【Year in Review 2024】がん治療の進歩:この1年

2024年も数多くのがん治療レジメンが承認され、治療の選択肢が増えた。ここでは、日本における2024年のがん治療の進歩をまとめてみた。

2. 乳がん3. 食道がん・胃がん4. 大腸がん5. 肝細胞がん6. 胆道がん7. 尿路上皮がん8. 腎細胞がん9. 前立腺がん10. 子宮体がん11. 子宮頸がん12. 多発性骨髄腫13. 悪性リンパ腫/慢性リンパ性白血病14. 白血病

1.  肺がん

1.1 周術期治療

昨年3月に承認された「オプジーボ+化学療法」が「非小細胞肺がんにおける術前補助療法(いわゆる、CheckMate 816レジメン)」が承認されたが、2024年8月28日には、術前に「キイトルーダ+化学療法」、術後に「キイトルーダ」単独療法を行う「いわゆる、サンドイッチ型の周術期治療」が承認された。この承認はPhase 3試験『KEYNOTE-671』の結果に基づいており、2年無増悪生存率の結果が2023年、NEJM誌に発表されたのに続いて、生存期間延長についてLancet誌に発表されたのも2024年(9月)であった。

【レジメン図鑑】キイトルーダ+シスプラチン+ゲムシタビン(肺がん:周術期治療)
「キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)」について、「非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法」として、2023年9月7日に承認申請され、2024年8月28日承認された。この承認は、Phase 3試験『KEYNOTE-671』の結果に基づく。 【承認日】 2024年8月28日 ...
【レジメン図鑑】キイトルーダ+シスプラチン+ペメトレキセド(肺がん:周術期治療)
「キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)」について、「非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法」として、2023年9月7日に承認申請され、2024年8月28日承認された。この承認は、Phase 3試験『KEYNOTE-671』の結果に基づく。 【承認日】 2024年8月28日 ...

 

同じサンドイッチ型の周術期治療については、「オプジーボ」を用いた同様のレジメンの有用性を示した『CheckMate 77T』試験の結果が5月にNEJM誌に発表された。小野薬品の発表によると、2025年3月までに承認申請が予定されている。

【II-IIIB期肺がん:周術期治療(EFS)】「オプジーボ+化学療法→手術→オプジーボ」vs「化学療法→手術」
CheckMate 77T(NEJM)                       切除可能なII期-IIIB期非小細胞肺がんと診断された人が手術を受ける場合、「術前の化学療法」への「オプジーボ」の上乗せ、および「術後補助療法としてオプジーボの実施」を選択することで18ヵ月無イベ ...

 

8月28日、「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」に対し、「アレセンサ」単剤治療が承認された。この承認の根拠となったPhase 3試験『ALINA試験』の結果がNEJM誌に発表されたのも2024年(4月)であった。

【レジメン図鑑】アレセンサ(ALK陽性肺がん:術後治療)
「アレセンサ(一般名=アレクチニブ塩酸塩)」は、2014年7月4日、「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対して承認されたALK阻害薬。「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」に対しては、2023年12月15日、承認申請され、2024 ...
【ALK陽性肺がん:術後治療(DFS)】「アレセンサ」vs「化学療法」
ALINA(NEJM)                           ALK融合遺伝子陽性のIB-ⅢA期の非小細胞肺がんと診断された人が手術後の治療を考える場合、「アレセンサ」治療を選択することで「プラチナ製剤を含む併用化学療法」を選択した場合を上回る2年無病生存率が期待で ...

 

1.2 Ⅲ期非小細胞肺がんに対する放射線治療後の維持療法

「切除不能なステージIIIのEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん」に対する「タグリッソ」単剤治療の有用性が示されたはPhase 3試験『LAURA試験』が6月にNEJM誌に発表され、7月31日には「EGFR エクソン19の欠失(Ex19del)またはエクソン21の変異(L858R)点突然変異が確認された切除不能なステージIIIのEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんに対する、根治的化学放射線療法後の治療」を対象に承認申請された。

【明日のレジメン図鑑】タグリッソ(EGFR陽性Ⅲ期肺がん)
「タグリッソ」単剤治療は、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」、「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」に対して承認されているレジメンであるが、2024年7月31日に新たに「エクソン19欠失型またはエクソン21(L858R)点突然変異が確 ...
【EGFR陽性Ⅲ期肺がん:維持療法(PFS)】「タグリッソ」vs「経過観察」
LAURA(NEJM)                           切除不能なEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんと診断され、化学放射線療法後に病勢の進行が認められなかった人が次の治療を考える場合、「タグリッソによる維持療法」を選択することで、無増悪生存期間の延長が期待 ...

 

1.3 ドライバー遺伝子変異/転座陽性の非小細胞肺がん

1.3.1 EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の非小細胞肺がん

2024年、ドライバー遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対し、最もインパクトが大きかった進歩は、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の非小細胞肺がん」に対する治療レジメン「ライブリバント(一般名:アミバンタマブ)+化学療法」が登場したことであろう。

9月24日、「EGFR/MET二重特異性抗体 ライブリバント」が化学療法との併用において「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の非小細胞肺がん」を効能及び効果として承認され、11月20日に発売され、国内でも選択できるようになった。

【レジメン図鑑】ライブリバント+カルボプラチン +ペメトレキセド(EGFR Exon 20陽性肺がん)
「ライブリバント(一般名:アミバンタマブ)」は、2024年11月20日に発売されたEGFR/MET二重特異性抗体。2024年9月24日に「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の非小細胞肺がん」を効能及び効果として、承認された。この承認は、Phase 3試験『PAPILLON試験 ...
【トライアル図鑑】PAPILLON(EGFRエクソン20陽性肺がん)
【試験名】 PAPILLON(Phase 3)〔NCT04538664/jRCT2051200087〕 【試験開始日】 2020年12月10日 【試験終了予定日】 2025年1月31日 【試験参加国】 日本(姫路医療センター、久留米大学医学部附属病院、山口宇部医療センター、新潟県 ...

