【PD-L1強陽性肺がん:一次治療(OS)】「テセントリク」vs「化学療法」

IMpower110(NEJM)                        

PD-L1高発現の非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「テセントリク単剤治療」を選択することで、プラチナ製剤を含む化学療法を選択した場合に比べ、生存期間の延長が期待できる。

PD-L1の発現がTC(腫瘍細胞)50%以上またはIC(腫瘍浸潤免疫細胞)10%以上の場合「高発現」とされた。

テセントリク単剤治療」を受けた人のうち30.1%が、グレード3または4の有害事象を経験した。化学療法を受けた人では52.5%の人がグレード3または4の有害事象を経験した。

【発表】

2020年10月1日

【試験名】

IMpower110(Phase 3)〔NCT02409342/jRCT2080222849

【試験参加国】

日本(愛知県がんセンター、名古屋大学医学部附属病院、九州大学病院、神戸市立医療センター中央市民病院、兵庫県立がんセンター、茨城県立中央病院、仙台厚生病院、岡山大学病院、大阪国際がんセンター、関西医科大学附属病院、大阪はびきの医療センター、近畿中央呼吸器センター、埼玉県立がんセンター、国立がん研究センター中央病院、東京医科大学病院)、米国、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、韓国、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セルビア、スペイン、タイ、トルコ、ウクライナ、英国

【原著】

N Engl J Med 2020;383:1328-39.  [PubMed: 32997907]

【さらに詳しく】

【こちらの図鑑も合わせて見る】

【トライアル図鑑】IMpower110(PD-L1強陽性肺がん)
【試験名】 IMpower110(Phase 3)〔NCT02409342/jRCT2080222849〕 【試験開始日】 2015年7月1日 【試験終了予定日】 2021年12月31日 【試験参加国】 日本(愛知県がんセンター、名古屋大学医学部附属病院、九州大学病院、神戸市立医 ...
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IMpower110(J Thorac Oncol)                    PD-L1高発現の人が初めての治療を考える場合、「テセントリク単剤治療」を選択することで、生存期間の延長が期待できるが、中等度の人は「テセントリク単剤治療」を選択しても生存期間の延長は期待 ...

 

【添付文書における表記】

国際共同第Ⅲ相臨床試験(IMpower110試験)

化学療法歴のない注2)、PD-L1陽性(腫瘍細胞又は腫瘍浸潤免疫細胞におけるPD-L1発現率が1%以上)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者572例(日本人51例を含む)を対象に、本剤1200 mg(本剤群)の有効性及び安全性を、プラチナ製剤(シスプラチン又はカルボプラチン)及びペメトレキセド又はゲムシタビンの併用投与(化学療法群)と比較する第Ⅲ相試験を実施した。中間解析の結果、EGFR遺伝子変異陽性又はALK融合遺伝子陽性の患者を除く554例のITT-WT集団のうちTC3/IC3-WT注3)集団205例(日本人24例を含む)において、本剤群(107例)で化学療法群(98例)と比較して主要評価項目である全生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]0.595[0.398, 0.890]、P = 0.0106[層別log-rank検定]、有意水準両側0.0413)、中央値[95%信頼区間]は本剤群で20.2[16.5, 推定不能]カ月、化学療法群で13.1[7.4, 16.5]カ月であった。
本剤が投与された286例(日本人28例を含む)において173例(60.5%)に副作用が認められた。主な副作用(5%以上)は、疲労22例(7.7%)、無力症21例(7.3%)、悪心20例(7.0%)、食欲減退20例(7.0%)、甲状腺機能低下症19例(6.6%)、発疹19例(6.6%)、ALT増加18例(6.3%)、下痢17例(5.9%)等であった。

注2)EGFR遺伝子変異陽性又はALK融合遺伝子陽性の患者では、それぞれEGFR阻害作用又はALK阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤による治療歴がある患者が組み入れられた。
注3)腫瘍細胞又は腫瘍浸潤免疫細胞におけるPD-L1発現率がそれぞれ50%以上又は10%以上と判定された患者。