【腎細胞がん:二次治療(PFS)】「ネクサバール」vs「プラセボ」

TARGET(NEJM)                      

進行淡明細胞型腎細胞がんと診断され、一次治療後に進行した人が次の治療を考える場合、「ネクサバール」治療を選択することで無増悪生存期間の延長が期待できる。

ネクサバール」治療を受けた10%の人が治療に奏効した(p<0.001)。「ネクサバール」治療の主な有害事象は、下痢、発疹、倦怠感、手足症候群。

本試験成績に基づき、米国では2005 年7月に承認申請が行われ、2005年12月に承認された。日本では、本試験および国内Phase2試験に基いて、2006年6月に承認申請が行われ、2008年1月25日に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効果として 承認された。

【発表】

2007年1月11日

【試験名】

TARGET(Phase 3)〔NCT00073307

【試験参加国】

米国、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、オランダ、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、ウクライナ、英国

【原著】

N Engl J Med. 2007;356:125-34. [PubMed:17215530]

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【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

海外第Ⅲ相試験

全身投与による治療1レジメン(インターフェロンα、インターロイキン2等)の治療歴がある切除不能又は転移性腎細胞癌患者を対象として、プラセボ対照、無作為化、二重盲検により、全生存期間(OS)を主要評価項目、無増悪生存期間(PFS)、奏効率等を副次的評価項目とする試験を実施した。

有効性評価対象となったのは、769例(ソラフェニブ群384例、プラセボ群385例)であり、組織型分類では、ソラフェニブ群377例(98.2%)、プラセボ群380例(98.7%)が淡明細胞癌であった。Motzerリスク分類では、ソラフェニブ群の200例(52.1%)、プラセボ群の194例(50.4%)が低リスク患者であり、他は中等度リスク患者であった。有効性評価対象例において、PFSの中央値はプラセボ群で84日、ソラフェニブ群で168日であった。PFSに関する解析はMotzerリスク分類及び国による層別Log-rank検定により行い、その結果、ソラフェニブのPFSに対する効果は有意であった(p<0.000001)。ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.51(95%信頼区間:0.43~0.60)であった。また、OSについて、イベント(死亡)数が220にて中間解析を行った結果、層別Log-rank検定のp値は0.015であり、中間解析の有意水準として設定された0.0005には至らなかったものの、ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.71(95%信頼区間:0.54~0.94)であり、ソラフェニブ群ではプラセボ群に比して39%の延長を示した。

ソラフェニブ群の安全性評価対象384例中282例(73.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、皮疹120例(31.3%)、下痢116例(30.2%)、手足皮膚反応101例(26.3%)、脱毛87例(22.7%)であった。