 

1.3.2 EGFR遺伝子エクソン19の欠失陽性またはエクソン21の変異陽性の非小細胞肺がん

EGFR エクソン19の欠失(Ex19del)またはエクソン21の変異(L858R)の非小細胞肺がん」についても進歩があった。6月25日、「タグリッソ」の添付文書が改訂され、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」に対して「カルボプラチン(またはシスプラチン)+ペメトレキセド」との併用治療が選択可能となった。

【レジメン図鑑】タグリッソ+カルボプラチン+ペメトレキセド(EGFR陽性肺がん:一次治療)
2024年6月25日、「タグリッソ(一般名=オシメルチニブ)」の添付文書が改訂され、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」に対して「カルボプラチン(またはシスプラチン)+ペメトレキセド」との併用治療が選択可能となった。 【添付文書改訂日】 2024年6月25 ...
【EGFR陽性肺がん:一次治療(PFS)】「タグリッソ+化学療法」vs「タグリッソ」
FLAURA2(NEJM)                         EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「タグリッソ」治療に「ペメトレキセド+プラチナ製剤」の上乗せを選択することで、無増悪生存期間の延長が期 ...

 

EGFR common Mutationに対しては、「ライブリバント+EGFR-TKIラゼルチニブ」併用療法の有用性を示したPhase 3試験『MARIPOSA』の結果が6月にNEJM誌に発表された。本試験の結果に基づき、4月8日に「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」を予定適応症として承認申請されており、2025年の承認が期待されている。

【明日のレジメン図鑑】ライブリバント+ラゼルチニブ(EGFR陽性肺がん)
「ライブリバント+ラゼルチニブ」治療は、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」に対して、2024年4月8日に承認申請されたEGFR/MET二重特異性抗体とEGFR-TKI阻害薬の併用療法。この申請は、Phase 3試験『MARIPOSA試験』の結果に基づく。 ...
【EGFR陽性肺がん:一次治療(PFS)】「ライブリバント+ラゼルチニブ」vs「タグリッソ」
MARIPOSA(NEJM)                        局所進行または転移性のEGFR変異陽性の非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「EGFR/MET二重特異性抗体ライブリバント+EGFR-TKIラゼルチニブ」治療を選択することで「タグリッ ...

 

ライブリバントペメトレキセドカルボプラチン」併用療法が「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の非小細胞肺がん」に続いて、5月31日に「第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による前治療が無効のEGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」に対しても、承認申請されており、2025年には「タグリッソ」治療に不応となった場合の治療レジメンが誕生する見通しだ。

【明日のレジメン図鑑】ライブリバント+ペメトレキセド+カルボプラチン(EGFR陽性肺がん)
「ライブリバント+ペメトレキセド+カルボプラチン」併用療法は、「タグリッソ治療開始後に病勢が進行したEGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん」に対して、2024年5月31日に承認申請された治療レジメン。この申請は、Phase 3試験『MARIPOSA-2試験』の結果に基づく。 ...
【EGFR陽性肺がん:二次治療(PFS)】「ライブリバント+ラゼルチニブ+化学療法」vs「化学療法」
MARIPOSA-2(Ann Oncol)                     局所進行または転移性のEGFR変異陽性の非小細胞肺がんと診断され、「タグリッソ」治療が無効になった人が次の治療を考える場合、「ペメトレキセド+カルボプラチン」に「EGFR/MET二重特異性抗体ライ ...
【EGFR陽性肺がん:二次治療(OS)】「ライブリバント+化学療法」vs「化学療法」
MARIPOSA-2                            局所進行または転移性のEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんと診断され、「タグリッソ」治療が無効になった人が次の治療を考える場合、「ペメトレキセド+カルボプラチン」に「EGFR/MET二重特異性抗体ライブ ...

 

1.3.3 ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん

ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに対しては、「オータイロ(一般名:レポトレクチニブ)」が、9月24日に承認され、11月20日に発売され、ROS1融合遺伝子陽性の場合における3つ目の選択肢となった。この承認の根拠となったPhase 1/2試験『TRIDENT-1試験』の結果がNEJM誌に発表されたのも2024年(1月)であった。

【レジメン図鑑】オータイロ(ROS1陽性肺がん)
「オータイロ(一般名:レポトレクチニブ)」は、2024年11月20日に発売されたROS1/TRK/ALKチロシンキナーゼ阻害薬。「オータイロ」は、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに対して、2023年10月25日に承認申請され、2024年9月24日に承認された。この承認は、P ...
【ROS1陽性肺がん:一次治療(ORR)】オータイロ
TRIDENT-1(NEJM)                        ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんと診断された71名が初めてのROS1 TKI治療として「オータイロ」治療を受けた結果、79%の人が治療に奏効し、奏効が34.1ヵ月持続した。 【発表】 2024年1 ...
【ROS1陽性肺がん:二次治療(ORR)】オータイロ
TRIDENT-1(NEJM)                        ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんと診断され、 ROS1 TKI治療を受けたことがあるが、化学療法はまだ受けていない56名が「ROS1 TKI オータイロ」治療を受けた結果、38%の人が治療に奏効し ...

 

1.3.4 MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の非小細胞肺がん

ハイイータン(一般名:グマロンチニブ)」は、6月24日、「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対して承認され、10月11日に発売されたことにより、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の場合における3つ目の選択肢となった。

【レジメン図鑑】ハイイータン(MET陽性肺がん)
「ハイイータン(一般名:グマロンチニブ)」は、2024年6月24日、「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対して、承認されたMET阻害薬。この承認は、Phase 2試験『GLORY試験』の結果に基づく。発売は同年10月11日。 【 ...
【トライアル図鑑】GLORY(MET陽性肺がん)
【試験名】 GLORY(Phase 2)〔NCT04270591/jRCT2051200072〕 【試験開始日】 2020年7月1日 【試験終了予定日】 2021年12月31日 【試験参加国】 日本(愛媛大学医学部附属病院、九州大学病院、神奈川県立がんセンター、新潟県立がんセンタ ...

 

1.4 小細胞肺がん

12月27日、「DLL3標的BiTE抗体 イムデトラ(一般名:タルラタマブ)」が「がん化学療法後に増悪した小細胞肺がん」に対して承認された。現在の標準治療である「プラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬」治療に不応となった場合の治療として期待される。

【明日のレジメン図鑑】イムデトラ(小細胞肺がん)
「イムデトラ(一般名:タルラタマブ)」治療は、「がん化学療法後に増悪した小細胞肺がん」に対して、2024年5月15日に承認申請されたDLL3標的BiTE抗体。同年12月27日、承認された。 この承認は、Phase 2試験『DeLLphi-301試験』の結果に基づく。 【承認日】 ...
【小細胞肺がん:二次治療(ORR)】イムデトラ
DeLLphi-301(NEJM)                        小細胞肺がんと診断され、1回以上のプラチナ製剤を含む化学療法後に進行または再発した100名が「DLL3標的BiTE抗体イムデトラ」治療を受けた結果、40%の人が治療に奏効した。 【発表】 2023年 ...

