【HER2陽性乳がん:術前治療(pCR)】「パージェタ+ハーセプチン+ドセタキセル+カルボプラチン」vs「FEC→パージェタ+ハーセプチン+ドセタキセル」

TRYPHAENA(Ann Oncol)                    

HER2陽性の早期乳がんと診断された女性が術前治療を考える場合、「パージェタハーセプチン+化学療法」治療を選択しても忍容性に問題が認められることなく、57〜66%の病理学的完全奏効率が期待できる。

【発表】

2013年5月22日

【試験名】

TRYPHAENA(Phase 2)〔NCT00976989

【試験参加国】

バハマ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、カナダ、クロアチア、ドイツ、ギリシア、イタリア、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、台湾、英国

【原著】

Ann Oncol. 2013 ;24:2278-84. [PubMed: 23704196]

【さらに詳しく】

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【添付文書における表記】

HER2陽性(IHC法3+又はIHC法2+かつFISH/CISH法陽性)の早期乳癌の術前患者(原発巣の腫瘍径が2cm超で遠隔転移を有しない患者)225例を対象に、術前薬物療法として本剤+トラスツズマブ+化学療法注10)を比較する第Ⅱ相非盲検無作為化3群(A群、B群、C群)比較試験を実施した。本剤は初回投与量840mg、2回目以降、維持投与量420mgを3週間間隔で、トラスツズマブは初回投与量8mg/kg(体重)、2回目以降、維持投与量6mg/kgを3週間間隔で投与した。トラスツズマブは術前薬物療法と術後薬物療法を合わせて1年間投与した。主要評価項目である術前薬物療法における忍容性に問題は認められなかった。副次評価項目であるpCR率は、A群が61.6%、B群が57.3%、C群が66.2%であった。

また、安全性については、術前薬物療法期間の副作用はA群72/72例(100.0%)、B群71/75例(94.7%)、C群76/76例(100.0%)であった。主な副作用は、下痢(A群:61.1%、B群:57.3%、C群:67.1%、以下同順)、脱毛症(48.6%、52.0%、53.9%)、悪心(52.8%、52.0%、44.7%)、好中球減少症(51.4%、46.7%、48.7%)、嘔吐(40.3%、33.3%、38.2%)、疲労(33.3%、33.3%、38.2%)、貧血(18.1%、8.0%、35.5%)、血小板減少症(6.9%、1.3%、30.3%)等であった。術後薬物療法期間の副作用はA群30/68例(44.1%)、B群30/65例(46.2%)及びC群21/67例(31.3%)であった。主な副作用は、関節痛(A群:5.9%、B群:3.1%、C群:4.5%、以下同順)、下痢(7.4%、3.1%、4.5%)等であった。

注10)A群:3週間を1サイクルとして、本剤+トラスツズマブ+FEC療法(5-FU500mg/m2、エピルビシン100mg/m2、シクロホスファミド600mg/m2)を3サイクル投与した後、本剤+トラスツズマブ+ドセタキセル75mg/m2注1)を3サイクル投与した。B群:3週間を1サイクルとして、FEC療法を3サイクル投与した後、本剤+トラスツズマブ+ドセタキセル75mg/m2注1)を3サイクル投与した。
C群:3週間を1サイクルとして、本剤+トラスツズマブ+ドセタキセル75mg/m2注1)+カルボプラチンAUC 6mg・min/mL相当量を6サイクル投与した。

注1)初回投与における忍容性が確認できれば100mg/m2に増量可能。国内において承認されているドセタキセルの乳癌における用量は60mg/m2(ただし、75mg/m2まで増量可能)である。