【大腸がん(RAS野生型):一次治療(PFS)】「FOLFOX+ベクティビックス」vs「FOLFOX」

PRIME(NEJM)                          

RAS野生型の転移性大腸がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「FOLFOX」治療に「ベクティビックス」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。

RAS変異はなくても、BRAF変異がある場合、「ベクティビックス」治療の追加を選択する根拠はなくなる。

RAS野生型の場合 → 「FOLFOXベクティビックス

FOLFOX」レジメンに「ベクティビックス」治療を追加することで、無増悪生存期間が7.9ヵ月から10.1ヵ月に(p=0.004)、生存期間が20.1ヵ月から26.1ヵ月に延長(p=0.04)。

RAS変異型の場合 → 「FOLFOX

FOLFOX」レジメンに「ベクティビックス」治療を追加することで、無増悪生存期間が8.7ヵ月から7.3ヵ月に(p=0.008)、生存期間が19.2ヵ月から15.6ヵ月に短縮(p=0.03)。

KRAS exon2野生型の場合 → 「FOLFOXベクティビックス

FOLFOX」レジメンに「ベクティビックス」治療を追加することで、無増悪生存期間が8.0ヵ月から9.6ヵ月に延長(p=0.02)。生存期間は「FOLFOX」で19.7ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で23.9ヵ月、差なし(p=0.07)。

KRAS exon2変異型の場合 → 「FOLFOX

FOLFOX」レジメンに「ベクティビックス」治療を追加することで、無増悪生存期間が8.8ヵ月から7.3ヵ月に短縮(p=0.02)。生存期間は「FOLFOX」で19.3ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で15.5ヵ月、差なし(p=0.07)。

KRAS exon2野生型、別のRAS変異陽性の場合 → 「FOLFOX

無増悪生存期間は「FOLFOX」で8.0ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で7.3ヵ月、差なし(p=0.33)。生存期間は「FOLFOX」で18.3ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で17.1ヵ月、差なし(p=0.31)。

RAS野生型かつBRAF野生型の場合 → 「FOLFOXベクティビックス

FOLFOX」レジメンに「ベクティビックス」治療を追加することで、無増悪生存期間が9.2ヵ月から10.8ヵ月に(p=0.002)、生存期間が20.9ヵ月から28.3ヵ月に延長(p=0.02)。

RAS野生型かつBRAF変異型の場合 → 「FOLFOX

無増悪生存期間は「FOLFOX」で5.4ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で6.1ヵ月、差なし(p=0.12)。生存期間は「FOLFOX」で9.2ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で10.5ヵ月、差なし(p=0.76)。

RAS変異型かつBRAF変異型の場合 → 「FOLFOX

FOLFOX」レジメンに「ベクティビックス」治療を追加することで、無増悪生存期間が8.0ヵ月から7.3ヵ月に短縮(p=0.03)。生存期間は「FOLFOX」で18.0ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で15.3ヵ月、差なし(p=0.06)。

KRAS exon2野生型、RAS変異型かつBRAF変異型の場合 → 「FOLFOX

無増悪生存期間は「FOLFOX」で7.3ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で6.7ヵ月、差なし(p=0.80)。生存期間は「FOLFOX」で15.8ヵ月、「FOLFOXベクティビックス」で14.8ヵ月、差なし(p=0.51)。

【発表】

2013年9月12日

【試験名】

PRIME(Phase 3)〔NCT00364013

【試験参加国】

アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コスタリカ、チェコ、エストニア、フランス、ハンガリー、イタリア、ラトビア、メキシコ、ポーランド、南アフリカ、スペイン、スイス、英国

【原著】

N Engl J Med. 2013;369:1023-34. [PubMed:24024839]

【さらに詳しく】

【こちらの図鑑も合わせて見る】

【トライアル図鑑】PRIME(大腸がん)
【試験名】 PRIME(Phase 3)〔NCT00364013〕 【試験開始日】 2006年8月1日 【試験参加国】 アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コスタリカ、チェコ、エストニア、フランス、ハンガリー、イタリア、ラトビア、メキシコ、ポーランド、 ...
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【添付文書における表記】

また、RASKRAS及びNRAS)遺伝子野生型/変異型集団注2)におけるレトロスペクティブな解析結果は以下のとおりであった10)

評価項目

本剤併用群

FOLFOX4単独群

P値

ハザード比
(95%信頼区間)

RAS遺伝子野生型集団(本剤併用群259例、FOLFOX4単独群253例)

無増悪生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)

10.1
(9.3,12.0)

7.9
(7.2,9.3)

0.0037

0.722
(0.579,0.901)

全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)

26.0
(21.7,30.4)

20.2
(17.7,23.1)

0.0429

0.781
(0.615,0.993)

RAS遺伝子変異型集団(本剤併用群272例、FOLFOX4単独群276例)

無増悪生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)

7.3
(6.3,7.9)

8.7
(7.6,9.4)

0.0081

1.309
(1.072,1.600)

全生存期間中央値(月)
(95%信頼区間)

15.6
(13.4,17.9)

19.2
(16.7,21.8)

0.0342

1.254
(1.016,1.546)

追加解析としてKRAS及びNRAS遺伝子コドン59変異型7例を含めた解析が実施され、上記と同様の結果であった。