 

7月31日、「根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められない限局型小細胞肺がん」を対象に「イミフィンジ」治療が承認申請された。本申請の根拠となったPhase 3試験『ADRIATIC』の結果がNEJM誌に発表されたのも2024年(9月)であった。

【明日のレジメン図鑑】イミフィンジ(限局型小細胞肺がん:維持療法)
「イミフィンジ」単剤治療は、「切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法」に対して承認されているレジメンであるが、2024年7月31日に新たに「根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められない限局型小細胞肺がん」を対象に承認申請された。この申請は、P ...
【限局型小細胞肺がん:維持療法】「化学放射線療法→イミフィンジ」vs「化学放射線療法」
ADRIATIC(NEJM)                         限局型小細胞肺がんと診断され、同時化学放射線療法を受け、増悪しなかった人が次の治療を考える場合、「イミフィンジ」治療を選択することで、無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。 【発表】 2024年9 ...

 

2.  乳がん

2.1 抗TROP2抗体薬物複合体

2024年の乳がん治療の進歩として、「抗TROP2抗体薬物複合体」の登場について語らずにはいられない。9月に「トロデルビ(一般名:サシツズマブ ゴビテカン)」が、12月には「ダトロウェイ(一般名:ダトポタマブ デルクステカン)」が承認された。「トロデルビ」は「化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2 陰性の手術不能又は再発乳がん」に、「ダトロウェイ」は「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」に選択できる。

【レジメン図鑑】トロデルビ(乳がん)
「トロデルビ(一般名:サシツズマブ ゴビテカン)」は2024年11月20日に発売された抗Trop-2抗体薬物複合体。2024年9月24日、「化学療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性乳がん」を対象に承認された。本承認はPhase 3試験『ASCENT試 ...
【明日のレジメン図鑑】ダトロウェイ(乳がん)
抗Trop-2抗体薬物複合体「ダトロウェイ(一般名:ダトポタマブ デルクステカン)」が「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または転移を有する乳がん」を対象に2024年3月14日に承認申請され、同年12月27日に承認された。この承認は、Phase 3試験『TROPION- ...

 

2.2 PI3K/AKT/PTEN経路

PI3K/AKT/PTEN経路を阻害する治療も進歩した。3月に「トルカプ(一般名:カピバセルチブ)+フェソロデックス」併用療法が「内分泌療法後に増悪したPIK3CAAKT1またはPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」に対して承認され、「トルカプ錠」が5月に発売された。しかし、「トルカプ」のコンパニオン診断薬として認められているのは、「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」という「がんゲノムプロファイリング検査」のみであり、算定できる診療報酬「悪性腫瘍組織検査」が検査会社に支払う費用を下回るため、実臨床では標準治療が終了した女性にしか「トルカプ」が使われていないという。

【レジメン図鑑】トルカプ+フェソロデックス(HR陽性乳がん)
「 トルカプ(一般名:カピバセルチブ)」は、2024年3月24日に、「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」の効能・効果として、「フェソロデックス」との併用療法において承認されたAKT ...
【トライアル図鑑】  CAPItello-291(HR陽性乳がん:二次内分泌療法)
【試験名】 CAPItello-291(Phase 3)〔NCT04305496/jRCT2080225182〕 【試験開始日】 2020年3月1日 【試験終了予定日】 2024年10月8日 【試験参加国】 日本(千葉県がんセンター、九州がんセンター、福島県立医科大学附属病院、埼 ...

 

PIK3CA変異を有するホルモン受容体陽性かつHER陰性の転移乳がんに対する「経口PIK3Kα阻害薬 イナボリシブイブランスフェソロデックス」併用療法の有用性を示したPhase3試験『INAVO120』の結果が10月にNEJM誌に発表された。「イナボリシブ」の国内での独占的開発権と販売権を中外製薬が取得したことを7月31日に発表している。

【HR陽性PI3CA陽性乳がん:一次内分泌療法(PFS)】「イナボリシブ+イブランス+フェソロデックス」vs「イブランス+フェソロデックス」
INAVO120(NEJM)                         HR陽性HER2陰性PICK3CA変異陽性乳がんと診断され、術後補助療法加療中または終了1年以内に再発した女性が次の治療を考える場合、「フェソロデックス+イブランス」治療に「PI3K阻害薬イナボリシブ」 ...

 

一方、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の進行乳がんの二次内分泌療法として「イムルネストラントベージニオ」併用療法の有用性を示したPhase 3試験『EMBER-3』の結果が12月にNEJM誌に発表された。この試験における「イムルネストラントベージニオ」併用療法の有用性はPIK3CA変異の有無に関係なく認められている。

【ER陽性乳がん:二次治療】「イムルネストラント」vs「フェソロデックス+アロマシン」
EMBER-3(NEJM)                         ER陽性HER2陰性進行乳がんと診断され、「アロマターゼ阻害薬±CDK4/6阻害薬」加療後に増悪した女性が次の治療を考える場合、「イムルネストラント」治療を選択することで、「フェソロデックス+アロマシン」 ...

 

2.3 HER2低発現

6月にはHER2低発現HR陽性の転移性乳がんの内分泌療法後に病勢が進行した乳がんへの「エンハーツ」治療の有用性を示したPhase3試験『DESTINY-Breast06』の結果がNEJM誌に発表された。本試験の結果に基づき、10月4日、「エンハーツ」は「1つ以上の内分泌療法を受けた化学療法未治療のHER2低発現またはHER2超低発現の転移再発乳がん治療」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請が行われた。

【明日のレジメン図鑑】エンハーツ(HER2低発現乳がん)
2024年10月4日、「エンハーツ」が「一つ以上の内分泌療法を受けた化学療法未治療のHER2低発現(IHC 1+ または IHC 2+/ISH-)またはHER2超低発現(膜染色を認めるIHC 0)の転移再発乳がん」を対象に承認申請された。この申請は、Phase 3試験『DESTI ...
【HER2低発現HR陽性乳がん:一次化学療法(PFS)】「エンハーツ」vs「化学療法」
DESTINY-Breast06(NEJM)                    HER2低発現HR陽性の転移性乳がんと診断され、内分泌療法で病勢進行が認められたが、化学療法未治療の女性が次の治療を考える場合、「エンハーツ」治療を選択することで、「単剤化学療法(カペシタビン、パ ...

