STAR-TREC(Lancet Oncol)
腫瘍最大径が4cm以下のT1-T3bN0 M0直腸がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「長期化学放射線療法」を選択することで「短期放射線療法」を選択することで1年以内以内の全直腸間膜切除術を受けることなく生存できる確率の向上が期待できる。
早期・中期直腸がんにおける臓器温存の有用性と長期化学放射線療法の推奨
1年時点の良好な成績は、早期・中期直腸がんに対する反応適応型の臓器温存戦略が、根治術(全直腸間膜切除術)に代わる極めて有望な治療パラダイムであることを示している。特に長期化学放射線療法は、短期放射線療法よりも高い完全奏効率をもたらし、経肛門的局所切除術の必要性や全直腸間膜切除術へのコンバート率を低下させ、1年直腸温存率(78.5% vs 60.6%)を有意に改善することから、非手術的臓器温存アプローチを行う場合は、現時点で長期化学放射線療法がより有効な術前レジメンであることを示唆している。
全直腸間膜切除術に伴う毒性の回避とQoLの最大化
一次全直腸間膜切除術は、縫合不全や術後敗血症(一次全直腸間膜切除術群で重篤な有害事象 19%、1例死亡)といった重大な急性毒性リスクを伴う。これに対して、臓器温存アプローチは急性期の毒性を大幅に減少させ(重篤な有害事象 7〜8%)、ストーマ保有率を下げ、排便機能の維持などを通じて患者のQoLを高く保つための極めて重要なエビデンスを提供する。
長期追跡の必要性
本報告は1年時点の初期アウトカムであり、直腸温存の長期耐久性や、局所再発および遠隔転移、全生存への影響、さらには放射線や手術に伴う後期毒性の確定的な評価には、現在継続されているより長期の追跡調査が必要である。
【発表】
2026年8月23日
【試験名】
STAR-TREC(Phase 2/3)
【試験参加国】
オランダ、スウェーデン、デンマーク、ベルギー、英国
【原著】
Lancet Oncol 2026; 27: 1120-32. [PubMed: 42633754]