【急性骨髄性白血病:一次治療(OS)】「ビキセオス」vs「ダウノルビシン+シタラビン」

CLTR0310-301(JCO)                       

60〜75歳で高リスクの二次性急性骨髄性白血病と診断された人が初めての治療を考える場合、「ビキセオス」治療を選択することで「ダウノルビシンシタラビン」治療を選択した場合を上回る生存期間が期待できる。

ビキセオス」治療を受けた47.7%の人が寛解し、「ダウノルビシンシタラビン」治療を受けた人の33.3%より有意に多かった(p=0.016)。

本試験などの結果を受け、2024年3月26日、「高リスク急性骨髄性白血病」を効能・効果とし、承認された。

【発表】

2018年7月19日

【試験】

CLTR0310-301(Phase 3)〔NCT01696084

【試験参加国】

米国、カナダ

【原著】

J Clin Oncol. 2018 ;36:2684-2692. [PubMed: 30024784]

【さらに詳しく】

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【急性骨髄性白血病:一次治療(5年OS)】「ビキセオス」vs「ダウノルビシン+シタラビン」
CLTR0310-301(Lancet Haematol)                 60〜75歳で高リスクの二次性急性骨髄性白血病と診断された人が初めての治療を考える場合、「ビキセオス」治療を選択することで「ダウノルビシン+シタラビン」治療を選択した場合を上回る5年生存率 ...

 

このトライアルが科学的根拠となっているレジメンを見る

【レジメン図鑑】ビキセオス(急性骨髄性白血病)
「ビキセオス(開発コード:CPX-351、NS-87)」は、シタラビンとダウノルビシンを5:1のモル比で導入したリポソーム化製剤剤で、2024年3月26日に「高リスクの急性骨髄性白血病」を対象に承認された。本承認は国内Phase 1/2試験『NS87-P1-2』、 海外Phase ...

 

【添付文書における表記】

60~75歳の未治療の高リスクAML患者1)を対象に、本剤の有効性と安全性をシタラビンとダウノルビシンの併用療法(7+3療法)3)と比較するランダム化比較試験を実施した。本剤の用法・用量は、NS87-P1-2試験と同一であった。153例が本剤群に、156例が7+3療法群に割り付けられた。
主要評価項目である全生存期間(OS)について、死亡例が236例に達した段階でのOS中央値は、本剤群9.56ヵ月、7+3療法群5.95ヵ月であった。ハザード比(95%信頼区間)は0.69(0.52, 0.90)で、7+3療法群と比較して、本剤群で統計学的に有意なOSの延長が認められた(片側P=0.003、層別Log rank検定)。

副作用発現頻度は95.4%(146/153例)であった。主な副作用は、発熱性好中球減少症60.1%(92/153例)、悪心42.5%(65/153例)、下痢32.7%(50/153例)、疲労28.8%(44/153例)、鼻出血24.2%(37/153例)、食欲減退22.9%(35/153例)、嘔吐20.9%(32/153例)、発疹20.9%(32/153例)であった。

1) 高リスクAML患者の定義は、WHO分類(2008年版又は2017年版)におけるAMLのうち以下のいずれかに該当する患者とする。
・治療関連AML
・骨髄異形成症候群(MDS)の既往があるAML(以下の①~③のいずれかに該当する患者)
①過去にMDSと診断されたことがある患者
②1系統以上に10%以上の異形成、又は10%以上の巨核球系異形成がある患者
③いずれの系統でも異形成が10%未満であるが、MDSに特徴的なクローナルな細胞遺伝学的異常を有する患者
・骨髄異形成関連変化を伴うAML(AML-MRC)と診断できる細胞遺伝学的異常を有するAML
・慢性骨髄単球性白血病(CMML)の既往があるAML

2) CR:骨髄芽球<5%、アウエル(Auer)小体陽性芽球なし、髄外白血病なし、好中球数≧1000/μL、血小板数≧10×104/μL、赤血球輸血非依存
CRi:骨髄芽球<5%、Auer小体陽性芽球なし、髄外白血病なし、好中球数<1000/μL又は血小板数<10×104/μL、赤血球輸血非依存

3) 7+3療法の用法及び用量は、次に示すとおりである。
寛解導入療法として、1サイクルの1~7日目にシタラビン100mg/m2を7日間持続静注し、ダウノルビシン60mg/m2を1~3日目に15分かけて点滴静注した。1サイクル目に寛解に到達しなかった患者で、本剤への忍容性が良好な場合には寛解導入療法の2サイクル目としてシタラビン100mg/m2を5日間持続静注し、ダウノルビシン60mg/m2を1、2日目に15分かけて点滴静注することを可能とした。寛解導入療法により寛解2)(CR又はCRi)に到達した患者には、地固め療法として、シタラビン100mg/m2を5日間持続静注し、ダウノルビシン60mg/m2を1、2日目に15分かけて点滴静注した(最大2サイクル)。