 

2.4 BRCA遺伝子変異陽性

1月18日、「PARP阻害薬 ターゼナ(一般名:タラゾパリブ)」単剤治療が「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」に対して承認され、4月23日に発売された。

【レジメン図鑑】ターゼナ(BRCA陽性乳がん)
「ターゼナ」はがん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がんに対して、2024年1月18日に承認されたPARP阻害薬。この申請は、Phase3試験『EMBRACA試験』や国内Phase 1試験の結果に基づく。 【承認日】 2024年1月18日 ...
【トライアル図鑑】EMBRACA(BRCA陽性乳がん)
【試験名】 EMBRACA(Phase 3)〔NCT01945775〕 【試験開始日】 2013年10月14日 【試験終了予定日】 2017年9月15日 【試験参加国】 米国、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、フランス、ドイツ、アイルランド、イスラエル、イタリア、韓国、ポーラン ...

 

 

3.食道がん・胃がん

進行・再発胃がんについては2つの治療が承認され、新たな選択肢として加わった。

1つ目は、3月26日に「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」に対して承認された「ビロイ+化学療法」である。CLDN18.2(Claudin-18 splice variant 2)を標的とした初めての治療。本承認は、Phase 3試験『SPOTLIGHT』および『GLOW』の結果に基づいている。

【レジメン図鑑】ビロイ+CAPOX(胃がん)
「抗Claudin 18.2抗体 ビロイ」は「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を対象に、2024年3月26に承認された抗CLDN18.2モノクローナル抗体。この承認は、Phase 3試験『SPOTLIGHT』および『GLOW』の結果に基づいている。『GLO ...
【レジメン図鑑】ビロイ+FOLFOX(胃がん)
「抗Claudin 18.2抗体 ビロイ」は、「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を対象に2024年3月26日承認された抗CLDN18.2モノクローナル抗体。本承認は、Phase 3試験『SPOTLIGHT』および『GLOW』の結果に基づいている。『SPOT ...

 

2つ目は、5月17日に「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」に対して承認された「キイトルーダ+化学療法」。本承認は、Phase 3試験『KEYNOTE-859試験』の結果に基づいている。

【レジメン図鑑】キイトルーダ+CAPOX(胃がん)
「キイトルーダ+CAPOX」は治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対して、Phase 3試験『KEYNOTE-859試験』の結果に基づき、2023年5月12日に承認申請され、2024年5月17日に承認された。 【承認日】 2024年5月17日 【効能及び効果】 治癒切除不能な進行・ ...
【レジメン図鑑】キイトルーダ+5-FU+シスプラチン(胃がん)
「キイトルーダ+5-FU+シスプラチン」は治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対して、Phase 3試験『KEYNOTE-859試験』の結果に基づき、2023年5月12日に承認申請され、2024年5月17日に承認された。 【承認日】 2024年5月17日 【効能及び効果】 治癒切除 ...

 

食道がんの術前補助療法については、「ドセタキセルシスプラチン5-FU」3剤併用術前化学療法が標準治療となった。この根拠となった日本で実施されたPhase3試験『JCOG1109 NExT』がLancet誌に発表されたのは2024年6月である。

【食道がん:術前治療(3年OS)】「ドセタキセル+シスプラチン+5-FU」vs「シスプラチン+5-FU」
JCOG1109 NExT(Lancet)                      局所進行食道扁平上皮がんと診断された人が手術前の補助化学療法を考える場合、「シスプラチン+5-FU」治療に「放射線療法」の上乗せを選択しても3年生存率の向上は期待しにくいが、「ドセタキセル」の上 ...

 

 

4. 大腸がん

大腸がんにおいては、9月24日、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」に対する「フリュザクラ」治療が承認され、「フリュザクラ カプセル」が11月22日に発売された。本承認は日本も参加したPhase3試験『FRESCO-2』試験に基づいており、「ロンサーフ」治療、「スチバーガ」治療のいずれかまたは両方を受けたことがある大腸がんへの治療選択肢が誕生した。

【レジメン図鑑】フリュザクラ(大腸がん:四次治療)
「フリュザクラ(一般名:フルキンチニブ)」は、2024年11月22日に発売されたVEGFR1/2/3阻害薬。2023年9月29日に承認申請され、2024年9月24日、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を対象に承認された。この承認は、Phase 3 ...
【大腸がん:四次治療(OS)】「フリュザクラ+支持療法」vs「支持療法」
FRESCO-2(Lancet)                        遠隔転移を有する大腸がんと診断され、あらゆる標準治療を受けた人が次の治療を考える場合、「支持療法」に「フリュザクラ」の上乗せを選択することで、生存期間の延長が期待できる。 【発表】 2023年6月14 ...

 

9月12日、「オプジーボヤーボイ」治療が「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」に対し、承認申請された。この申請は、Phase 3試験『CheckMate 8HW試験』の結果に基づいているが、本試験結果が11月にNEJM誌に発表された。

【明日のレジメン図鑑】オプジーボ+ヤーボイ(大腸がん)
「オプジーボ+ヤーボイ」治療は、2024年9月12日に「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」に対し、承認申請された治療レジメン。この承認申請は、Phase 3試験『CheckMate 8HW試験』の結果に基づく。 ...
【MSI-H大腸がん:一次治療(PFS)】「オプジーボ+ヤーボイ」vs「化学療法」
CheckMate 8HW(NEJM)                      遠隔転移を有するMSI-H/dMMR大腸がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「オプジーボ+ヤーボイ」治療を選択することで、「化学療法」を選択した場合を上回る2年無増悪生存率が期待できる。 ...

 

 

5.肝細胞がん

肝細胞がんにおいては、8月9日、「オプジーボヤーボイ」治療が「切除不能な肝細胞がん」に対し、承認申請された。この申請は、Phase 3試験『CheckMate 9DW試験』の結果に基づいている。

【明日のレジメン図鑑】オプジーボ+ヤーボイ(肝細胞がん)
「オプジーボ+ヤーボイ」治療は、2024年8月9日に「切除不能な肝細胞がん」に対し、承認申請された治療レジメン。この承認申請は、Phase 3試験『CheckMate 9DW試験』の結果に基づく。 【承認申請日】 2024年8月9日 【効能及び効果】 切除不能な肝細胞がん 【さら ...
【肝細胞がん:一次治療(OS)】「オプジーボ+ヤーボイ」vs「ネクサバール」
CheckMate 9DW                           切除不能な進行肝細胞がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「オプジーボ+ヤーボイ」治療を選択することで、「ネクサバール(またはレンビマ)」治療を選択した場合を上回る生存期間が期待できる。 【学 ...

