【標準治療】EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの二次治療

一次治療EGFR-TKI耐性または増悪後に二次治療として「化学療法+抗PD-(L)1抗体」併用療法を行うよう勧めるだけの根拠が明確ではないとされている。

1. テセントリク+カルボプラチン+パクリタキセル+アバスチン治療

EGFR-TKI耐性または増悪例に対する「抗PD-(L)1抗体」を含む治療に関する17の単群試験および15の無作為化比較試験のネットワークメタ解析の結果によると、「化学療法+抗PD-(L)1抗体+血管新生阻害薬」が最適な治療選択であることが確認されている。ペアワイズメタ解の結果によると、「化学療法+抗PD-(L)1抗体」治療を選択することによって、「化学療法」を選択した場合を上回る無増悪生存期間が期待できる。HR 0.54 (0.44-0.67)。

ネットワークメタ解析の結果によると、「化学療法+抗PD-(L)1抗体+血管新生阻害薬」治療を選択することによって、「化学療法+抗PD-(L)1抗体(HR 0.71(0.59-0.85))」、「化学療法(HR 0.30(0.22-0.41))」、「化学療法+血管新生阻害薬 HR 0.76(0.58-1.00)」、「抗PD-(L)1抗体単剤治療(HR 0.30(0.22-0.41))」を選択した場合を上回る無増悪生存期間が期待できる。

一方、「化学療法+抗PD-(L)1抗体+血管新生阻害薬」治療を選択することは、「化学療法+抗PD-(L)1抗体」、「化学療法」を選択した場合を上回るグレード1以上および3以上の有害事象を経験するリスクを高める。

この解析において、「化学療法+抗PD-(L)1抗体+血管新生阻害薬」として、日本で使用できる「カルボプラチンパクリタキセルテセントリクアバスチン」治療を評価した『ATTLAS』試験、『IMpower151』試験、『IMpower150』試験以外にも「ペメトレキセドシスプラチンシンチリマブベバシズマブ」療法を評価した『ORIENT-31』試験が含まれている。

【原著】Lancet Oncol. 2024 Aug 16. [PubMed: 39159630]

 

【レジメン図鑑】テセントリク+カルボプラチン +パクリタキセル+アバスチン(肺がん:一次治療)
「テセントリク(一般名=アテゾリズマブ)」は、2018年1月19日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(二次治療)」に対して承認された後、2018年12月21日には「カルボプラチン+パクリタキセル+アバスチン」との併用療法として「切除不能な進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺がん ...
【トライアル図鑑】IMpower150(肺がん)
【試験名】 IMpower150(Phase 3)〔NCT02366143/jRCT2080222890〕 【試験開始日】 2015年6月1日 【試験終了予定日】 2019年12月22日 【試験参加国】 米国、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルガ ...
【肺がん(EGFR陽性):二次治療(OS)】「テセントリク+アバスチン+化学療法」vs「アバスチン+化学療法」
IMpower150(J Thorac Oncol)                   非扁平上皮非小細胞肺がんと診断され、化学療法をまだ受けていないが、 EGFR-TKI阻害薬治療を受けたことがある人が次の治療を考える場合、「化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)+アバス ...
【肺がん(EGFR陽性):二次治療】「テセントリク+アバスチン+化学療法」vs「アバスチン+化学療法」
IMpower150(Lancet Respir Med)                 Del19またはL858R変異陽性の非扁平上皮非小細胞肺がんと診断され、化学療法をまだ受けていない人が次の治療を考える場合、「化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)+アバスチン」治療に ...

 

二次治療に不応・不耐となった場合の三次治療

【標準治療】非小細胞肺がんの二次治療
1. ドセタキセル単剤治療 「ドセタキセル」は、1996年10月、非小細胞肺がんおよび乳がんに対して承認され、1997年6月に「タキソテール」として発売された。その後、「ドセタキセル75mg/㎡」の用量の有効性および安全性が医学薬学上公知である判断され、2010年11月、非小細胞 ...

