【甲状腺がん】「ネクサバール」vs「プラセボ」

DECISION(Lancet)                        

放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんと診断された人が次の治療を考える場合、「ネクサバール」治療を選択することで、無増悪生存期間の延長が期待できる。

ネクサバール」治療の主な有害事象は、手足症候群(76.3%)、下痢(68.6%)、脱毛症(67.1%)、皮疹または落屑(50.2%)。

本試験の結果に基づき、「ネクサバール」は、米国では2013年6 月に承認申請が行われ、2013年11月に承認を取得。日本においては、本試験を評価資料 として、2013年9月に承認申請が行われ、2014年6月に「根治切除不能な分化型甲状腺癌」 に対する効能・効果が追加された。

【発表】

2014年4月24日

【試験名】

DECISION(Phase 3)〔EudraCT 2009-012007-25〕

【原著】

Lancet. 2014;384:319-28. [PubMed:24768112]

【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

本試験への組入れ前14ヵ月以内に病勢進行が確認された局所進行又は転移性の分化型甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌、Hürthle細胞癌、及び低分化癌)、未分化癌又は髄様癌の所見が認められない甲状腺癌の特殊型の患者で、かつ放射性ヨウ素治療抵抗性(標的病変にヨウ素の取り込みが認められない、放射性ヨウ素治療後も標的病変における病勢進行が認められる、又は累積線量で22.2Gbq(600mCi)以上の放射性ヨウ素治療を受けている)の患者を対象として、プラセボ対照、無作為化、二重盲検により、PFSを主要評価項目、OS、TTP等を副次評価項目とする試験を実施した。なお、適切な局所治療がなされていない気管、気管支、又は食道への出血の危険性を伴う腫瘍の浸潤を認める患者は除外された。

有効性評価対象となったのは、417例(ソラフェニブ群207例、プラセボ群210例)であり、日本人患者22例(ソラフェニブ群12例、プラセボ群10例)が含まれた。PFSの中央値はプラセボ群で175日、ソラフェニブ群で329日であり、プラセボ群と比較しソラフェニブ群で有意なPFSの延長が認められた(p<0.0001)。ハザード比(ソラフェニブ/プラセボ)は0.587(95%信頼区間:0.454~0.758)であった。

ソラフェニブ群の安全性評価対象207例中200例(96.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、手足皮膚反応157例(75.8%)、脱毛139例(67.1%)、下痢134例(64.7%)、皮疹/落屑99例(47.8%)、疲労89例(43.0%)、高血圧77例(37.2%)、体重減少75例(36.2%)、食欲不振60例(29.0%)、粘膜炎/口内炎44例(21.3%)であった。