 

 

6. 胆道がん

進行胆道がんについては2つの治療が承認され、新たな選択肢として加わった。

1つ目は、5月17日に「切除不能な胆道がん」に対して承認された「キイトルーダゲムシタビンシスプラチン」である。本承認は、Phase 3試験『KEYNOTE-966』の結果に基づいている。

【レジメン図鑑】キイトルーダ+ゲムシタビン+シスプラチン(胆道がん)
「キイトルーダ+ゲムシタビン+シスプラチン」治療は、2023年6月13日、「切除不能な胆道がん」を対象に承認申請され、2024年5月17日に承認された治療レジメン。 本申請はPhase3試験『KEYNOTE-966』の結果に基づいている。 【承認日】 2024年5月17日 【効能 ...
【胆道がん:一次治療(OS)】「化学療法+キイトルーダ」vs「化学療法」
KEYNOTE-966(Lancet)                      切除不能な局所進行または転移性胆道がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「ゲムシタビン+シスプラチン」治療に「キイトルーダ」の上乗せを選択することで生存期間の延長が期待できる。 「キイトルー ...

 

2つ目は、9月24日に「がん化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」に対して承認された「タスフィゴ(一般名:タスルグラチニブ)」治療。11月20日に「タスフィゴ錠」が発売され、「ペマジール」、「リトゴビ」に次ぐ、国内3剤目の経口投与可能な低分子のFGFR阻害薬となった。

【レジメン図鑑】タスフィゴ(FGFR2陽性胆道がん)
「タスフィゴ(一般名:タスルグラチニブ)」は、2024年11月20日に発売されたFGFR選択的阻害薬。2023年12月18日、「がん化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を対象に承認申請され、2024年9月24日に承認された。 【承認日】 2024年9 ...

 

 

7. 尿路上皮がん

尿路上皮がんの治療は2024年に大きく進歩した。新たに3つの治療レジメンが承認され、治療選択肢が増えた。

その1つ目は「キイトルーダパドセブ」治療である。2024年1月31日、「根治切除不能な尿路上皮がん」を対象に承認申請され、8ヵ月後の9月24日に承認された。これより前の2023年11月20日に「バルバーサ」治療が、2023年12月18日に「オプジーボゲムシタビンシスプラチン」治療が承認申請されていたので、これらを追い抜き、先に承認されたことになる。

これによって「根治切除不能な尿路上皮がん」の一次治療として免疫チェックポイント阻害薬が選択できるようになった。承認の根拠となった『KEYNOTE-A39(EV-302)』試験がNEJMに発表されたのも2024年だ。

【レジメン図鑑】キイトルーダ+パドセブ(尿路上皮がん)
2024年1月31日、「キイトルーダ+パドセブ」併用療法が「根治切除不能な尿路上皮がん」を対象に承認申請され、同年9月24日、承認された。この承認は、Phase 3試験『EV-302/KEYNOTE-A39試験』の結果に基づく。 【承認日】 2024年9月24日 【効能及び効果】 ...
【尿路上皮がん:一次治療(OS、PFS)】「キイトルーダ+パドセブ」vs「化学療法」
EV-302/KEYNOTE-A39(NEJM)                  局所進行性または転移性尿路上皮がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「キイトルーダ+パドセブ」治療を選択することで「化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン(またはカルボプラチン)」を選択する ...

 

続いて12月27日には、「オプジーボゲムシタビンシスプラチン」治療も「根治切除不能な尿路上皮がん」を対象に承認された。

【レジメン図鑑】オプジーボ+ゲムシタビン+シスプラチン(尿路上皮がん)
「オプジーボ+ゲムシタビン+シスプラチン」併用療法が「根治切除不能な尿路上皮がん」を対象に2023年12月18日に承認申請され、2024年12月27日承認された。 【承認日】 2024年12月27日 【効能及び効果】 根治切除不能な尿路上皮癌 【さらに詳しく】 ニボルマブの根治切 ...
【尿路上皮がん:一次治療(OS、PFS)】「オプジーボ+化学療法」vs「化学療法」
CheckMate 901(NEJM)                      シスプラチン適格の切除不能または転移を有する尿路上皮がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「シスプラチン+ゲムシタビン」治療に「オプジーボ」の上乗せを選択することで、無増悪生存期間および生存 ...

 

同じ12月27日には、「がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん」に対し、「 バルバーサ」治療が承認された。承認の根拠となった『THOR』試験は、免疫チェックポイント阻害薬を含む治療歴のある根治切除不能な尿路上皮がんが対象となっている。

【明日のレジメン図鑑】バルバーサ(FGFR3陽性尿路上皮がん)
「 バルバーサ(一般名:エルダフィチニブ)」は「がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん」に対して、2024年12月27日に承認されたFGFR阻害薬。この承認は、Phase 3試験『THOR試験』の結果に基づく。 【承認日】 2 ...
【FGFR陽性尿路上皮がん:三次治療(OS)】「バルバーサ」vs「化学療法」
THOR cohort 1(NEJM)                      FGFR遺伝子変異陽性転移性尿路上皮がんと診断され、抗PD-1抗体を含む1-2ライン加療後に進行した人が次の治療を考える場合、「FGFR阻害薬 バルバーサ」治療を選択することで、「化学療法(ドセタキ ...
【FGFR陽性尿路上皮がん(日本人):三次治療(OS)】「バルバーサ」vs「化学療法」
THOR cohort 1(Int J Clin Oncol)                  日本人でもFGFR遺伝子変異陽性転移性尿路上皮がんと診断され、抗PD-1抗体を含む1-2ライン加療後に進行した人が次の治療を考える場合、「FGFR阻害薬 バルバーサ」治療を選択するこ ...

 

 

8. 腎細胞がん

2024年8月、NEJM誌に「経口HIF-2α阻害薬 ベルズチファン」のPhase3試験『LITESPARK-005』が発表された。本試験の結果に基づいて、7月には「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」を対象に承認申請された。承認されれば、免疫チェックポイント阻害薬、VEGF阻害薬を含む治療が不応となった場合の治療選択肢が増えることになる。

【明日のレジメン図鑑】ベルズチファン(腎細胞がん)
2024年7月22日、「経口HIF-2α阻害薬 ベルズチファン」単剤治療が「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」を予定適応症として承認申請された。本承認申請は、『LITESPARK-005』試験の結果に基づいている。 【承認申請日】 2024年7月22日 【効能及び効果】 単剤 ...
【腎細胞がん:二次治療(PFS、OS)】「ベルズチファン」vs「アフィニトール」
LITESPARK-005(NEJM)                      進行腎細胞がんと診断され、抗PD-(L)1抗体療法、VEGF阻害薬治療歴がある人が次の治療を考える場合、「経口HIF-2α阻害薬 ベルズチファン」治療を選択することで「アフィニトール」治療を選択した ...

