
GOG218(NEJM)
ⅢまたはⅣ期上皮性卵巣がんと診断された女性が初めての治療を考える場合、「化学療法による導入療法」に「アバスチン」を上乗せし、その後「アバスチンによる維持療法」を選択することで無増悪生存期間の延長が期待できる。
試験では、「化学療法」として「パクリタキセル 175mg/㎡+カルボプラチン AUC 6」(1〜6サイクル)が用いられた。「アバスチン」は、2〜6サイクルの導入療法のみの場合と、2〜22サイクルの導入療法+維持療法の2つの治療方法が比較された。
【発表】
2011年12月29日
【試験名】
【原著】
N Engl J Med. 2011;365:2473-83. [PubMed:22204724]
【さらに詳しく】
- 卵巣癌一次治療へのベバシズマブの組込み〔NEJM日本語アブストラクト〕
- ベバシズマブの化学療法との併用およびメンテナンス療法が進行卵巣癌の無増悪生存期間を延長【ASCO2010】〔日経メディカル〕
- ベバシズマブの化学療法併用かつメインテナンス療法が進行卵巣癌に有効〔日経メディカル〕
- アバスチンは卵巣癌の進行を遅延するが全生存期間を改善しない可能性がある〔日経メディカル〕
【こちらの図鑑も合わせて見る】
【添付文書における表記】
化学療法未治療の上皮性卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌患者を対象に、カルボプラチン・パクリタキセル療法(CP療法)を対照群(CPP群注10))とし、CP療法に本剤15mg/kgを併用投与したCPB15群注11)及び本剤15mg/kgを併用・継続投与したCPB15+群注12)の3群による有効性を検討した。CP療法はいずれの群でも6サイクルまでとし、本剤又はプラセボは投与開始から病勢進行又は21サイクルまで投与した。その結果、CPB15+群で、CPP群に比べ主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長が認められた。なお、CPB15群では、有意な無増悪生存期間の延長は認められなかった。
注10)21日を1サイクルとし、CP療法の2サイクル目から第1日目に他剤投与終了後にプラセボを投与し、CP療法の中止又は終了後もプラセボを継続投与した群
注11)21日を1サイクルとし、CP療法の2サイクル目から第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与し、CP療法の中止又は終了後はプラセボを継続投与した群
注12)21日を1サイクルとし、CP療法の2サイクル目から第1日目に他剤投与終了後に本剤を投与し、CP療法の中止又は終了後も本剤を継続投与した群
副作用発現率は、CPB15群で99.2%(602/607例)、CPB15+群で99.7%(606/608例)であった。主な副作用は、CPB15群で好中球数減少94.6%(574/607例)、白血球数減少94.4%(573/607例)、ヘモグロビン減少90.0%(546/607例)、疲労69.7%(423/607例)、血小板数減少69.2%(420/607例)、末梢性感覚ニューロパシー63.1%(383/607例)、脱毛症49.9%(303/607例)、悪心49.4%(300/607例)、便秘41.2%(250/607例)、下痢31.8%(193/607例)であり、CPB15+群で好中球数減少94.7%(576/608例)、白血球数減少94.1%(572/608例)、ヘモグロビン減少90.3%(549/608例)、疲労77.5%(471/608例)、血小板数減少70.4%(428/608例)、末梢性感覚ニューロパシー63.5%(386/608例)、悪心55.1%(335/608例)、脱毛症50.3%(306/608例)、便秘42.9%(261/608例)、関節痛34.2%(208/608例)であった注19)。
注19)カットオフ日:2010年2月5日