【HER2陽性乳がん:術後治療(3年iDFS)】「カドサイラ」vs「ハーセプチン」

KATHERINE(NEJM)                       

切除可能なHER2陽性早期乳がんと診断され、手術の結果、残存病変が確認された女性が術後治療を考える場合、「カドサイラ」治療を選択することで「ハーセプチン」治療を選択した場合を上回る3年無浸潤疾患生存率の向上が期待できる。

【発表】

2018年12月5日

【試験名】

KATHERINE(Phase 3)〔NCT01772472

【試験参加国】

米国、アルゼンチン、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、コロンビア、チェコ、フランス、ドイツ、ギリシャ、グアテマラ、香港、アイルランド、イスラエル、イタリア、メキシコ、パナマ、ペルー、セルビア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、トルコ、英国

【原著】

N Engl J Med 2019;380:617-28. [PubMed: 30516102]

【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

トラスツズマブ及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む術前薬物療法の施行後に病理学的完全奏効(pCR)注1)が認められなかったHER2陽性の乳癌の術後患者を対象に、トラスツズマブを対照群として、本剤3.6mg/kgを3週間間隔で740例に投与した注2)(有効性評価例は743例)。投与回数は最大14回とされ、本剤群において、有害事象により本剤の投与を中止した場合は、トラスツズマブに切り替えて合計14回まで継続することが可能とされていた。主要評価項目である浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)注3)の1回目の中間解析(256IDFSイベントが発生した時点)において、トラスツズマブ群に対する本剤群の優越性が検証された(ハザード比[95%信頼区間]:0.50[0.39, 0.64]、P<0.0001(非層別log-rank検定)、有意水準(両側)0.0120)。

本剤が投与された740例において、副作用が641例(86.6%)に認められた。主な副作用は、疲労268例(36.2%)、悪心255例(34.5%)、血小板数減少199例(26.9%)、AST増加186例(25.1%)、ALT増加154例(20.8%)等であった。

注1)術後の病理組織学的検査で、乳房内及び腋窩リンパ節に浸潤癌が認められないことと定義された。

注2)患者の状態に応じて、放射線療法又は内分泌療法を併用することが可能とされた。本剤群の 623/740例(84.2%)で放射線療法、525/740例(70.9%)で内分泌療法がそれぞれ併用されていた。

注3)ランダム化された日から、①同側の浸潤性乳癌の再発、②同側の局所領域(腋窩、所属リンパ節、胸壁又は皮膚)における浸潤性乳癌の再発、③遠隔再発、④対側乳房の浸潤性乳癌又は⑤あらゆる理由による死亡のいずれかが最初に認められた日までの期間と定義された。