【胃がん:一次治療(OS)】「エピルビシン+カペシタビン+オキサリプラチン」vs「エピルビシン+シスプラチン+5-FU」

REAL-2(NEJM)                         

進行胃食道がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「カペシタビンを含むレジメン」を選択しても「5-FUを含むレジメン」を選択した場合に劣らない生存期間が期待でき、「オキサリプラチンを含むレジメン」を選択しても「シスプラチンを含むレジメン」を選択した場合に劣らない生存期間が期待できる。

また、「エピルビシンオキサリプラチンカペシタビン」治療を選択することで、「エピルビシンシスプラチン5-FU」治療を選択した場合を上回る生存期間が期待できる(HR 0.80(0.66-0.97) p=0.02)。「エピルビシンシスプラチンカペシタビン」治療(HR 0.92(0.76-1.11) p=0.39)、「エピルビシンオキサリプラチン5-FU」治療(HR 0.96(0.79-1.15) p=0.61)を選択しても「エピルビシンシスプラチン5-FU」治療を選択した場合を上回る生存期間が期待しにくい。無増悪生存期間については4つのレジメンのいずれを選択しても差がない。

カペシタビン」と「5-FU」の毒性は同程度。Grade 3以上の有害事象について、「オキサリプラチン」は「シスプラチン」に比べ「好中球減少」「脱毛」「腎毒性」「血栓塞栓症」の発生率が低いが、「下痢」と「神経障害」の発生率は高い。

この試験が発表当時は、日本において「カペシタビン」も「オキサリプラチン」も胃癌に対して承認されていなかった。「カペシタビン」が「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」の承認を取得したのは2011年2月23日のこと。

オキサリプラチン」については、「シスプラチン」に対する非劣性がこの試験から示された結果、日本胃癌学会は「オキサリプラチン」の切除不能進行・再発胃がんに対する適応拡大について要望を出し、2014年9月に保険適用となった。同年10月に公知申請され、2015年3月20日に承認された。日本胃癌学会は2015年5月、日本胃癌学会ガイドライン委員会のコメントを発表し、CAPOX療法(カペシタビンオキサリプラチン)を「推奨度2」としている。「オキサリプラチン」の場合、輸液の持続静注は不要なため、外来での投与が可能で、3週に1回、外来に通院すればよい(「シスプラチン」の場合、5週に1回1週間の入院を要する)。

【発表】

2008年1月3日

【試験名】

REAL-2

【原著】

N Engl J Med. 2008;358:36-46. [PubMed: 18172173]

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