【悪性胸膜中皮腫:一次治療(OS)】「ペメトレキセド+シスプラチン」vs「シスプラチン」

切除不能な悪性胸膜中皮腫と診断された人が初めての化学療法を考える場合、「シスプラチン」治療に「ペメトレキセド」の上乗せを選択することで、生存期間の延長が期待できる。「シスプラチン」治療を受けた人の奏効率は16.7%であったのに対し、「シスプラチンペメトレキセド」治療を受けた人の41.3%が治療に奏効した。

本試験の結果に基づき、2007年1月4日、「アリムタ」が「悪性胸膜中皮腫」を効能・効果として承認された。

【発表】

2003年7月15日

【試験】

Phase 3

【原著】

J Clin Oncol. 2003 ;21:2636-44. [PubMed: 12860938]

【添付文書における表記】

悪性胸膜中皮腫患者(化学療法未治療)を対象に米国ほか20ヵ国で実施された第III相試験19)における、本剤500mg/m2及びシスプラチン併用投与群75mg/m2及びシスプラチン75mg/m2単独投与群(未承認)1)の成績は、次表のとおりであった。なお、本試験は優越性を検証することを主要目的として実施した。

本剤及びシスプラチン

併用投与群

シスプラチン

単独投与群1)

N2)

226

222

生存期間中央値

(月)

12.1

9.3

p値=0.0203)

1) シスプラチン単独投与群(未承認):21日を1コースとして第1日目に、シスプラチン75mg/m2を投与

2) 薬剤を投与された症例(葉酸、ビタミンB12の併用なし症例を含む)

3) ログランク検定(優越性に関する検定)

19) 発疹の発現及び重症化を軽減するため、外国臨床試験では、本剤投与の前日から投与の翌日までの3日間、デキサメタゾンを1回4mg、1日2回経口投与した。また、国内臨床試験では、発疹が発現した症例に限り、次回の本剤投与時から外国臨床試験の用法・用量を参考にデキサメタゾン等の副腎皮質ホルモン剤の投与を可能とした。

本剤とシスプラチンの併用投与群において、本治療との因果関係を否定できない死亡例が全投与症例226例中3例に認められ、いずれも葉酸及びビタミンB12が併用投与されていない症例であった。安全性評価対象168例(葉酸及びビタミンB12併用群)中に認められた主な副作用は、悪心(82.1%)、嘔吐(56.5%)、好中球減少(56.0%)、白血球減少(53.0%)、疲労(47.6%)、ヘモグロビン減少(26.2%)、血小板減少(23.2%)、口内炎(23.2%)、食欲不振(20.2%)であった。