【肺がん(EGFR陽性):一次治療(1年PFS)】「イレッサ」vs「化学療法」

IPASS(NEJM)                          

喫煙歴がなく、EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「イレッサ」治療を選択することで「カルボプラチンパクリタキセル」治療を選択した場合を上回る1年無増悪生存率が期待できる。

この試験における重要な示唆は、EGFR遺伝子変異陽性の人では「イレッサ」治療の方が効果が期待でき、陰性の人では、化学療法の方が効果が期待できるということである。

イレッサ」治療によって高頻度にみられた有害事象は、発疹または痤瘡(66%)、下痢(47%)。「カルボプラチンパクリタキセル」併用療法によって高頻度にみられた有害事象は、神経毒性(70%)、好中球減少(67%)、脱毛(58%)。

この試験結果などを受けて、2011年11月25日、イレッサの効能・効果が「手術不能または再発非小細胞肺がん」から「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」に変更となった。また、この結果とINTEREST試験の結果に基いて、2009年7月1日、イレッサは欧州でも「局所進行または転移性非小細胞肺癌の成人患者で、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR-TK)遺伝子に変異を有する人々」という適応が承認された。

【発表】

2009年8月19日

【試験名】

IPASS(Phase 3)〔NCT00322452/jRCT2080220259

【試験参加国】

日本、中国、香港、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ

【原著】

N Engl J Med. 2009;361:947-57. [PubMed: 19692680]

【さらに詳しく】

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【添付文書における表記】

日本を含むアジアで実施した無作為化非盲検並行群間比較試験では、軽度の喫煙歴を有する又は非喫煙であり、かつ組織型が腺癌である、化学療法未治療の進行・再発非小細胞肺癌患者1217例(うち日本人233例)を対象に、本剤(250mg/日)と、カルボプラチンとパクリタキセルの併用化学療法が比較された。

なお、本試験は無増悪生存期間における非劣性検証を主要目的として実施された。

本剤投与群で安全性評価対象症例607例中538例(88.6%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹・ざ瘡394例(64.9%)、下痢254例(41.8%)、皮膚乾燥143例(23.6%)等であった。なお、急性肺障害・間質性肺炎は8例(1.3%)で、そのうち死亡例は3例であった。(効能・効果の一部変更承認時)