【BRAF陽性悪性黒色腫:一次治療(PFS)】「ゼルボラフ」vs「ダカルバジン」

BRIM-3(NEJM)                         

遠隔転移を有するBRAFV600E変異陽性の悪性黒色腫と診断された人が初めてのを考える場合、「ゼルボラフ」治療を選択することで、「ダカルバジン」治療を選択した場合を上回る無増悪生存期間と生存期間が期待できる。

ゼルボラフ」治療の主な有害事象は、関節痛、発疹、疲労、脱毛、角化細胞種/扁平上皮がん、光線過敏症、悪心、下痢。

本試験などの結果に基づき、 2011年4月に米国における承認申請が行われ、2011年8月に「BRAF V600E 変異を有する治癒切除不能又は再発悪性黒色腫」に対する治療薬として「ゼルボラフ」が承認された。また欧州では2012年2月に「BRAF V600 変異を有する治癒切除不能又は再発悪性黒色腫に対する治療薬として承認された。日本では、2014年4月9日に承認申請が行われ、2014年12月16日、「BRAF 遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」の効能・効果 で承認され、2015年2月26日以来、中外製薬から発売されている。

【発表】

2011年6月5日

【試験名】

BRIM-3(Phase 3)〔NCT01006980

【原著】

N Engl J Med. 2011;364:2507-16. [PubMed: 21639808]

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【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

化学療法歴のないBRAF V600変異を有する注1)根治切除不能なⅢ期/Ⅳ期の悪性黒色腫患者675例を対象とし、ダカルバジン1000mg/m2を3週毎に投与注3)する群と本剤1回960mgを1日2回連日投与する群を比較した第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験の成績(2010年12月30日データカットオフ)を以下に示す。
OS解析において、ダカルバジン投与群に対する本剤投与群のハザード比は0.37(95%信頼区間:0.26–0.55)であり、Kaplan-Meier法で推定した中央値は、ダカルバジン投与群7.75カ月(95%信頼区間:6.28–10.28)、本剤投与群9.23カ月(95%信頼区間:8.05–未到達)と、統計学的に有意なOSの延長が確認された(非層別Log-rank検定、p<0.0001)。

また、PFS解析において、ダカルバジン投与群に対する本剤投与群のハザード比は0.26(95%信頼区間:0.20–0.33)であり、Kaplan-Meier法で推定した中央値はダカルバジン投与群1.61カ月(95%信頼区間:1.58–1.74)、本剤投与群5.32カ月(95%信頼区間:4.86–6.57)と、統計学的に有意なPFSの延長が確認された(非層別Log-rank検定、p<0.0001)。

注3)承認された用法・用量外である。

本剤投与群の安全性評価対象例337例中329例(97.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、発疹(湿疹、丘疹等)178例(52.8%)、関節痛162例(48.1%)、光線過敏症157例(46.6%)、脱毛症153例(45.4%)、疲労146例(43.3%)等であった(2012年2月1日 カットオフ)。