【ホジキンリンパ腫:一次治療(2年PFS)】「アドセトリス+AVD」vs「ABVD」

ECHELON-1(NEJM)                        

初めての治療を考える場合、「AVD(ドキソルビシンビンブラスチンダカルバジン) 」療法に「アドセトリス」の上乗せを選択することで、「ABVDドキソルビシンブレオマイシンビンブラスチンダカルバジン)」療法を選択した場合を上回る2年無増悪生存率が期待できる。

好中球減少症は「アドセトリスAVD」療法を受けた58%に、ABVD療法を受けた45%に発現。末梢神経障害は「アドセトリスAVD」療法を受けた67%に、ABVD療法を受けた43%に発現。グレード3以上の肺毒性は「アドセトリスAVD」療法を受けた1%未満に、ABVD療法を受けた3%に発現。

本試験の結果に基づいて、2018年9月21日、「アドセトリス」の効能・効果が「CD30陽性のホジキンリンパ腫/再発または難治性の未分化大細胞リンパ腫」に拡大し、CD30陽性のホジキンリンパ腫に対して1次治療が可能となった。

【発表】

2017年12月10日

【試験名】

ECHELON-1(Phase 3)〔NCT017124902011-005450-60

【原著】

N Engl J Med 2018; 378:331-344. [PubMed: 29224502]

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【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

未治療の進行期(Ann Arbor分類Ⅲ又はⅣ期)古典的ホジキンリンパ腫患者1,334例(日本人患者23例を含む。本剤+AVD投与群注1)664例、ABVD投与群注2)670例)を対象に、ABVD投与を対照として本剤+AVD投与の有効性及び安全性を評価した。
主要評価項目である修正無増悪生存期間(mPFS)注3)は盲検下にて中央判定委員会により評価(中央判定)され、ABVD投与群に対する本剤+AVD投与群の優越性が検証された(2017年4月20日データカットオフ)。

国際共同第Ⅲ相試験成績(中央判定)

 

本剤+AVD投与群注1)
(n=664)

ABVD投与群注2)
(n=670)

mPFSイベント数(件)

117

146

ハザード比(95%信頼区間) 注4)

0.770(0.603, 0.983)

p値注5)

0.035

mPFSの中央値(月)
(95%信頼区間)

NE注6)
(48.2, NE)

NE
(NE, NE)

注1) 本剤+AVD投与:4週間を1サイクルとし、各サイクルの1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩25 mg/m2、ビンブラスチン硫酸塩6 mg/m2、ダカルバジン375 mg/m2、本剤1.2 mg/kgの順に静脈内投与した。これを最大6サイクルまで繰り返した。

注2) ABVD投与:4週間を1サイクルとし、各サイクルの1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩25 mg/m2、ブレオマイシン塩酸塩10単位/m2、ビンブラスチン硫酸塩6 mg/m2、ダカルバジン375 mg/m2の順に静脈内投与した。これを最大6サイクルまで繰り返した。

注3) イベントに該当する事象として、病勢の進行及び死亡に加え、フロントライン治療終了時点で中央判定委員会により完全寛解と評価されず抗がん化学療法又は放射線療法を受けた場合も含めてmPFSと定義した。

注4) 無作為化の層別因子による層別Cox回帰モデル

注5) 無作為化の層別因子による層別ログランク検定、有意水準両側0.05

注6) NE:Not Estimable(推定不能)

副作用発現頻度は、本剤+AVD投与群で97%〔641/662例(日本人10例含む)〕及びABVD投与群で94%〔617/659例(日本人13例含む)〕であった。主な副作用は、好中球減少症〔本剤+AVD投与群55%(366例)、ABVD投与群41%(270例)、以下同順〕、悪心〔48%(319例)、52%(342例)〕、便秘〔33%(216例)、25%(168例)〕、嘔吐〔27%(182例)、24%(156例)〕、末梢性感覚ニューロパチー〔27%(180例)、16%(107例)〕、疲労〔26%(169例)、27%(178例)〕、末梢性ニューロパチー〔25%(163例)、11%(73例)〕、脱毛症〔24%(159例)、20%(135例)〕及び発熱性好中球減少症〔18%(120例)、7%(46例)〕であった。