TOURMALINE-MM1(NEJM)
初回治療の効果が認められなかった人、初回治療後に再発した人、が次の治療を考える場合、「レブラミド+デキサメタゾン(Rd)」治療に「ニンラーロ」の上乗せを選択することで無増悪生存期間の延長が期待できる。奏効率は「ニンラーロ+レブラミド+デキサメタゾン」治療で 78%、「レブラミド+デキサメタゾン」 治療で72%。
奏効までの期間「ニンラーロ+レブラミド+デキサメタゾン」治療で 1.1 ヵ月、「レブラミド+デキサメタゾン」 治療で1.9 ヵ月。
奏効期間は「ニンラーロ+レブラミド+デキサメタゾン」治療で20.5 ヵ月、「レブラミド+デキサメタゾン」 治療で 15.0 ヵ月。
重篤な有害事象が現れる人の割合は「ニンラーロ」の追加によって増えるわけではない。試験では47%(vs. 49%)。グレード 3 以上の有害事象は、「ニンラーロ」の追加併用を選択した人の74%に現れた(vs. 69%)。「ニンラーロ」の追加によって増加する可能性が高い有害事象は、血小板減少症、発疹、消化器系の有害事象。
この試験の結果を受けて国内では2016年7月4日に承認申請が行われ、2017年3月30日製造販売承認された。米国では2015年7月15日に承認申請が行われ、11月20日に承認された。
【発表】
2016年4月28日
【試験名】
TOURMALINE-MM1(Phase 3)〔NCT01564537〕
【試験参加国】
米国、カナダ
【原著】
N Engl J Med. 2016;374:1621-34. [PubMed: 27119237]
【さらに詳しく】
- 多発性骨髄腫に対する経口イキサゾミブ,レナリドミド,デキサメタゾン〔NEJM日本国内版〕
- 多発性骨髄腫、ixazomib追加の3剤併用療法でPFS延長/NEJM〔ケアネット〕
- 再発・難治性多発性骨髄腫へのixazomib併用投与でレナリドミド+デキサメタゾンよりもPFSが有意に延長【ASH2015】〔日経メディカル〕
- 再発・難治性多発性骨髄腫患者対象フェーズ3で武田の経口プロテアソーム阻害剤ixazomibが有意にPFSを延長〔日経メディカル〕
- IRd療法が再発・難治性の多発性骨髄腫の標準治療に?〔Medical Tribune〕
- 骨が溶け貧血になる「多発性骨髄腫」の新薬ニンラーロが病気の進行を遅らせた
【こちらの図鑑も合わせて見る】
【添付文書における表記】
国際共同第Ⅲ相試験(二重盲検比較試験)
1〜3レジメンの前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、レナリドミド注1)及びデキサメタゾン注2)の併用下で、プラセボを対照としてイキサゾミブとして4mg注3)を経口投与した。なお、レナリドミド又はプロテアソーム阻害剤に難治性の患者は対象から除外した。
合計722例(日本人41例を含む)が無作為割付され、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は盲検化された独立評価委員会(IRC)により中央検査結果に基づき評価され、イキサゾミブ投与群において有意な延長が認められた(2014年10月30日データカットオフ)。注1)レナリドミドの用法・用量:28日間を1サイクルとし、1日1回25mgを1~21日目に連日経口投与した後、7日間(22~28日目)休薬した。
注2)デキサメタゾンの用法・用量:28日間を1サイクルとし、1日1回40mgを1、8、15、22日目に経口投与した。
注3)イキサゾミブの用法・用量:28日間を1サイクルとし、1日1回4mgを1、8、15日目に経口投与した。副作用発現頻度は、イキサゾミブ投与群で93%〔335/361例(日本人20例含む)〕であった。主な副作用(20%以上)は、下痢〔30%(110例)〕、好中球減少症〔26%(93例)〕、血小板減少症〔21%(77例)〕、疲労〔21%(75例)〕、便秘〔20%(71例)〕であった(2015年7月12日データカットオフ)。