肺がんのために入院した人はどのような治療が行われていたのだろうか。2021年度の中央社会保険医療協議会(厚生労働省)「DPC導入の影響評価に関する調査(化学療法のレジメン)」よりまとめてみた。
1位 カルボプラチン+エトポシド
患者数:13,177名(8.3%) 平均入院日数:11.9日

70歳以上でPSが0-2または70歳未満でPSが3の人が初めての治療を考える場合、「カルボプラチン+エトポシド」併用療法も「シスプラチン+エトポシド」併用療法も選択できる。いずれの治療も5ヵ月前後の無増悪生存期間と10ヵ月前後の生存期間が期待できる。 「カルボプラチン+エトポシド ...
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2位 アムルビシン
患者数:10,756名(6.8%) 平均入院日数:9.3日
3位 シスプラチン+ビノレルビン
患者数:7,262名(4.6%) 平均入院日数:11.9日

IB-II期非小細胞肺がんと診断された人が手術の後、「ビノレルビン+シスプラチン」による術後補助化学療法を選択することで、生存期間の延長が期待できる。 主な有害事象は、好中球減少(88%)、倦怠感(81%)、悪心(80%)、食欲不振(55%)、嘔吐(48%)、神経障害(48%)、 ...
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IB-II期非小細胞肺がんと診断された人が手術の後「ビノレルビン+シスプラチン」による術後補助化学療法を選択することで、5年生存率の向上が期待できる。 ただし、術後化学補助療法の効果は、ステージⅡの人に限定され、ステージⅠbの人には効果が期待しにくい。 試験では、ステージⅡの人に ...
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FACS(Ann Oncol) 進行非小細胞肺がんと診断された人が初めての化学療法を考える場合、「イリノテカン+シスプラチン」治療を選択しても他のプラチナ製剤を含む化学療法に劣らない生存期間が期待できる。 「イリノテカン+シスプラチ ...
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4位 カルボプラチン+パクリタキセル
患者数:6,915名(4.2%) 平均入院日数:23.3日

FACS(Ann Oncol) 進行非小細胞肺がんと診断された人が初めての化学療法を考える場合、「イリノテカン+シスプラチン」治療を選択しても他のプラチナ製剤を含む化学療法に劣らない生存期間が期待できる。 「イリノテカン+シスプラチ ...
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初回のプラチナベースの化学療法を選ぶ際に、「ゲムシタビン+シスプラチン」、「ドセタキセル+シスプラチン」、「パクリタキセル+カルボプラチン」のどれを選んでも「パクリタキセル+シスプラチン」と生存期間において大差はない。試験では「パクリタキセル+シスプラチン」で7.8ヵ月、「ゲムシ ...
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IFCT-0501(Lancet) 70歳以上の人でも「カルボプラチン+パクリタキセル」治療の選択によって、「ビノレルビン」または「ゲムシタビン」による単独治療を上回る生存期間の延長が期待できる。 【発表】 2011年8月8日 【試 ...
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CALGB9730(JCO) まだ化学療法を受けたことがない人では、「パクリタキセル」に「カルボプラチン」の追加併用を選択しても生存期間の延長は期待しにくいが、PS 2の人では「カルボプラチン+パクリタキセル」を選択することで、「パ ...
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5位 タグリッソ
患者数:6,627名(4.2%) 平均入院日数:16.3日