 

 

9. 前立腺がん

2024年1月18日、「イクスタンジターゼナ」併用療法が「BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん」に対して承認された。この承認は、Phase3試験『TALAPRO-2』の結果に基づいている。

【レジメン図鑑】イクスタンジ+ターゼナ(BRCA陽性去勢抵抗性前立腺がん)
「イクスタンジ+ターゼナ」治療は「BRCA遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん」に対して、2024年1月18日に承認された経口レジメン。この申請は、Phase3試験『TALAPRO-2試験』の結果に基づく。 【承認日】 2024年1月18日 【効能及び効果】 BRCA遺伝子 ...
【トライアル図鑑】TALAPRO-2(去勢抵抗性前立腺がん)
【試験名】 TALAPRO-2(Phase 3)〔NCT03395197/jRCT2080224595〕 【試験開始日】 2019年3月25日 【試験終了予定日】 2024年11月25日 【試験参加国】 日本(名古屋大学医学部附属病院、弘前大学医学部附属病院、国立がん研究センター ...

 

 

10. 子宮体がん

2024年、進行子宮体がんにおいて化学療法未治療の場合においても、免疫チェックポイント阻害薬を含む治療が選択できるようになった。

その1つが「イミフィンジカルボプラチンパクリタキセル」併用療法で、11月22日に承認された。維持療法としては「イミフィンジ」単剤療法が選択できるが、ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の場合は「イミフィンジリムパーザ」併用療法も選択できる。

【レジメン図鑑】「イミフィンジ+パクリタキセル+カルボプラチン」→「イミフィンジ」(子宮体がん:一次治療)
「イミフィンジ+パクリタキセル+カルボプラチン(導入療法)」→「イミフィンジ(維持療法)」は、進行または再発の子宮体がんに対して、2024年11月22日、承認された治療レジメン。 本治療の主な副作用は、貧血(61.8%)、悪心(54.6%)、疲労/無力症(54.2%)、脱毛症(5 ...
【レジメン図鑑】「イミフィンジ+パクリタキセル+カルボプラチン」→「イミフィンジ+リムパーザ」(子宮体がん:一次治療)
「イミフィンジ+パクリタキセル+カルボプラチン(導入療法)」→「イミフィンジ+リムパーザ(維持療法)」は、ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行または再発の子宮体がんに対して、2024年11月22日に承認された治療レジメン。 トライアルの詳細を見る 【今日の標準治療】 ...

 

もう1つの治療選択肢は「キイトルーダカルボプラチンパクリタキセル」併用療法で、12月27日に承認された。維持療法としては「キイトルーダ」単剤療法が選択できる。

【レジメン図鑑】キイトルーダ+パクリタキセル+カルボプラチン(子宮体がん)
「キイトルーダ+パクリタキセル+カルボプラチン」併用療法が「進行・再発の子宮体癌」に対して、2024年2月29日に承認申請され、同年12月27日に承認された。本承認は、Phase 3試験『KEYNOTE-868試験』の結果に基づいている。 【承認日】 2024年12月27日 【承 ...
【子宮体がん(pMMR、dMMR):一次治療(PFS)】「キイトルーダ+化学療法」vs「化学療法」
KEYNOTE-868(NEJM)                       進行子宮体がんと診断された女性が初めての治療を考える場合、「カルボプラチン+パクリタキセル」治療に「キイトルーダ」の上乗せを選択することで、ミスマッチ修復機構ある場合でも、ない場合でも無増悪生存期間の ...

 

 

11. 子宮頸がん

子宮頸がんでは、局所進行子宮頸がんに対する同時化学放射線療法に「キイトルーダ」の併用療法が11月22日に承認された。

【レジメン図鑑】キイトルーダ+化学放射線療法(子宮頸がん)
「キイトルーダ+化学放射線療法」は「局所進行子宮頸がん」に対して、2024年11月22日に承認された治療レジメン。本承認はPhase 3試験『KEYNOTE-A18試験』の結果に基づき、2024年2月29日に承認申請された。 【承認申請日】 2024年11月22日 【効能及び効果 ...
【局所進行子宮頸がん:化学放射線療法(2年PFS)】「キイトルーダ+化学放射線療法」vs「化学放射線療法」
KEYNOTE-A18(Lancet)                       高リスク局所進行子宮頸がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「化学放射線療法」に「キイトルーダ」の上乗せを選択することで、2年無増悪生存率の向上が期待できる。 本試験の結果に基づいて、20 ...
【局所進行子宮頸がん:化学放射線療法(3年OS)】「キイトルーダ+化学放射線療法」vs「化学放射線療法」
KEYNOTE-A18(Lancet)                       高リスク局所進行子宮頸がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「化学放射線療法」に「キイトルーダ」の上乗せを選択することで、3年生存率の向上が期待できる。 【発表】 2024年9月14日 【 ...

 

また、4月には「化学療法後に増悪した進行または再発子宮頸がん」に対しては、「チソツマブ ベドチン」単剤治療が承認申請され、一次治療が不応となった場合の治療選択肢が来年にも誕生する。本申請の根拠となっているPhase3試験『innovaTV301』がNEJM誌に発表されたのも2024年(7月)である。

【明日のレジメン図鑑】チソツマブ ベドチン(子宮頸がん)
「チソツマブ ベドチン」単剤治療は、「化学療法後に増悪した進行または再発子宮頸がん」を対象に承認申請された治療レジメン。本申請はPhase3試験『innovaTV301』などの結果に基づいている。 【承認申請日】 2023年4月26日 【効能及び効果】 化学療法後に増悪した進行ま ...
【子宮頸がん:二次治療(OS)】「チソツマブ ベドチン」vs「化学療法」
innovaTV301(NEJM)                       進行または再発子宮頸がんと診断され、一次または二次治療を受けたことがある女性が次の治療を考える場合、「チソツマブ ベドチン」療法を選択することで「化学療法(トポテカン、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリ ...

