフェニブ400mgを1日2回投与した。