【標準治療】多発性骨髄腫

移植非適応の多発性骨髄腫の一次治療

多発性骨髄腫の治療は、近年、大きく進歩した。ここでは無作為化比較試験の結果を中心に紹介している。上段の横棒グラフは現在の標準治療の無増悪生存期間であり、下段はかつての標準治療のものである。

2014年には「レブラミドデキサメタゾン(Rd)」治療の有用性が発表され、2017年には「ベルケイドレブラミドデキサメタゾン(VRd)」Rd治療を上回る無増悪生存期間を示した。2019年には「ダラキューロレブラミドデキサメタゾン(DRd)」治療もRd治療を上回る無増悪生存期間を示し、現在の標準治療の一つとなった。さらに、2024年には「サークリサベルケイドレブラミドデキサメタゾン(IsaVRd)」治療がVRd治療を上回る無増悪生存期間を示し、IsaVRd治療の承認が2025年に期待されている。

1. DRdレジメン:免疫調節薬(レブラミド)、抗CD38抗体(ダラキューロ)を含む治療

【多発性骨髄腫:一次治療(30ヵ月PFS)】「ダラザレックス+レブラミド+デキサメタゾン」vs「レブラミド+デキサメタゾン」
MAIA(NEJM)                          移植不適格な多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「レブラミド+デキサメタゾン」に「ダラザレックス」の上乗せを選択することで、30ヵ月無増悪生存率の向上が期待できる。 「レブラミド+デキサメタ ...
【多発性骨髄腫:一次治療(PFS)】「ダラザレックス+レブラミド+デキサメタゾン」vs「レブラミド+デキサメタゾン」
MAIA(Lancet Oncol)                      移植不適格な多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「レブラミド+デキサメタゾン」に「ダラザレックス」の上乗せを選択することで、無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。 「レブラミド ...

 

DRdレジメンに不応・不耐となった場合の二次治療

【標準治療】再発・難治性多発性骨髄腫(ベルケイド治療歴なし)
再発・難治性多発性骨髄腫の治療(レブラミド、抗CD38抗体を含むレジメンの治療歴あり) 1. Kdレジメン:プロテアソーム阻害薬(カイプロリス)を含む治療 レブレミド、ダラキューロ、カイプロリス治療歴を有する場合の三次治療 (1) ポマリストを含む治療 (2) エムプリシティを含 ...

 

 

2. VRdレジメン:免疫調節薬(レブラミド)、プロテアソーム阻害薬(ベルケイド)を含む治療

【多発性骨髄腫:一次治療(PFS)】「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」vs「レブラミド+デキサメタゾン」
SWOG S0777(Lancet)                        多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「レブラミド+デキサメタゾン」治療に「ベルケイド」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。 試験では、「レブラミド ...
【多発性骨髄腫:一次治療(5年OS)】「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」vs「レブラミド+デキサメタゾン」
SWOG S0777(Blood Cancer J)                   多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「レブラミド+デキサメタゾン」治療に「ベルケイド」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。 「レブラミド+デ ...

 

VRdレジメンに不応・不耐となった場合の二次治療

【標準治療】再発・難治性多発性骨髄腫(抗CD38抗体治療歴なし)
多発性骨髄腫の二次治療(レブラミド、ベルケイドを含むレジメンの治療歴あり) 1. 抗CD38抗体、プロテアソーム阻害薬(カイプロリス)を含む治療 1-1. DKdレジメン:ダラキューロ+カイプロリス+デキサメタゾン治療 1-2. IsaKdレジメン:サークリサ+カイプロリス+デキ ...

 

 

3. DVMPレジメン:プロテアソーム阻害薬(ベルケイド)、抗CD38抗体(ダラキューロ)を含む治療

【多発性骨髄腫:一次治療(18ヵ月PFS)】「ダラザレックス+ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」vs「ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」
ALCYONE(NEJM)                         多発性骨髄腫と診断され、自家幹細胞移植を適応できない人が初めての治療を考える場合、「ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」治療に「ダラザレックス」上乗せを選択することで、18ヵ月無増悪生存率の向上が期待 ...
【移植不適応多発性骨髄腫:一次治療(PFS)】「ダラザレックス+ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」vs「ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」
ALCYONE(Lancet)                          多発性骨髄腫と診断され、自家幹細胞移植を適応できない人が初めての治療を考える場合、「ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」治療に「ダラザレックス」上乗せを選択することで、36ヵ月生存率の向上も期待 ...
【多発性骨髄腫(日本人):一次治療】「ダラザレックス+ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」vs「ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」
ALCYONE(Ann Hematol)                      多発性骨髄腫と診断された日本人でも自家幹細胞移植を適応できない人が初めての治療を考える場合、「ベルケイド+メルファラン+プレドニゾン」治療に「ダラザレックス」上乗せを選択することで、無増悪生存期間 ...