 

12. 多発性骨髄腫

血液がん治療の進歩は著しい。その中でも多発性骨髄腫の治療は目を見張る。

2025年には移植不適応の未治療多発性骨髄腫に新しい治療が誕生しそうだ。「サークリサベルケイドレブラミドデキサメタゾン」併用療法がPhase 3試験『IMROZ』の結果に基づいて、5月14日に承認申請された。『IMROZ』試験の結果がNEJM誌に発表されたのも2024年(6月)。

【明日のレジメン図鑑】サークリサ+VRd(多発性骨髄腫)
「サークリサ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」併用療法は、「未治療の多発性骨髄腫」に対して、2024年5月14日に承認申請された治療レジメン。この申請は、Phase 3試験『IMROZ』の結果に基づく。 【承認申請日】 2024年5月14日 【効能及び効果】 未治療の多発 ...
【多発性骨髄腫:一次治療(5年PFS)】「サークリサ+VRd」vs「VRd」
IMROZ(NEJM)                           移植の適応とならない多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」治療に「サークリサ」の上乗せを選択することで5年無増悪生存率の向上が期待できる。 本試験 ...

 

12月、くすぶり型骨髄腫に対しても治療の対象となる試験結果がNEJM誌に発表された。現在のくすぶり型骨髄腫に対する標準治療は多発性骨髄腫進展までの注意深い経過観察である。このPhase 3試験『AQUILA』において「ダラキューロの3年投与」が経過観察を上回る5年無増悪生存率が得られることが示された。

【くすぶり型多発性骨髄腫:一次治療(5年PFS)】「ダラキューロ」vs 「経過観察」
AQUILA(NEJM)                          高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「ダラキューロ(3年投与)」治療を選択することで「経過観察」を選択した場合を上回る5年無増悪生存率、5年生存率が期待できる。 【発 ...

 

2025年、「再発または難治性の多発性骨髄腫」の治療も充実が期待できる。9月17日には「抗BCMA抗体薬物複合体 ベランタマブ マホドチン」が「ベルケイドデキサメタゾン」および「ポマリストデキサメタゾン」との併用療法として、承認申請された。これらの承認申請は、Phase 3試験『DREAMM-7』、『DREAMM-8』などの結果に基づいているが、いずれの試験がNEJM誌に発表されたのも2024年(6月)。

【明日のレジメン図鑑】ベランタマブ マホドチン+Vd(多発性骨髄腫)
「ベランタマブ マホドチン」は、「ベルケイド+デキサメタゾン」などとの併用療法として、2024年9月17日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された抗BCMA抗体薬物複合体。本承認はPhase 3試験『DREAMM-7』などの結果に基づいている。 【承認申請日】 ...
【明日のレジメン図鑑】ベランタマブ マホドチン+Pd(多発性骨髄腫)
「ベランタマブ マホドチン」は、「ポマリスト+デキサメタゾン」などとの併用療法として、2024年9月17日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された抗BCMA抗体薬物複合体。本承認はPhase 3試験『DREAMM-8』などの結果に基づいている。 【承認申請日】 ...

 

そして何と言っても、2024年の大きな進歩は、「抗BCMA/CD3二重特異性抗体 エルレフィオ(一般名:エルラタナマブ)」の承認と言える。3月26日に「再発または難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能又は効果として承認され、エルレフィオ皮下注が5月22日に発売され、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した場合の選択肢が誕生した。

【レジメン図鑑】エルレフィオ(多発性骨髄腫)
「エルレフィオ(一般名:エルラナタマブ)」は、2024年3月26日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認され、同年5月22日に発売された抗BCMA/CD3二重特異性抗体。本承認はPhase 2試験『MagnetisMM-3』などの結果に基づいている。 【発売日】 202 ...

 

抗BCMA/CD3二重特異性抗体は「エルレフィオ」だけでなく、「テクベイリ(一般名:テクリスタマブ)」が12月27日に承認された。発売はまだであるが、2025年早期に標準的な治療が困難な場合の治療選択肢が増えそうである。

【明日のレジメン図鑑】テクベイリ(多発性骨髄腫)
「テクベイリ」は、2024年5月22日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された抗BCMA/CD3二重特異性抗体。同年12月27日に承認された。本承認はPhase 1/2試験『MajesTEC-1』などの結果に基づいている。 【承認日】 2024年12月27日 【 ...

 

さらには「抗GPRC5D/CD3二重特異性抗体 トアルクエタマブ」が11月20日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」に対し、承認申請された。

【明日のレジメン図鑑】トアルクエタマブ(多発性骨髄腫)
「トアルクエタマブ」は、2024年11月20日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された抗GPRC5D/CD3二重特異性抗体。本承認はPhase 1/2試験『MonumenTAL-1』、国内Phase1試験『MMY1003』の結果に基づいている。 【承認申請日】 ...

 

 

13. 悪性リンパ腫/慢性リンパ性白血病

血液がんの二重特異性抗体は多発性骨髄腫だけでない。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫においても2024年進歩した。

13.1 濾胞性リンパ腫

12月27日、「CD3/CD20二重特異性抗体 ルンスミオ(一般名:モスネツズマブ)」単剤治療が「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能及び効果として承認された。発売は来年になるが、まもなく濾胞性リンパ腫(Grade 1-3Aを含む)におても二重特異性抗体が選択できるようになる。

【明日のレジメン図鑑】ルンスミオ(濾胞性リンパ腫)
「ルンスミオ(一般名:モスネツズマブ)」単剤治療が「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能及び効果として2024年12月27日に承認された。 【承認日】 2024年12月27日 【承認申請日】 2024年3月14日 【効能及び効果】 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫 (本剤による治 ...

 

また、同じCD3/CD20二重特異性抗体である「エプキンリ(一般名=エプコリタマブ)」も3月11日、「再発または難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 1-3A)」に対して承認申請しており、来年早々の承認が期待されている。

【明日のレジメン図鑑】エプキンリ(濾胞性リンパ腫)
2023年11月22日に発売された抗CD3/CD20二重特異性抗体製剤「エプキンリ(一般名=エプコリタマブ)」が、2024年3月11日、「再発または難治性の濾胞性リンパ腫(Grade 1-3A)」に対して承認申請された。本申請は『EPCORE NHL-1』試験および国内Phase ...

 

13.2 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

同じくCD3/CD20二重特異性抗体の「グロフィタマブ」が「ゲムシタビンオキサリプラチン」との併用療法における「再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」に対する有用性を検証したPhase3試験『STARGLO』(日本不参加)が11月にLancet誌に発表された。

【びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:二次治療(OS)】「グロフィタマブ+GemOx」vs「リツキサン+GemOx」
STARGLO(Lancet)                         びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断され、標準治療を受けたが効果が認められなかったか、治療終了後に再発した人が次の治療を考える場合、「グロフィタマブ+GemOX(ゲムシタビン+オキサリプラチン)」治療 ...

