【HR陽性乳がん:二次内分泌療法(PFS)】「トルカプ+フェソロデックス」vs「フェソロデックス」

CAPItello-291(NEJM)                      

HR陽性HER2陰性進行乳がんと診断され、アロマターゼ阻害薬加療後に進行した女性が次の治療を考える場合、「フェソロデックス」治療に「AKT阻害薬 トルカプ」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間の延長が期待できる。

「プラセボ+フェソロデックス」治療を受けた女性の18ヵ月生存率が65.0%であったのに対し、「トルカプフェソロデックス」治療を受けた18ヵ月生存率は73.9%であり、この差は統計的に有意であった。

本試験の結果に基づき、2024年3月26日、「トルカプフェソロデックス」治療が「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を効能及び効果として承認された。

また、前治療が「アロマターゼ阻害薬単剤」か、「アロマターゼ阻害薬+CKD4/6阻害薬」かに関わらず、「AKT阻害薬 トルカプ」の上乗せを選択することで無増悪生存期間の延長が期待できる。

【発表】

2023年6月1日

【試験名】

CAPItello-291(Phase 3)〔NCT04305496jRCT2080225182

【試験参加国】

日本(千葉県がんセンター、九州がんセンター、福島県立医科大学附属病院、埼玉医大国際医療センター、広島市立広島市民病院、相良病院、埼玉県立がんセンター、がん研有明病院、熊本大学病院、京都大学医学部附属病院、四国がんセンター、愛知県がんセンター、名古屋市立大学病院、大阪医療センター、大阪国際がんセンター、群馬県立がんセンター、北海道がんセンター、北海道大学病院、昭和大学病院、三重大学医学部附属病院、神奈川県立がんセンター)、米国、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、中国、フランス、ドイツ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、韓国、ペルー、ポーランド、ロシア、スペイン、台湾、英国

【原著】

N Engl J Med 2023;388:2058-70.  [PubMed: 37256976]

【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

アロマターゼ阻害剤を含む内分泌療法後に増悪した、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者708例(本剤+フルベストラント併用投与群355例[日本人37例]、プラセボ+フルベストラント併用投与群353例[日本人41例])を対象に、本剤+フルベストラント併用投与とプラセボ+フルベストラント併用投与の有効性及び安全性を比較する無作為化二重盲検国際共同第III相試験を実施した。

本剤1回400mg又はプラセボ(1日2回、4日間投与3日間休薬)とフルベストラント500mg(1サイクルを28日間として、第1サイクルの1及び15日目並びに第2サイクル以降の1日目)を病勢進行等が認められるまで投与を継続した。閉経前の乳癌患者にはLH-RHアゴニストが併用投与された。

主要評価項目の一つであるPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異陽性集団における治験責任(分担)医師評価による無増悪生存期間について、本剤+フルベストラントの併用投与により、プラセボ+フルベストラントの併用投与と比較して統計学的に有意な延長が認められた。

本剤とフルベストラントが併用投与された355例(日本人37例を含む)中343例(96.6%)に有害事象が認められた。主な有害事象は、下痢257例(72.4%)、悪心123例(34.6%)、発疹78例(22.0%)、疲労74例(20.8%)及び嘔吐73例(20.6%)等であった。