【膠芽腫:一次治療(OS、PFS)】「テモダール+放射線療法」vs「放射線療法」

膠芽腫と診断された人(84%の人が腫瘍減量手術を施行)が初めての治療を考える場合、「1日 2Gyずつ、週5日、6週間の放射線療法」に加えて「テモダール」上乗せを選択することで、生存期間および無増悪生存期間の延長が期待できる。

2 年生存率は、「テモダール+放射線療法」を受けた人の 26.5%が2年以上生存したのに対し、「放射線療法」だけでは10.4%であった。

テモダール+放射線療法」を受けた人7%がグレード3または4の血液毒性を経験した。

テモダール」は、本試験の結果などに基づいて、2006年7月に悪性神経膠腫の適応で承認された。

【発表】

2005年5月10日

【試験】

P00458(Phase 3)

【原著】

N Engl J Med. 2005;352:987-96. [PubMed:15758009]

【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

放射線との併用療法での成績(海外第Ⅲ相臨床試験)

初発の膠芽腫と診断された患者573例を対象に、放射線単独療法を対照群(n=286、RT群)とし、本剤と局所放射線併用療法(n=287、RT+TMZ群)による初発時の膠芽腫患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(P00458試験)を実施した。局所放射線療法は1日1回2Gy週5日間の6週間照射とした。放射線照射時は本剤1日1回75mg/m2を6週間連日経口投与し(最長49日)、放射線療法終了後4週間の休薬期間を設けた。その後、第1クールでは本剤1回150mg/m2、第2クール以降は、100、150又は200mg/m2/日を1日1回5日間経口投与後、23日間休薬の計28日を1クールとし、6クール施行した。局所放射線療法との併用期間中はニューモシスチス肺炎に対する予防処置(ペンタミジンの吸入又はトリメトプリム・スルファメトキサゾール製剤の投与)を全例で実施し、リンパ球減少が認められた患者には、これが回復する(CTC Grade 1以下)まで予防処置を継続することとした。なお、局所放射線との併用前には、5-HT3受容体拮抗薬又はメトクロプラミドによる制吐予防療法が推奨された。また、本剤単独の投与中にも5-HT3受容体拮抗薬による制吐予防療法が必要とされた。その結果、本剤との併用群は放射線単独群に比べ、全生存期間(Overall Survival:OS)を有意に延長させた。中央値は本剤との併用群で14.6ヵ月、放射線単独群で12.1ヵ月であった(p<0.0001)。ハザード比は、放射線単独群に対して1.59(95%信頼区間=1.33~1.91)であり、2年生存率は本剤との併用群で26%、放射線単独群で10%であった。また、無増悪生存(PFS)期間の中央値は本剤との併用群で6.9ヵ月、放射線単独群で5.0ヵ月であった(p<0.0001)。安全性解析対象例288例中266例(92%)に有害事象2)が認められた。主な有害事象は、脱毛199例(69%)、疲労156例(54%)、悪心105例(36%)、嘔吐57例(20%)であった。また、併用後の単剤投与時224例において認められた有害事象は、疲労137例(61%)、脱毛124例(55%)、悪心110例(49%)、嘔吐66例(29%)、食欲不振61例(27%)、頭痛51例(23%)、便秘49例(22%)であった(承認時)。

放射線照射併用後の単剤投与時のみに認められ、他の単剤投与では認められなかった有害事象2),3)
発熱性好中球減少症、不安、情緒不安定、失語症、集中力障害、記憶障害、幻覚、神経疾患、ニューロパシー、知覚過敏、歩行異常、会話障害、クッシング様症状、体重増加、複視、視野欠損、眼痛、眼球乾燥、視力低下、難聴、耳痛、副鼻腔炎、聴覚障害、耳鳴、深部静脈血栓症、肺塞栓症、出血傾向、咳嗽、上気道感染、単純疱疹、インフルエンザ様症状、嚥下障害、口渇、腹部膨満、便失禁、胃腸障害、痔核、皮膚乾燥、色素沈着、多汗、背部痛、ミオパシー、関節痛、筋骨格痛、筋肉痛、筋脱力、尿失禁、排尿異常、月経異常、月経過多、乳房痛、腟出血、腟炎、アレルギー反応、放射線損傷、状態悪化、歯の障害

2) 本剤との因果関係に関わりなく発現した事象
3) 2例(1%)以上の発現が認められた有害事象