【大腸がん(KRAS野生型):一次治療(OS)】「アービタックス+FOLFIRI」vs「FOLFIRI」

CRYSTAL(JCO)                          

遠隔転移を有する大腸がんと診断された人が初めての治療を考える場合、KRAS野生型かつBRAF野生型であった人では「FOLFIRI」治療に「アービタックス」の上乗せを選択することで無増悪生存期間の延長が期待できる。

【発表】

2011年4月18日

【試験名】

CRYSTAL(Phase 3)〔NCT00154102

【試験参加国】

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、チリ、チェコ、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、香港、ハンガリー、イタリア、韓国、メキシコ、オランダ、ポーランド、ルーマニア、ロシア、シンガポール、スロバキア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、台湾、トルコ、ウクライナ、英国

【原著】

J Clin Oncol. 2011 ;29:2011-9. [PubMed: 21502544]

【こちらの図鑑も合わせて見る】

【大腸がん:一次治療(PFS)】「アービタックス+FOLFIRI」vs「FOLFIRI」
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CRYSTAL(JCO)                           遠隔転移を有する大腸がんと診断された人が初めての治療を考える場合、KRASエクソン2野生型かつ他のRAS野生型であった人では「FOLFIRI」治療に「アービタックス」の上乗せを選択することで無増悪生存期 ...

 

【添付文書における表記】

化学療法の前治療歴のないEGFR発現が確認された結腸・直腸癌患者を対象とした本剤と5-FU・ホリナートカルシウム・イリノテカン塩酸塩水和物療法(FOLFIRI)併用1) 及びFOLFIRIを比較した第III相試験の成績は次のとおりである。また、レトロスペクティブにKRAS遺伝子変異2) の有無によって層別した成績は次のとおりである(評価可能例:1063例) 。

対象

全症例
(1198例)

KRAS野生型
(666例)

KRAS変異型
(397例)

本剤及び
FOLFIRI併用
(599例)

FOLFIRI
(599例)

本剤及び
FOLFIRI併用
(316例)

FOLFIRI
(350例)

本剤及び
FOLFIRI併用
(214例)

FOLFIRI
(183例)

無増悪
生存期間中央値
(95%信頼区間)

8.9ヵ月
(8.0, 9.5)

8.0ヵ月
(7.6, 9.0)

9.9ヵ月
(9.0, 11.3)

8.4ヵ月
(7.4, 9.2)

7.4ヵ月
(6.1, 8.0)

7.7ヵ月
(7.3, 9.2)

ハザード比
(95%信頼区間)

0.851
(0.726, 0.998)

0.696
(0.558, 0.867)

1.171
(0.887, 1.544)

P値

0.0479

0.0012

0.2648

生存期間中央値
(95%信頼区間)

19.9ヵ月
(18.5, 21.3)

18.6ヵ月
(16.6, 19.8)

23.5ヵ月
(21.2, 26.3)

20.0ヵ月
(17.4, 21.7)

16.2ヵ月
(14.9, 17.9)

16.7ヵ月
(14.9, 19.4)

ハザード比
(95%信頼区間)

0.878
(0.774, 0.995)

0.796
(0.670, 0.946)

1.035
(0.834, 1.284)

P値

0.0419

0.0093

0.7549

1FOLFIRIは以下のスケジュールで投与
イリノテカン塩酸塩水和物を180mg/m2、5-FUを400mg/m2(急速静脈内投与法)、2400mg/m2(46時間持続静脈内投与法)及びレボホリナートカルシウム200mg/m2又はホリナートカルシウム400mg/m2を2週間間隔で投与する。

2KRAS遺伝子コドン12及び13が検討された。

レトロスペクティブにRASKRAS又はNRAS)遺伝子変異3) の有無によって層別した成績は次のとおりである(評価可能例:827例)。

対象

RAS野生型
(367例)

RAS変異型
(460例)

本剤及び
FOLFIRI併用
(178例)

FOLFIRI
(189例)

本剤及び
FOLFIRI併用
(246例)

FOLFIRI
(214例)

無増悪
生存期間中央値
(95%信頼区間)

11.4ヵ月
(10.0, 14.6)

8.4ヵ月
(7.4, 9.4)

7.4ヵ月
(6.4, 8.0)

7.5ヵ月
(7.2, 8.5)

ハザード比
(95%信頼区間)

0.56
(0.41, 0.76)

1.10
(0.85, 1.42)

P値

0.0002

0.4696

生存期間中央値
(95%信頼区間)

28.4ヵ月
(24.7, 31.6)

20.2ヵ月
(17.0, 24.5)

16.4ヵ月
(14.9, 18.4)

17.7ヵ月
(15.4, 19.6)

ハザード比
(95%信頼区間)

0.69
(0.54, 0.88)

1.05
(0.86, 1.28)

P値

0.0024

0.6355

3KRAS遺伝子コドン12、13、59、61、117、146及びNRAS遺伝子コドン12、13、59、61、117、146の変異が検討された。
安全性評価症例600例中、主な副作用(30%以上に発現)は、下痢、悪心、好中球減少症、脱毛症、嘔吐及び発疹であった。