【胃がん:二次治療(OS)】「サイラムザ+パクリタキセル」vs「パクリタキセル」

RAINBOW(Lancet Oncol)                     

切除不能な胃・胃食道接合部がんと診断され、化学療法を受けたことがある人が次の治療を考える場合、「パクリタキセル」治療への「サイラムザ」の上乗せを選択することで生存期間の延長が期待できる。

Grade3以上の有害事象として、41%(vs 19%)の人に好中球減少症、17%の人に白血球減少症(vs 7%)、14%の人に高血圧(vs 2%)、12%の人に倦怠感(vs 5%)、9%の人に貧血(vs 10%)、6%の人に腹痛(vs 3%)が現れた。

この結果に基いて、2014年11月5日、米国でサイラムザパクリタキセルとの併用についても「フッ化ピリミジン系製剤もしくはプラチナ系製剤を用いた化学療法を受けた進行または転移性の胃癌・胃食道接合部腺癌の治療薬 」として承認を受けた。日本においても2015年3月26日、「治癒切除不能な進行・再発胃癌」を対象に製造承認を取得し、同年6月22日に発売された。

さらに胃癌学会は、同年10月23日、『胃癌治療ガイドライン速報』を同学会のウェブサイトで公開し、進行胃癌の二次治療として「パクリタキセル+ラムシルマブ(サイラムザ)併用療法」が推奨度1、「ラムシルマブ(サイラムザ)単独療法」が推奨度2となり、これまで推奨度1であった「パクリタキセル単独療法」、「ドセタキセル単独療法」、「イリノテカン単独療法」は推奨度2となった。

【発表】

2014年9月17日

【試験名】

RAINBOW(Phase 3)〔NCT01170663/jRCT2080221417

【試験参加国】

日本(愛知県がんセンター、国立がん研究センター東病院、松山赤十字病院、九州がんセンター、北海道大学病院、高知医療センター、大分大学医学部附属病院、近畿大学病院、大阪医科薬科大学病院、埼玉県立がんセンター、静岡がんセンター、栃木県立がんセンター、杏林大学医学部付属病院)、米国、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、チリ、エストニア、フランス、ドイツ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、韓国、リトアニア、メキシコ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、シンガポール、スペイン、台湾、英国

【原著】

Lancet Oncol. 2014;15:1224-35. [PubMed: 25240821]

【さらに詳しく】

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【添付文書における表記】

プラチナ製剤とフッ化ピリミジン系薬剤の併用療法が無効の進行胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者665例(日本人症例140例を含む)を対象に、本剤+パクリタキセルとプラセボ+パクリタキセルとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験を実施した。本剤8mg/kg又はプラセボ(2週間に1回)とパクリタキセル80mg/m2(週1回投与を3週連続し、4週目を休薬)とを4週間を1サイクルとして、病態の悪化等が認められるまで投与を継続した(投与の際は、本剤の投与後にパクリタキセルを投与)。主要評価項目である全生存期間において有意な延長を認めた。

本剤が投与された327例(日本人症例68例を含む)において発現した主な有害事象は、疲労/無力症(56.9%)、好中球減少症(54.4%)、白血球減少症(33.9%)、下痢(32.4%)、鼻出血(30.6%)等であった。