ADAURA(NEJM) EGFR遺伝子変異を有するII-IIIA期非小細胞肺がんと診断された人が術後の治療を考える場合、「タグリッソを用いた3年間の補助療法」を選択することで、5年生存率の向上が期待できる。 【試験名】 ADAUR ...
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ADAURA(JCO) EGFR遺伝子変異を有するII-IIIA期非小細胞肺がんと診断された人が術後の治療を考える場合、「タグリッソを用いた3年間の補助療法」を選択することで、無病生存期間の延長が期待できる。 【試験名】 ADA ...
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ADAURA(J Thorac Oncol) EGFR遺伝子変異非小細胞肺がんと診断され、手術を受けた人が術後補助療法を考える場合、「化学療法」に「タグリッソ」の上乗せを選択することで、2年後もがん病変がなく生活できる可能性が高まる。「化 ...
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ADAURA(NEJM) EGFR遺伝子変異陽性のII-IIIA期非小細胞肺がんと診断された人は、手術後に「タグリッソを用いた補助療法」を選択することで、2年後もがん病変がなく生活できる可能性が高まる。試験では「タグリッソを用いた ...
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FLAURA(NEJM) 切除不能なEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「タグリッソ」単独治療を選択することで「イレッサ(またはタルセバ)」単独治療を選択した場合を上回る生存期間が期待でき ...
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日本人でも、EGFR陽性の人が初めての治療を考える場合、「タグリッソ」単独治療を選択することで「イレッサ」単独治療を選択した場合に比べ、無増悪生存期間の延長が期待できる。 「タグリッソ」単独治療を受けた人の75.4%(vs 76.4%)で腫瘍が縮小。「タグリッソ」単独治療を受け、 ...
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東アジア人でも、EGFR陽性の人が初めての治療を考える場合、「タグリッソ」単独治療を選択することで「イレッサ(またはタルセバ)」単独治療を選択した場合に比べ、無増悪生存期間の延長が期待できる。 「タグリッソ」単独治療を受けた人の80%で腫瘍が縮小した(vs 75%)。 「タグリッ ...
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EGFR陽性の人で中枢神経に転移が認められた人が初めての治療を考える場合、「タグリッソ」単独治療を選択することで「イレッサ(またはタルセバ)」単独治療を選択した場合に比べ、中枢神経転移巣の無増悪生存期間の延長が期待できる。 【発表】 2018年8月28日 【試験名】 FLAURA ...
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FLAURA(NEJM) EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「タグリッソ」治療を選択することで「イレッサ(またはタルセバ)」治療を選択した場合を上回る無増悪生存期間が期待できる。 「タ ...
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EGFR-TKI治療後に病勢が進行し、T790M変異陽性人が次の治療を考える場合、「タグリッソ」治療を選択することで無増悪生存期間の延長が期待できるが、「ペメトレキセド+プラチナ製剤」治療を選択した場合と生存期間に差はなかった。「タグリッソ」治療を選択した場合の2年生存率は55% ...
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EGFR-TKI治療後に病勢が進行し、脳など中枢神経系に転移がある人でも、T790M変異陽性の場合、「タグリッソ」治療を選択することで、奏効率の向上が期待できる。 試験では「タグリッソ」治療を選択することで、中枢神経転移巣における効果持続期間が5.7ヵ月から8.9ヵ月に、中枢神経 ...
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AURA3(NEJM) EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんと診断され、EGFR-TKI加療後に病勢が進行し、その後の遺伝子検査でT790M変異陽性であった人が次の治療を考える場合、「タグリッソ」治療を選択することで、「プラチナ ...
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6位 キイトルーダ
患者数:6,060名(3.8%) 平均入院日数:10.4日

PD-L1発現量50%以上の人が初めての治療を考える場合、「キイトルーダ」治療を選択することで、「化学療法(カルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセド/ゲムシタビン、カルボプラチン+パクリタキセル)」5年生存率の向上も期待できる。 試験では化学療法を受けていた人のうち66.0% ...
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KEYNOTE-024(Cancer Sci) この論文は2021年8月に取り下げとなった。 日本人でEGFR遺伝子変異もALK融合遺伝子も認められず、PD-L1発現量50%以上の人が初めての治療を考える場合、「キイトルーダ」治療を選択する ...
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KEYNOTE-024(JCO) EGFR遺伝子変異もALK融合遺伝子も認められず、PD-L1発現量50%以上の人が初めての治療を考える場合、「キイトルーダ」治療を選択することで、無増悪生存期間だけでなく、生存期間の延長も期待できる。 ...
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KEYNOTE-024(NEJM) EGFR遺伝子変異もALK融合遺伝子も認められず、PD-L1を発現した腫瘍細胞が占める割合(TPS)が50%以上の人が初めての治療を考える場合、「キイトルーダ」治療を選択することで、無増悪生存期間の延 ...
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化学療法を受けたことがあり、 PD-L1発現量1%以上(TPS≧1%)の人が次の治療を考える場合、「キイトルーダ」治療を選択することで5年生存率の向上が期待できる。 【発表】 2020年5月25日 【試験名】 KEYNOTE-010(Phase 2/3)〔NCT01905657〕 ...
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化学療法を受けたことがあり、 PD-L1発現量1%以上(TPS≧1%)の人が次の治療を考える場合、「キイトルーダ」治療を選択することで3年生存率の向上が期待できる。 35サイクル(2年間)の「キイトルーダ」治療を完了できた人は、治療完了後1年生存率は98.7%、1年無増悪生存率は ...
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化学療法を受けたことがあり、 TPS≧1%の人が次の治療を考える場合、「キイトルーダ」治療を選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。 【発表】 2019年2月1日 【試験名】 KEYNOTE-010(Phase 2/3)〔NCT01905657〕 【原著】 An ...
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「キイトルーダ」の国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験「KEYNOTE-010試験」の結果。プラチナ製剤を含む化学療法歴を有するPD-L1陽性(TPS≧1%)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者(日本人91例を含む)を対象に、「キイトルーダ2mg/kg 3週間間隔投与」及び「10mg/k ...
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7位 テセントリク+エトポシド+カルボプラチン
患者数:5,185名(3.3%) 平均入院日数:11.8日

初めての治療を考える場合、「カルボプラチン+エトポシド」治療に「テセントリク」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。18ヵ月後、カルボプラチン+エトポシド+テセントリク」治療を受けた34.0%が生存できていた(vs 21.0%)。 【発表】 2021 ...
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初めての治療を考える場合、「カルボプラチン+エトポシド」治療に「テセントリク」の上乗せを選択することで日本人においても無増悪生存期間の延長が期待できる。IMpower133試験の日本人サブグループ(n=42)解析の結果。 【発表】 2019年7月31日 【試験名】 IMpower ...
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IMpower133(NEJM) 進展型小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「カルボプラチン+エトポシド」治療に「テセントリク」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。 【発表】 2018 ...
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8位 キイトルーダ+カルボプラチン+ペメトレキセド
患者数:5,115名(3.2%) 平均入院日数:12.9日

