1. 治療レジメン
結腸がんの術後補助化学療法は、再発リスクを低減し生存率を改善する目的で行われる。Stage IIIではCAPOX療法やFOLFOX療法が標準治療とされているが、SOX療法は有用性が示されていない。日本で実施された無作為化比較試験『ACIEVE』の結果によると、CAPOX療法(6ヵ月投与)による3年無病生存率は80%、5年生存率は87%、FOLFOX療法(6ヵ月投与)による3年無病生存率は72%、5年生存率は85%であった。
FOLFOX療法への分子標的薬(アバスチン、アービタックス)の上乗せや、フルオロピリミジン系製剤へのイリノテカンの上乗せ(FOLFIRI、CAPIRI)の有用性は示されていない。
また、フルオロピリミジン系製剤単剤(カペシタビン、S-1、UFT+ロイコボリン)治療も標準治療とされている。
Stage IIでは、高リスク例に限って術後補助化学療法が検討される。
1-1. CAPOX
「CAPOX」レジメンは、2011年11月25日に「結腸がんにおける術後補助化学療法」に対しても承認された治療レジメンであり、推奨されているレジメンである。 結腸がんに対する術後補助化学療法における「CAPOX」レジメンの主な有害事象は、末梢神経症状例(69%)、貧血(69%)、 ...
NO16968 (JCO) Ⅲ期結腸がんと診断された人が手術後の補助化学療法の期間を考える場合、「カペシタビン+オキサリプラチン(CAPOX)」治療を選択することで「5-FU+ロイコボリン」治療を選択した場合を上回る3年無病生存率 ...
NO16968 (JCO) Ⅲ期結腸がんと診断された人が手術後の補助化学療法の期間を考える場合、「カペシタビン+オキサリプラチン(CAPOX)」治療を選択することで「5-FU+ロイコボリン」治療を選択した場合を上回る7年無病生存率 ...
1-2. FOLFOX
「FOLFOX」レジメンは、2009年8月20日に「結腸がんにおける術後補助化学療法」に対しても承認された治療レジメンであり、推奨されているレジメンである。 結腸がんに対する術後補助化学療法における「FOLFOX」レジメンの主な副作用は、末梢神経症状(92%)、好中球減少(79% ...
MOSAIC(JCO) ⅡまたはⅢ期結腸がんと診断された人が手術後の補助化学療法を考える場合、「5-FU+ロイコボリン(LV5FU2)」に「オキサリプラチン」の上乗せを選択することで5年無病生存率と6年生存率の向上が期待できる。 ...
ACHIEVE(JAMA Oncol) Ⅲ期結腸がんと診断された日本人がオキサリプラチンを含む術後補助化学療法の期間を考える場合、「3ヵ月」を選択することで、「6ヵ月」に比べ、3年無イベント生存率を低下させることなく、末梢神経障害の発現率 ...
ACHIEVE-2(Ann Oncol) Stage IIと診断された人が術後補助化学療法の期間を考える場合、「3ヵ月」を選択することで、「6ヵ月」に比べ、3年無イベント生存率を低下させることなく、3年間持続する末梢神経障害の発現率低下が ...
1-3. カペシタビン単剤治療
X-ACT(NEJM) Ⅲ期結腸がんと診断され、手術後の補助化学療法を考える場合、「経口カペシタビン」治療を選択しても、「5-FU+ロイコボリン(急速静注)」を選択した場合に劣らない3年無病生存率が期待できる。 この結果に基づい ...
X-ACT(Ann Oncol) Ⅲ期結腸がんと診断され、手術後の補助化学療法を考える場合、「経口カペシタビン」治療を選択しても、「5-FU+ロイコボリン(急速静注)」を選択した場合に劣らない5年無病生存率、5年生存率が期待できる。 ...
1-4. S-1単剤治療
ACTS-CC(Ann Oncol) Ⅲ期結腸がんと診断された人が手術後の補助化学療法のを考える場合、「S-1」治療を選択しても「UFT+ロイコボリン」治療を選択した場合に劣らない3年無病生存率が期待できる。 【発表】 2014年6月 ...
ACTS-CC(ESMO Open) Ⅲ期結腸がんと診断された人が手術後の補助化学療法のを考える場合、「S-1」治療を選択しても「UFT+ロイコボリン」治療を選択した場合に劣らない5年無病生存率が期待できる。 【発表】 2018年10月 ...
1-5. UFT+ロイコボリン
JCOG0205(Eur J Cancer) Ⅲ期大腸がんと診断された人が手術後の治療を考える場合、「UFT+ロイコボリン」治療を選択しても「5-FU+アイソボリン」治療を選択した場合に劣らない5年無病生存率が期待できる。 【発表】 201 ...
NSABP C-06(JCO) ⅡまたはⅢ期の結腸がんと診断された人が手術後の治療を考える場合、「UFT+ロイコボリン」治療を選択しても「5-FU+ロイコボリン」治療を選択した場合に劣らない5年無病生存率、5年生存率が期待できる。 ...
2. 治療期間
術後補助療法の治療期間は原則「6ヵ月」。治療期間として「3ヵ月投与」が「6ヵ月投与」に劣らないかについて検証したIDEA研究の結果、非劣性は示せず、従来と変わりなく「6ヵ月」が標準となった。しかし、CAPOX治療、特に再発低リスク例においては3ヵ月投与と同程度の再発抑制効果を示されている。

IDEA IDEA研究では、補助化学療法を3ヵ月に短縮しても6ヵ月と同等の効果(非劣性)があるかを検証するために、6つのPhase 3試験(TOSCA、SCOT、IDEA France、CALGB/SWOG 80702 ...
IDEA(NEJM) 術後補助化学療法の期間を考える場合、「3ヵ月間への短縮」を選択することで、「標準的な6ヵ月間」に比べ、3年無病生存率が低下する可能性が高い。 「CAPOX」を選択した場合やT1-3N1の人は「3ヵ月」でも ...
IDEA(Lancet Oncol) 「CAPOX」による術後補助化学療法の期間を考える場合、「3ヵ月」を選択しても「6ヵ月」を選択した場合に劣らない5年生存率が期待できる。 【発表】 2020年12月1日 【原著】 Lancet O ...
IDEA(JCO) 50歳未満で高リスクⅢ期大腸がんと診断された人は、治療アドヒアランスが良好で、治療強度が高いにも関わらず、再発リスクが高く、術後補助化学療法の期間として6ヵ月を選択しても3ヵ月を選択した場合を上回る3年無イ ...
3. 術後補助療法終了後の運動
術後補助療法終了後、「3年間の運動プログラム」を受けたグループで5年無病生存率、8年生存率が有意に高かった。「運動プログラム」ではメッツ値換算で10メッツ・時/週の増加を目標とされた。10メッツ・時/週の運動とは、速歩であれば、1日30分を週5回、ジョギングであれば1日30分を週3回となる。
CHALLENGE(NEJM) Ⅲ期または高リスクのⅡ期結腸がんと診断された人が手術後の標準的な補助化学療法を受けた後の治療を考える場合、「健康教育資料の提供」に「3年間の運動プログラム」が行われることで5年無病生存率、8年生存率の向 ...
4. 国内で現在開発中の治療
AZUR-2 dMMRまたはMSI-Hを有するT4N0またはⅢ期の切除可能な結腸がんと診断された人が手術前後の治療を考える場合、「手術前後のドスタルリマブ」治療を選択することで、「術後に化学療法(FOLFOXまたはCAP ...
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