【大腸がん:二次治療(OS)】「アービタックス+イリノテカン」vs「イリノテカン」

EPIC(JCO)                            

遠隔転移を有し、EGFR発現が確認された大腸がんと診断され、フッ化ピリミジン系薬剤、オキサリプラチンを含む化学療法が無効となった人が次の治療を考える場合、「イリノテカン」治療に「アービタックス」の上乗せを選択しても生存期間の延長は期待しにくい。

アービタックス」の上乗せによって増加する有害事象は、痤瘡様皮疹、下痢、低マグネシウム血症、電解質異常。「アービタックス」上乗せによる重篤な有害事象は、好中球減少症。

【発表】

2008年4月7日

【試験名】

EPIC(Phase 3)

【原著】

J Clin Oncol. 2008;26:2311-9. [PubMed: 18390971]

【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

イリノテカン塩酸塩水和物の治療歴がなく、オキサリプラチン及びフッ化ピリミジン系薬剤を含む化学療法が無効となったEGFR発現が確認された結腸・直腸癌患者を対象とした本剤とイリノテカン塩酸塩水和物併用4) 及びイリノテカン塩酸塩水和物単独5) を比較した試験の成績は次のとおりである。また、レトロスペクティブにKRAS遺伝子変異2) の有無によって層別した成績は次のとおりである(評価可能例:300例)。

対象

全症例
(1298例)

KRAS野生型
(192例)

KRAS変異型
(108例)

本剤及び
イリノテカン塩酸塩水和物併用
(648例)

本剤及び
イリノテカン塩酸塩水和物併用
(97例)

本剤及び
イリノテカン塩酸塩水和物併用
(49例)

無増悪
生存期間中央値
(95%信頼区間)

3.98ヵ月
(3.15, 4.14)

2.56ヵ月
(2.14, 2.69)

3.98ヵ月
(2.79, 5.36)

2.79ヵ月
(2.37, 3.25)

2.60ヵ月
(1.54, 3.58)

2.69ヵ月
(1.51, 2.79)

ハザード比
(95%信頼区間)

0.692
(0.617, 0.776)

0.773
(0.572, 1.044)

0.996
(0.668, 1.485)

P値

<0.0001

0.0954

0.9853

生存期間中央値
(95%信頼区間)

10.71ヵ月
(9.59, 11.30)

9.99ヵ月
(9.13, 11.33)

10.94ヵ月
(7.79, 13.24)

11.56ヵ月
(9.46, 18.63)

8.41ヵ月
(6.14, 11.01)

10.68ヵ月
(8.41, 13.96)

ハザード比
(95%信頼区間)

0.975
(0.854, 1.114)

1.285
(0.894, 1.846)

1.277
(0.813, 2.005)

P値

0.7115

0.1755

0.2874

4イリノテカン塩酸塩水和物は、前治療(イリノテカン塩酸塩水和物を含む化学療法)と同じスケジュールを選択
イリノテカン塩酸塩水和物の用法・用量6) :350mg/m2を3週間間隔で投与、180mg/m2を2週間間隔で投与、又は125mg/m2を1週間間隔で4回投与し、その後3週間休薬
5イリノテカン塩酸塩水和物の用法・用量6) :350mg/m2(3週間間隔)
6イリノテカン塩酸塩水和物の結腸・直腸癌(手術不能または再発)における国内承認用法・用量:
A法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、100mg/m2を1週間間隔で3~4回点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。
B法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、150mg/m2を2週間間隔で2~3回点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。なお、年齢、症状により適宜増減する。
安全性評価症例638例中、主な副作用は、下痢(4.7%)、嘔吐(2.5%)、発熱性好中球減少症(2.0%)、好中球減少症(1.4%)、過敏症(1.4%)、発熱(1.3%)、悪心(1.3%)であった。