KEYNOTE-189(JCO) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性、 PD-L1発現量が1%未満の非扁平上皮非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキ ...
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KEYNOTE-189(JCO) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性、PD-L1発現量が1〜49%の非扁平上皮非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキ ...
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KEYNOTE-189(JCO) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性、 PD-L1発現量が50%以上の非扁平上皮非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレ ...
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KEYNOTE-189(JCO) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性の非扁平上皮非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)に「キイトルーダ」の上乗 ...
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脳転移が認められた人が初めての治療を考える場合、化学療法に「キイトルーダ」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。 「キイトルーダ+化学療法」を受けた人において治療関連有害事象を、脳転移が認められた人で88.2%(vs 82.8%)が、脳転移が認められ ...
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KEYNOTE-189(Ann Oncol) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性の非扁平上皮非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)に「キイトルーダ」の ...
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PD-L1陰性の人が初めての治療を考える場合、化学療法に「キイトルーダ」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。 【発表】 2020年9月11日 【分析】 KEYNOTE-021 cohort G 〔NCT02039674〕 KEYNOTE-189〔N ...
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KEYNOTE-189(JCO) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性かつPD-L1陽性細胞50%以上の非扁平上皮がんの人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)に「キイトルー ...
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KEYNOTE-189(JCO) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性かつPD-L1陽性細胞1-49%の非扁平上皮がんの人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)に「キイトルー ...
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KEYNOTE-189(JCO) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性かつPD-L1陽性細胞1%未満の非扁平上皮がんの人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)に「キイトルーダ ...
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KEYNOTE-189(JCO) EGFR遺伝子変異陰性かつALK融合遺伝子陰性の非扁平上皮非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)に「キイトルーダ」治療の ...
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KEYNOTE-189(NEJM) EGFR陽性でもALK陽性でもない転移性非扁平上皮非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)に「キイトルーダ」治療の上乗せを ...
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9位 ドセタキセル+サイラムザ
患者数:4,899名(3.1%) 平均入院日数:11.5日

プラチナ製剤を含む化学療法後に進行した非扁平上皮がんの人が次の治療を考える場合、「ドセタキセル+サイラムザ」治療を選択することで、前治療に「アバスチン」が併用されていたかに関わらず、生存期間の延長が期待できる。 本解析結果からすると、前治療に「アバスチン」を含む治療を受けたことが ...
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プラチナ製剤を含む化学療法後に進行した非扁平上皮がんの人が次の治療を考える場合、「ドセタキセル+サイラムザ」治療を選択することで、前治療に「ペメトレキセド」が併用されていたかに関わらず、生存期間の延長が期待できる。 本解析結果からすると、前治療に「ペメトレキセド」を含む治療を受け ...
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プラチナ製剤を含む化学療法後に進行した人が次の治療を考える場合、「ドセタキセル+サイラムザ」治療を選択することで、前治療に「タキサン」が併用されていたかに関わらず、生存期間の延長が期待できる。 本解析結果からすると、前治療に「タキサン」を含む治療を受けたことがある人では、「ドセタ ...
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プラチナベースの化学療法中または終了後に病勢が進行した人でも、「ドセタキセル」単剤治療に「サイラムザ」の上乗せを選択することで、生存期間および無増悪生存期間の延長が期待できるが、症状が重症の人でもその効果は期待できる。 重度症状例は、この分析では肺癌症状尺度(LCSS:Lung ...
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プラチナベースの化学療法がまったく反応しなかった人が、次の治療を考える場合、「ドセタキセル」単剤治療に「サイラムザ」の上乗せを選択することで、他の集団と同様の効果が期待できる。 試験では「ドセタキセル」単剤治療に「サイラムザ」の上乗せを選択することで、奏効率が12.6%から22 ...
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最初の化学療法後に病勢が進行した人が次の治療の選択を考える場合、「ドセタキセル」への「サイラムザ」上乗せを選択することで、生存期間の延長が期待できる。 東アジア地域では生存期間がより長い。試験では10.17ヵ月から15.44ヵ月に延長。 【発表年】 2016年2月22日 【試験名 ...
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プラチナベースの化学療法中または終了後に病勢が進行した人は、ドセタキセルへの「サイラムザ」上乗せを選択しても、生活の質を悪化させることなく、生存期間の延長が期待できる。 【発表】 2016年1月19日 【試験名】 REVEL(Phase 3)〔NCT01168973〕 【原著】 ...
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REVEL(Lancet) プラチナ製剤を含む化学療法中または終了後に病勢が進行した人でも「ドセタキセル」単剤治療に「サイラムザ」の上乗せを選択することで、生存期間および無増悪生存期間の延長が期待できる。 この結果を受けて、切除 ...
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