 

13.3 マントル細胞リンパ腫

CD3/CD20二重特異性抗体だけでなく、BTK阻害薬を含む治療レジメンも進歩している。

「BTK阻害薬 ジャイパーカ(一般名:ピルトブルチニブ)」単剤治療が6月24日に「他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」を効能又は効果として承認され、8月21日に「ジャイパーカ錠」が発売され、マントル細胞リンパ腫のlate lineの治療選択肢が誕生した。

【レジメン図鑑】ジャイパーカ(マントル細胞リンパ腫)
「ジャイパーカ」は2024年6月24日、「他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」に対して承認されたBTK阻害薬。同年8月21日に発売された。 【承認日】 2024年6月24日 【効能及び効果】 他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性 ...

 

7月12日には「BTK阻害薬 イムブルビカベネクレクスタ」併用療法が「再発または難治性のマントル細胞リンパ腫」を予定適応症として承認申請された。

【明日のレジメン図鑑】ベネクレクスタ+イムブルビカ併用療法(マントル細胞リンパ腫)
「ベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス)」は、2024年7月12日に「イムブルビカ(一般名:イブルチニブ)」との併用療法において「再発または難治性のマントル細胞リンパ腫」を予定適応症として承認申請された。 本申請は、海外Phase3試験『SYMPATICO』および国内Phase ...

 

13.4 慢性リンパ性白血病

慢性リンパ性白血病においては、12月20日、「イムブルビカベネクレクスタ」併用療法、「ガザイバベネクレクスタ」併用療法が「未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫」を予定適応症として承認申請された。

【明日のレジメン図鑑】ベネクレクスタ+イムブルビカ併用療法(慢性リンパ性白血病)
「ベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス)」は、2024年12月20日に「イムブルビカ(一般名:イブルチニブ)」との併用療法において「未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫」を予定適応症として承認申請された。 本申請は、海外Phase3試験『GLOW』および国内Phas ...
【明日のレジメン図鑑】ベネクレクスタ+ガザイバ併用療法(慢性リンパ性白血病)
「ベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス)」は、2024年12月20日に「ガザイバ(一般名:オビヌツズマブ)」との併用療法において「未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫」を予定適応症として承認申請された。 本申請は、海外Phase3試験『CLL14』および国内Phas ...

 

同じく慢性リンパ性白血病においては、BTK阻害薬「ブルキンザ(一般名:ザヌブルチニブ)」が「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を対象に12月27日に承認された。日本で承認されたBTK阻害薬としては5番目となり、慢性リンパ性白血病に適応があるBTK阻害薬としては3番目、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫に適応があるBTK阻害薬としても3番目となる。

【明日のレジメン図鑑】ブルキンザ(慢性リンパ性白血病)
「ブルキンザ(一般名:ザヌブルチニブ)」は「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を対象に2024年12月27日に承認されたBTK阻害薬。 【承認日】 2024年12月27日 【効能及び効果】 慢性リンパ性白血病( ...

 

13.5 末梢性T細胞リンパ腫

悪性リンパ腫治療の進歩はB細胞リンパ腫だけではない。末梢性T細胞リンパ腫においては「EZH1/2阻害薬 エザルミア(一般名:バレメトスタット トシル酸)」が「再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能又は効果として、6月24日に承認された。本試験の根拠となったPhase2試験『VALENTINE-PTCL01』がLancet Oncol誌に発表されたのも2024年(10月)。

【レジメン図鑑】エザルミア(末梢性T細胞リンパ腫)
2024年1月31日、「エザルミア」が「再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を対象に承認申請され、2024年6月24日、承認された。この申請は、Phase 2試験『VALENTINE-PTCL01試験』の結果に基づく。 【承認日】 2024年6月24日 【効能及び効果】 再発 ...

 

13.6 ホジキンリンパ腫

そして非ホジキンリンパ腫だけでなく、ホジキンリンパ腫においても治療は進歩している。米国で実施されたPhase 3試験『SWOG S1826』では「AVDオプジーボ」療法が「AVDアドセトリス」療法を上回る無増悪生存期間を示したことが10月にNEJM誌に発表された。

【ホジキンリンパ腫:一次治療(2年PFS)】「オプジーボ+AVD」vs「アドセトリス+AVD」
SWOG S1826(NEJM)                        ⅢまたはⅣ期の古典的ホジキンリンパ腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「AVD+オプジーボ」療法を選択することで、「AVD+アドセトリス」療法を選択した場合を上回る2年無増悪生存率が期待できる ...

 

 

14. 白血病

慢性骨髄性白血病においては「セムブリックス」治療の第1世代または第2世代TKIに対する有用性が示されたPhase 3試験『ASC4FIRST』が5月31日にNEJM誌に発表された。ノバルティス社によると、「セムブリックス」について初発の慢性骨髄性白血病に対し、承認申請中であることを日本の公式ホームページにて発表している。

【慢性骨髄性白血病:一次治療(MMR)】「セムブリックス」vs「BCR-ABL TKI」
ASC4FIRST(NEJM)                         フィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血病と診断された人が初めての治療を考える場合、「セムブリックス」治療を選択することで「第1世代または第2世代TKI(グリベック、スプリセル、ボシュリフより医師が ...

 

「二重特異性抗体 ビーリンサイト」を含む治療についてNEJM誌に2報発表された。

7月に、成人B細胞急性リンパ芽球性白血病における地固療法としての「ビーリンサイト」の有用性を示したPhase3試験『E1910(日本不参加)』がNEJM誌に発表された。

【B細胞急性リンパ芽球性白血病:地固め療法(3年OS)】「ビーリンサイト+化学療法」vs「化学療法」
E1910(NEJM)                           30〜70歳でPh陰性のB細胞急性リンパ芽球性白血病と診断され、導入化学療法により微小残存病変(MRD)陰性を得られた人が地固め療法を考える場合、「化学療法」に「ビーリンサイト」の上乗せを選択することで、 ...

 

12月には、小児B細胞急性リンパ性白血病における「ビーリンサイト+化学療法」の有用性を示したPhase3試験『AALL1731(日本不参加)』がNEJM誌に発表された。

【B細胞急性リンパ性白血病:一次治療(3年DFS)】「ビーリンサイト+化学療法」vs「化学療法」
AALL1731(NEJM)                         中等度または高リスクのB細胞急性リンパ性白血病と診断された小児が初めての治療を考える場合、「化学療法」に「ビーリンサイト」の上乗せを選択することで3年無病生存率の向上が期待できる。 【発表】 2024年 ...