【膵がん:一次治療(OS)】「アブラキサン+ゲムシタビン」vs「ゲムシタビン」

MPACT(NEJM)                          

遠隔転移を有する膵腺がんと診断された人が初めての化学療法を考える場合、「ゲムシタビン」治療に「アブラキサン」の上乗せを選択することで、生存期間の延長が期待できる。

試験では「アブラキサンゲムシタビン」併用治療によって生存期間が6.7ヵ月から8.5ヵ月に延長、無増悪生存期間が3.7ヵ月から5.5ヵ月に延長。1 年生存率は22%から 35%に向上、2年生存率は4%から9%に向上。

アブラキサンゲムシタビン」併用治療によって奏効率の向上も期待できる。試験では7%から23%に向上。

主なグレード3以上の有害事象は、好中球減少症、倦怠感、末梢神経障害。試験では「アブラキサンゲムシタビン」治療を受けた人のそれぞれ38%(vs. 27%)、17%(vs. 7%)、17%(vs. 1%)に現れた。発熱性好中球減少症は3%(vs. 1%)の人に起こった。

この結果を受けて「アブラキサン」は、米国では2013年9月、欧州では2014年1月に転移性膵がんの一次治療薬として承認され、日本でも2014年12月18日、「治癒切除不能な膵がん」の効能が追加された。

【発表】

2013年10月16日

【試験名】

MPACT(Phase3)〔NCT00844649

【原著】

N Engl J Med. 2013;369:1691-703.  [PubMed:24131140]

【さらに詳しく】

【現在の治療選択肢】

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【添付文書における表記】

遠隔転移を有する膵癌患者の初回治療において、本剤とゲムシタビンの併用投与(A群:4週を1コースとして、本剤125mg/m2及びゲムシタビン1,000mg/m2を週1回(1、8及び15日目)投与し、4週目(22日目)を休薬)と、ゲムシタビン単独投与(B群:4週を1コースとして、ゲムシタビン1,000mg/m2を週1回(1、8及び15日目)投与し、4週目(22日目)を休薬(第1サイクルのみ22日目にも投与))6)を比較した試験結果は以下のとおりであった。

A群における副作用の発現率は95.7%(403/421例)であり、主な副作用は疲労226例(53.7%)、脱毛211例(50.1%)、悪心207例(49.2%)、末梢神経障害206例(48.9%)、貧血194例(46.1%)、好中球減少193例(45.8%)、下痢156例(37.1%)、血小板減少149例(35.4%)、末梢性浮腫141例(33.5%)、嘔吐133例(31.6%)であった。

6) 膵癌に対するゲムシタビンの承認用法及び用量は、ゲムシタビンとして1,000mg/m2を週1回3週投与し、1週間休薬である。