【HER2陽性大腸がん:二次治療】「ハーセプチン+パージェタ」

TRIUMPH(Nat Med)                        

リキッドバイオプシーでHER2陽性転移性大腸がんと診断された25名が「ハーセプチンパージェタ」治療を受けた結果、28%が治療に奏効し、8.1ヵ月治療が奏効した。

一方、腫瘍組織遺伝子パネル検査でHER2陽性転移性大腸がんと診断された27名が「ハーセプチンパージェタ」治療を受けた結果、30%が治療に奏効し、12.1ヵ月治療が奏効した。この結果は、事前に設定した有効性評価基準(25例中5例以上が部分奏効達成)を上回っていた。

本試験の結果に基づき、国内において「がん化学療法後に増悪した HER2 陽性の治癒切除不能 な進行・再発の結腸・直腸癌」について適応追加申請が行われ、2022年3月28日に承認された。

【発表】

2021年11月11日

【試験名】

TRIUMPH(Phase 2)〔UMIN000027887

【試験実施国】

日本

【原著】

Nat Med. 2021 ;27:1899-1903. [PubMed: 34764486]

【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

国内第Ⅱ相試験(TRIUMPH試験)

化学療法歴のある注11)HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者注12)30例を対象に、本剤をトラスツズマブと併用で投与した。本剤は初回840mg、2回目以降420mg、トラスツズマブは初回8mg/kg(体重)、2回目以降6mg/kgを3週間間隔で投与し、疾患進行又は治験中止基準に該当するまで継続した。主要評価項目であるRECIST ver.1.1に基づく治験担当医師判定による奏効率[95%信頼区間]は、腫瘍組織を用いた検査でHER2陽性の患者集団では29.6%[13.8,50.2](8/27例)、血液検体を用いた検査でHER2陽性の患者集団では28.0%[12.1,49.4](7/25例)であった。副作用は24/30例(80.0%)に発現した。主な副作用は、注入に伴う反応14例(46.7%)、下痢11例(36.7%)、口内炎4例(13.3%)、倦怠感3例(10.0%)等であった。

注11)フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、オキサリプラチンイリノテカン塩酸塩水和物及び抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体医薬品(セツキシマブ又はパニツムマブ)に不応又は不耐の患者が組み入れられた。

注12)腫瘍組織検体においてRAS遺伝子野生型であることが確認されており、かつ腫瘍組織又は血液検体を用いた検査により以下のいずれかを満たす患者が対象とされた。なお、腫瘍組織を用いた検査結果に基づき組み入れられた27例全例がFISH法陽性であり、うち、IHC法3+及び2+はそれぞれ23例及び4例であった。

腫瘍組織を用いた検査:HER2についてIHC法3+又はFISH法陽性
血液検体を用いた検査:次世代シークエンサー法でHER2遺伝子増幅(遺伝子コピー数が2.4以上)かつRAS遺伝子野生型(cell-free DNAにおいて、検出された最も頻度の高い遺伝子変異に対するRAS遺伝子変異の割合が30%以下)