 

DVMPレジメンに不応・不耐となった場合の二次治療

【標準治療】再発・難治性多発性骨髄腫(レブラミド治療歴なし)
多発性骨髄腫(抗CD38抗体、ベルケイドを含むレジメンの治療歴あり)の二次治療 1. レブラミド、プロテアソーム阻害薬を含む治療 1-1. カイプロリス+レブラミド+デキサメタゾン(KRd)治療 1-2. ニンラーロ+レブラミド+デキサメタゾン(IRd)治療 レブレミド、プロテア ...

 

 

4. Rdレジメン:免疫調節薬(レブラミド)を含む治療

【多発性骨髄腫:一次治療(PFS)】「レブラミド+デキサメタゾン」vs「メルファラン+プレドニゾン+サリドマイド」
FIRST(NEJM)                           幹細胞移植が適応とならなかった人は、「レブラミド+デキサメタゾン」を選択することで無増悪生存期間の延長が期待できる。 「レブラミド+デキサメタゾン」を選択することで、「メルファラン+プレドニゾン+サリドマ ...

 

Rd治療に不応・不耐となった場合の二次治療

【標準治療】再発・難治性多発性骨髄腫(ベルケイド、抗CD38抗体治療歴なし)
1. 抗CD38抗体、プロテアソーム阻害薬を含む治療 1-1. ダラキューロ+カイプロリス+デキサメタゾン(DKd)治療 1-2. サークリサ+カイプロリス+デキサメタゾン(IsaKd)治療 1-3. ダラキューロ+ベルケイド+デキサメタゾン(DVd)治療 レブレミド、プロテアソ ...

 

 

5. 国内で現在開発中の治療

【明日のレジメン図鑑】サークリサ+VRd(多発性骨髄腫)

【明日のレジメン図鑑】サークリサ+VRd(多発性骨髄腫)

「サークリサ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」併用療法は、「未治療の多発性骨髄腫」に対して、2024年5月14日に承認申請された治療レジメン。この申請は、Phase 3試験『IMROZ』の結果に基づく。 【承認申請日】 2024年5月14日 【効能及び効果】 未治療の多発 ...
【多発性骨髄腫:一次治療(MRD陰性化率)】「ダラキューロ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」vs「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」

【多発性骨髄腫:一次治療(MRD陰性化率)】「ダラキューロ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」vs「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」

CEPHEUS                              移植の適応とならない多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」治療に「ダラキューロ」の上乗せを選択することで、MRD陰性化率が向上するかについて、現在、 ...
【多発性骨髄腫:一次治療(PFS)】「エルレフィオ+ダラキューロ+レブラミド」vs「ダラキューロ+レブラミド+デキサメタゾン」

【多発性骨髄腫:一次治療(PFS)】「エルレフィオ+ダラキューロ+レブラミド」vs「ダラキューロ+レブラミド+デキサメタゾン」

MagnetisMM-6                            移植の適応とならない多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「エルレフィオ+ダラキューロ+レブラミド」治療を選択することで、「ダラキューロ+レブラミド+デキサメタゾン(DRd)」治療を選 ...
【多発性骨髄腫: 一次治療(PFS)】「テクベイリ+ダラキューロ+レブラミド」vs「ダラキューロ+レブラミド+デキサメタゾン」

【多発性骨髄腫: 一次治療(PFS)】「テクベイリ+ダラキューロ+レブラミド」vs「ダラキューロ+レブラミド+デキサメタゾン」

MajesTEC-7                             多発性骨髄腫と診断され、自家幹細胞移植非適応の人が初めての治療を考える場合、「テクベイリ+ダラキューロ+レブラミド」治療または「トアルクエタマブ+ダラキューロ+レブラミド」治療を選択することで、「ダラキ ...
【多発性骨髄腫:一次治療(PFS)】「カービクティ」vs「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」

【多発性骨髄腫:一次治療(PFS)】「カービクティ」vs「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」

CARTITUDE-5                            移植の適応とならない多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「CAR-T細胞療法 カービクティ」治療を選択することで、「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」治療を選択した場合を上回る無 ...