現在、日本を含む国際共同Phase 3試験が進行中の乳がん治療についてまとめた。現時点で、文献発表されていない試験が28件ある。
1. 切除可能な乳がん
1-1. 切除可能なHER2陽性乳がん
「エンハーツ」による術前補助療法、術後補助療法の有用性を検証するPhase3試験『DESTINY-Breast05』、『DESTINY-Breast11』が現在、進行中である。
【HER2陽性乳がん:術前治療(pCR)】「エンハーツ」vs「AC→THP」
【HER2陽性乳がん:術後治療(iDFS)】「エンハーツ」vs「カドサイラ」
1-2. 切除可能なHR陽性またはER陽性乳がん
現在、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)の有用性を検証するために、従来の単剤内分泌療法を比較するPhase3試験が1件進行中である。
【ER陽性乳がん:周術期治療(pCR)】「キイトルーダ+化学療法→手術→キイトルーダ+内分泌療法」vs「化学療法→手術→内分泌療法」
【HER2陽性HR陽性乳がん:術後治療(iDFS)】「ベージニオ+内分泌療法」vs「内分泌療法」
【ER陽性乳がん:術後治療(iDFS)】「イムルネストラント」vs「アロマターゼ阻害薬」
【ER陽性乳がん:術後治療(iDFS)】「ギレデストラント」vs「単剤内分泌療法」
【ER陽性乳がん:術後治療(iDFS)】「カミゼストラント」vs「アロマターゼ阻害薬」
【HR陽性乳がん:術後治療(iDFS)】「アムセネストラント」vs「タモキシフェン」
1-3. 切除可能なトリプルネガティブ乳がん
トリプルネガティブ乳がんの周術期治療としては、「キイトルーダ+ドキソルビシン(またはエピルビシン)+シクロホスファミド」が本邦でも承認されているが、術後補助療法として「テセントリク+パクリタキセル→ドキソルビシン(またはエピルビシン)+シクロホスファミド」治療の有用性を検証するIMpassion030試験が進行中である。
【トリプルネガティブ乳がん:術前治療(pCR)】「テセントリク+化学療法」vs「化学療法」
【トリプルネガティブ乳がん:術後治療(iDFS)】「化学療法+テセントリク」vs「化学療法」
【トリプルネガティブ乳がん:周術期治療(EFS)】「ダトポタマブ デルクステカン+イミフィンジ」vs「キイトルーダ+化学療法」
【トリプルネガティブ乳がん:術後治療(DFS)】「ゼジューラ」vs「経過観察」
2. 切除不能なHER2陽性乳がん
2-1. 一次治療
切除不能なHER2陽性乳がんの一次治療として「エンハーツ」または「エンハーツ+パージェタ」の有用性を検証するPhase3試験『DESTINY-Breast09』が現在、進行中である。
【HER2陽性乳がん:一次治療(PFS)】「エンハーツ+パージェタ」vs「ハーセプチン+パージェタ+タキサン」
【HER2陽性乳がん:維持療法(PFS)】「ツカチニブ+ハーセプチン+パージェタ」vs「ハーセプチン+パージェタ」
2-2. 二次治療
切除不能なHER2陽性乳がんの二次治療として「ツカチニブ+カドサイラ」の有用性を検証するPhase3試験『HER2CLIMB-02』が現在、進行中である。
【HER2陽性乳がん:二次治療(PFS)】「ツカチニブ+カドサイラ」vs「カドサイラ」
3. 切除不能なHR陽性またはER陽性乳がん
3-1. 一次内分泌療法
切除不能なER陽性乳がんの一次治療として「経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)+イブランス」治療の有用性を検証するために、「アロマターゼ阻害薬+イブランス」治療と比較するPhase3試験が2件進行中である。
【ER陽性乳がん:一次治療(PFS)】「ギレデストラント+イブランス」vs「フェマーラ+イブランス」
【ER陽性乳がん:一次治療(PFS)】「カミゼストラント+イブランス」vs「アリミデックス+イブランス」
【HR陽性乳がん:一次治療(PFS)】「サルパリブ+カミゼストラント」vs「CDK4/6阻害薬+内分泌療法」
【ER陽性乳がん:一次治療(PFS)】「ベプデゲストラント +イブランス」vs「フェマーラ +イブランス」
3-1. 二次内分泌療法
切除不能なER陽性乳がんの二次治療として「経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)」を含む治療の有用性を検証するPhase3試験が5件進行中である。
【ER陽性乳がん:二次治療(PFS)】「ギレデストラント+アフィニトール」vs「内分泌療法+アフィニトール」
【ER陽性乳がん:二次治療(PFS)】「イムルネストラント」vs「フェソロデックス+アロマシン」
【HR陽性乳がん:二次治療(PFS)】「カミゼストラント+CDK4/6阻害薬」vs「アロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬」
【HR陽性乳がん:二次治療(PFS)】「トルカプ+フェソロデックス+イブランス」vs「フェソロデックス+イブランス」
【ER陽性乳がん:二次治療(PFS)】「ベプデゲストラント」vs「フェソロデックス」
【HR陽性乳がん:二次内分泌療(PFS)】「ベプデゲストラント+フェソロデックス」vs「フェソロデックス」
【HR陽性乳がん:二次治療(PFS)】「イパタセルチブ+フェソロデックス+イブランス」vs「フェソロデックス+イブランス」
3-3. 一次化学療法
2ライン以上の内分泌療法歴がある女性を対象に「キイトルーダ+化学療法」や「エンハーツ」が「単剤化学療法」を上回る効果があるか検証が進められている。
【HER2低発現HR陽性乳がん:一次化学療法】「エンハーツ」vs「化学療法」
【HR陽性乳がん:一次化学療法】「キイトルーダ+化学療法」vs「化学療法」
【HR陽性乳がん:一次化学療法(PFS)】「トロデルビ」vs「単剤化学療法」
3-4. 二次化学療法
全身化学療法歴がある女性を対象に「ダトポタマブ デルクステカン」が承認申請されている。
4. 切除不能なトリプルネガティブ乳がん
4-1. 一次治療
トリプルネガティブ乳がんを対象に「ダトポタマブ デルクステカン」、「トロデルビ」、「トルカプ+パクリタキセル」が「単剤化学療法」を上回る効果があるか検証が進められている。
【トリプルネガティブ乳がん:一次治療(PFS、OS)】「パクリタキセル+テセントリク+イパタセルチブ」vs「パクリタキセル」
【トリプルネガティブ乳がん:一次治療(OS、PFS)】「ダトポタマブ デルクステカン」vs「単剤化学療法」
【トリプルネガティブ乳がん:一次治療(PFS)】「トロデルビ+キイトルーダ」vs「化学療法+キイトルーダ」
【トリプルネガティブ乳がん:一次治療(PFS)】「トロデルビ」vs「化学療法」
【PD-L1陽性トリプルネガティブ乳がん:一次治療(PFS)】「ダトポタマブ デルクステカン+イミフィンジ」vs「キイトルーダ+化学療法」
【トリプルネガティブ乳がん:一次治療(OS)】「トルカプ+パクリタキセル」vs「パクリタキセル」
4-2. 二次治療
「全身療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性乳がん」を対象にに「トロデルビ」が承認申請されている。