EMBRACE(Lancet)
遠隔転移を有する乳がんと診断され、2ライン以上の化学療法を受けたことがある女性が次の治療を考える場合、「ハラヴェン」治療を選択することで、生存期間の延長が期待できる。奏効率も5%から12%に向上。試験では四次治療として「ハラヴェン」治療を受ける人が34%、五次治療が32%であった。
「ハラヴェン」治療を選択した場合の代表的な有害事象は「倦怠感・無力症」、「好中球減少症」。試験では「倦怠感・無力症」が54%(vs. 40%)、「好中球減少症」が52%(vs. 30%)の人に現れた。「ハラヴェン」治療を継続できない最大の理由は末梢神経障害の発症。
本試験および日本で実施したフェーズ2試験(221試験)の結果に基づいて、2011年4月22日に「ハラヴェン」が手術不能又は再発乳癌を対象に承認され、2011年7月19日発売された。
【発表】
2011年3月2日
【試験名】
EMBRACE(Phase 3)〔NCT00388726〕
【試験参加国】
米国、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、クロアチア、チェコ、フランス、ハンガリー、イタリア、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、スイス
【原著】
Lancet. 2011;377:914-23. [PubMed: 21376385]
【さらに詳しく】
- Eribulinは治療歴のある転移性乳癌患者の全生存期間を延長【ASCO2010】〔日経メディカル〕
- 進行転移性乳癌患者対象エリブリンのフェーズ3試験結果がLancet誌に掲載へ〔日経メディカル〕
- 抗がん剤「eribulin(E7389)」 第3相比較試験において主要評価項目を達成〔ケアネット〕
【添付文書における表記】
アントラサイクリン系薬剤及びタキサン系薬剤を含む前治療2~5レジメンの進行又は再発乳癌患者(762例)において、主治医選択治療を比較対照とし、全生存期間を主要評価項目として本剤の主治医選択治療に対する優越性の検証を目的とした第Ⅲ相比較試験が実施された。
その結果、全生存期間において、本剤の主治医選択治療に対する優越性が確認された。
本剤投与群における全生存期間の中央値は399日であった。
安全性解析対象症例のうち本剤が投与された503例中475例(94.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、好中球減少(52.7%)、脱毛症(44.3%)、末梢神経障害(31.6%)、悪心(29.8%)、疲労(25.6%)、白血球減少(24.1%)、無力症(22.3%)、貧血(16.7%)、食欲減退(16.5%)、便秘(15.1%)、発熱(13.5%)、嘔吐(12.9%)、下痢(12.9%)、体重減少(11.7%)、頭痛(10.3%)であった。(試験終了時の集計)