【非転移性去勢抵抗性前立腺がん:一次治療(MFS)】「アーリーダ+アンドロゲン除去療法」vs「アンドロゲン除去療法」

SPARTAN(NEJM)                         

転移のない人で、アンドロゲン除去療法中の10ヵ月以内にPSAが倍化した後の治療を考える場合、「アンドロゲン除去療法」に「アーリーダ」の上乗せを選択することで、遠隔転移がなく生活できる期間の延長が期待できる。

アーリーダ」治療を受けた人の10.6%が有害事象のため治療を継続できなかった(vs 7.0%)。「アーリーダ」治療を選択することで、皮疹、甲状腺機能低下症、骨折を経験する可能性が高くなる。試験では23.8%の人が皮疹(vs 5.5%)、8.1%の人が甲状腺機能低下症(vs 2.0%)、11.7%の人が 骨折(vs 6.5%)を経験した。

この結果に基づいて、日本では2018年3月28日、「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果として承認申請され、翌年3月26日承認され、5月30日より発売された。

【発表】

2018年2月8日

【試験名】

SPARTAN(Phase 3)〔NCT01946204

【原著】

N Engl J Med 2018; 378:1408-1418. [PubMed: 29420164]

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【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

前立腺特異抗原(PSA)倍加時間が10ヵ月以下注1)の遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌注2)患者を対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)の併用下で、本剤とプラセボを比較することを目的とした二重盲検ランダム化試験が実施された(有効性解析対象例1207例、日本人55例)。本剤群では本剤240mgを1日1回連日経口投与した。主要評価項目は無転移生存期間(MFS)と設定された。MFSの最終解析(解析イベント数419)の結果、中央値は、本剤群40.51ヵ月、プラセボ群15.70ヵ月で、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比:0.297、95%信頼区間:0.244~0.362、層別log-rank検定:p<0.0001)。

注1)ADTが行われている間にPSA値を少なくとも3回測定することとされ、PSA値の倍加時間が10ヵ月以下と算出された患者が組み入れられた。

注2)①血清テストステロン値が50ng/dL未満、②PSA値が2.0ng/mL超、及び③1週間以上の測定間隔でPSA値の上昇が3回認められた去勢抵抗性前立腺癌患者が組み入れられた。なお、腸骨分岐部下の2cm未満の骨盤内リンパ節転移を有する患者は組入れ可能とされた。

本剤が投与された安全性評価対象例803例(日本人34例を含む)中565例(70.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、疲労181例(22.5%)、皮疹123例(15.3%)、甲状腺機能低下症38例(4.7%)、そう痒症33例(4.1%)、体重減少27例(3.4%)であった。