【高用量シスプラチンによる聴覚障害軽減】「シスプラチンを含む化学療法+DB-020」vs「シスプラチンを含む化学療法」

DB-020-002(JCO)                        

シスプラチン累積投与量280mg/m²以上を予定している人が聴覚障害の軽減を考える場合、「DB-020(チオ硫酸ナトリウム水和物)の鼓膜内注入」を選択することで聴覚障害発現の有意な軽減が期待できる。

診断されたがんの内訳は、扁桃がん:12名(54.5%)、舌扁平上皮がん:4名(18.2%)、中咽頭扁平上皮がん:2名(9.1%)、扁平上皮がん(部位不明記):2名、基底細胞がん:1名(4.5%)、肺がん:1名(4.5%)、悪性黒色腫:1名(4.5%)、口腔がん転移:1名(4.5%)、中咽頭がん:1名(4.5%)。

平均シスプラチン投与量は255 mg/m²、平均サイクル数2.3。

投与は局所(鼓室内)であり、全身への影響が少ない点が利点。最も多い有害事象は耳痛(82%)。ただし多くは注射後10分以内に消失。鼓膜穿孔や持続的な耳障害はなし。

血中チオ硫酸濃度や遊離シスプラチン濃度には影響せず、抗腫瘍効果を阻害しないことが示唆された。

【発表】

2025年5月22日

【試験】

DB-020-002(Phase 1b)〔NCT04262336

【試験参加国】

米国、オーストラリア

【原著】

J Clin Oncol. 2025 ;43:2155-2163. [PubMed: 40403227]