 

 

2. 化学療法+抗PD-(L)1抗体

これまでに「化学療法」への「抗PD-(L)1抗体」の上乗せによって無増悪生存期間の延長を示すことを証明できた臨床試験結果はない。

ペアワイズメタ解の結果によると、「化学療法+抗PD-(L)1抗体」治療を選択することによって、「化学療法」を選択した場合を上回る無増悪生存期間が期待できる(HR 0.77 (0.67-0.88))が、「化学療法+抗PD-(L)1抗体+血管新生阻害薬」治療を選択した場合を下回る可能性が高い。

「抗PD-(L)1抗体」単剤治療を選択することによって、「化学療法」を選択した場合に比べ、無増悪生存期間は短縮する(HR 1.73 (1.30-2.29))。

【原著】Lancet Oncol. 2024 Aug 16. [PubMed: 39159630]

 

【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS)】「オプジーボ+ヤーボイ」vs「化学療法」
CheckMate 722(JCO)                       EGFR遺伝子変異陽性の転移性非小細胞肺がんと診断され、EGFR-TKI加療後に病勢が進行した人が次の治療を考える場合、「プラチナ製剤を含む化学療法」に「オプジーボ」の上乗せを選択しても、無増悪生存 ...
【EGFR陽性肺がん:二次治療(OS、PFS)】「キイトルーダ+化学療法」vs「化学療法」
KEYNOTE-789(JCO)                        EGFR遺伝子変異陽性の転移性の非小細胞肺がんと診断され、EGFR-TKI阻害薬治療中に病勢が進行した人が次の治療を考える場合、「ペメトレキセド+プラチナ製剤」治療に「キイトルーダ」の上乗せを選択して ...
【肺がん(EGFR陽性):二次治療】「テセントリク+化学療法」vs「アバスチン+化学療法」
IMpower150(Lancet Respir Med)                 Del19またはL858R変異陽性の非扁平上皮非小細胞肺がんと診断され、化学療法をまだ受けていない人が次の治療を考える場合、「化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)+テセントリク」治療 ...
【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS)】「オプジーボ」vs「カルボプラチン+ペメトレキセド」
EGFR変異陽性進行非扁平上皮非小細胞肺がんと診断され、EGFR-TKI耐性となった人が次の治療を考える場合、「オプジーボ」治療を選択しても「カルボプラチン+ペメトレキセド」治療を上回る無増悪生存期間は期待しにくく、むしろ短縮するリスクが高まる。 【発表】 2021年12月17日 ...

 

 

3. 国内で現在開発中の治療

【明日のレジメン図鑑】ライブリバント+ペメトレキセド+カルボプラチン(EGFR陽性肺がん)

【明日のレジメン図鑑】ライブリバント+ペメトレキセド+カルボプラチン(EGFR陽性肺がん)

「ライブリバント+ペメトレキセド+カルボプラチン」併用療法は、「「タグリッソ治療開始後に病勢が進行したEGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん」に対して、2024年5月31日に承認申請された治療レジメン。この申請は、Phase 3試験『MARIPOSA-2試験』の結果に基づく。 ...
【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS)】「パトリツマブ デルクステカン」vs「化学療法」

【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS)】「パトリツマブ デルクステカン」vs「化学療法」

HERTHENA-Lung02                         EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がんと診断され、EGFR-TKI阻害薬治療中に病勢が進行した人が次の治療を考える場合、「パトリツマブ デルクステカン」治療を選択することで「化学 ...
【EGFR陽性肺がん:一次治療(PFS)】「ダトポタマブ デルクステカン+タグリッソ」vs「化学療法」

【EGFR陽性肺がん:一次治療(PFS)】「ダトポタマブ デルクステカン+タグリッソ」vs「化学療法」

TROPION-LUNG15                         EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がんと診断され、タグリッソ治療中に進行した人が次の治療を考える場合、「ダトポタマブ デルクステカン」単剤治療または「ダトポタマブ デルクステカン+タ ...
【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS)】「サシツズマブ チルモテカン」vs「化学療法」

【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS)】「サシツズマブ チルモテカン」vs「化学療法」

TroFuse-004                            ドライバー遺伝子変異/転座陽性の進行非小細胞肺がんと診断され、何らかの治療を受けた人が次の治療を考える場合、「サシツズマブ チルモテカン」治療を選択することで「化学療法(ドセタキセルまたはペメトレキセド ...
【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS、OS)】「サシツズマブ チルモテカン」vs「ペメトレキセド+カルボプラチン」

【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS、OS)】「サシツズマブ チルモテカン」vs「ペメトレキセド+カルボプラチン」

TroFuse-009                            EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんと診断され、EGFR-TKI治療を受けた人が次の治療として「サシツズマブ チルモテカン」治療を選択することで「ペメトレキセド+カルボプラチン」を選択した場合を上回る ...