【PD-L1陽性腎細胞がん:一次治療(PFS)】「バベンチオ+インライタ」vs「スーテント」

JAVELIN Renal 101(NEJM)                

PD-L1陽性細胞1%以上の進行淡明細胞型腎細胞がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「バベンチオインライタ」併用療法を選択することで、「スーテント」単独治療を選択した場合を上回る無増悪生存期間が期待できる。

PD-L1陽性細胞1%以上の人では、「バベンチオインライタ」併用療法を受けた人の55.2%で腫瘍が縮小した。「スーテント」単独治療を受けた人で単独治療を受けた人では腫瘍が縮小したのは25.5%であった。

バベンチオインライタ」併用療法を受けた71.2%の人がグレード3以上の有害事象を経験した。「スーテント」単独治療を受けた人ではにおける有害事象発症率は71.5%であった。

また、試験ではPD-L1陽性細胞1%未満の人を含めた全集団においても「バベンチオインライタ」併用療法を選択することで、「スーテント」単独治療を選択した場合を上回る無増悪生存期間が認められた(HR 0.69; 95% CI, 0.56 – 0.84; P<0.001)。

2019年1月30日、本試験結果に基づき、「バベンチオ」と「インライタ」の併用療法で腎細胞がんの一次治療の適応を取得する承認申請が行われ、同年12月20日、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」について承認された。

【発表】

2019年2月16日

【試験名】

JAVELIN Renal 101(Phase 3)〔NCT02684006

【試験参加国】

日本(名古屋大学医学部附属病院、弘前大学医学部附属病院、北海道大学病院、岩手医科大学附属病院、横浜市立大学医学部附属病院、近畿大学病院、大阪大学医学部附属病院、浜松大学医学部附属病院、慶応義塾大学病院、東京女子医科大学附属病院、秋田大学医学部附属病院、千葉県がんセンター、九州大学病院、新潟大学医歯学総合病院、徳島大学病院、山形大学医学部附属病院)、米国、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、韓国、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ルーマニア、ロシア、スペイン、スウェーデン、英国

【原著】

N Engl J Med 2019; 380:1103-15. [PubMed: 30779531]

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【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

化学療法歴のない、根治切除不能又は転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者886例(日本人患者67例を含む)を対象として、本剤(10mg/kgを2週間間隔で静脈内投与)とアキシチニブ(開始用量として1回5mgを1日2回経口投与)の併用投与とスニチニブ(50mg1日1回を4週間経口投与し、2週間休薬)の有効性及び安全性を比較することを目的とした、非盲検無作為化国際共同第Ⅲ相試験を実施した。主要評価項目はPD-L1陽性3)患者における無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)であり、副次評価項目としてPD-L1の発現を問わない全患者におけるPFS及びOSを評価した。事前に計画した中間解析(2018年6月20日データカットオフ)において、本剤とアキシチニブの併用投与はPD-L1陽性患者におけるPFS及びPD-L1の発現を問わない全患者におけるPFSのいずれについてもスニチニブに対して統計学的に有意な延長を示した。

3) 腫瘍組織における免疫細胞のPD-L1発現率1%以上

NE:推定不能

4) 独立効果判定に基づく

5) ECOG performance status(0、1)及び地域(米国、カナダ/西ヨーロッパ、その他の地域)による層別Cox比例ハザードモデル及び層別log-rank検定

本剤とアキシチニブの併用投与を受けた434例(日本人33例を含む)中414例(95.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢235例(54.1%)、高血圧208例(47.9%)、疲労156例(35.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群144例(33.2%)、発声障害116例(26.7%)、悪心107例(24.7%)、甲状腺機能低下症105例(24.2%)、口内炎96例(22.1%)、食欲減退86例(19.8%)であった。