【HER2低発現乳がん:二次治療(PFS)】「エンハーツ」vs「化学療法」

DESTINY-Breast04(NEJM)                    

HER2低発現かつHR陽性の転移性乳がんと診断され、1または2ラインの化学療法を受けた女性が次の治療を考える場合、「エンハーツ」治療を選択することで、「化学療法(カペシタビンハラヴェンゲムシタビンパクリタキセルアブラキサンより医師が選択)」を上回る無増悪生存期間と生存期間が期待できる。

HER2低発現かつHR陽性の場合、「エンハーツ」治療を受けた52.6%の女性で治療が奏効し(vs 16.3%)、10.7ヵ月奏効が持続した(vs 6.8ヵ月)。

HER2低発現かつHR陰性の転移性乳がんの女性においても「化学療法」を上回る無増悪生存期間と生存期間が期待できる。無増悪生存期間は「化学療法」を選択した場合、2.9ヵ月であったが、「エンハーツ」治療を選択した場合、8.5ヵ月と有意に長く(HR 0.46 95%CI 0.24-0.89)、生存期間は「化学療法」を選択した場合、8.3ヵ月であったが、「エンハーツ」治療を選択した場合、18.2ヵ月と有意に長かった(HR 0.48 95%CI 0.24-0.95)。

HER2低発現かつHR陰性の場合、「エンハーツ」治療を受けた50.0%の女性で治療が奏効した(vs 16.7%)。

エンハーツ」治療を受けた52.6%の女性がグレード3以上の有害事象を経験し、化学療法を受けた女性では67.4%がグレード3以上の有害事象を経験した。

本試験の結果に基づき、「エンハーツ」が「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌」について、2022年6月27日に適応追加申請し、2023年3月27日に承認された。

【発表】

2022年6月5日

【試験名】

DESTINY-Breast04(Phase 3)〔NCT03734029/jRCT2080224162

【原著】

N Engl J Med. 2022 ;387:9-20.  [PubMed: 35665782]

【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

化学療法歴のある5)HER2低発現6)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、治験担当医師が選択した治療薬(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル又はパクリタキセル[アルブミン懸濁型])を対照薬とした非盲検無作為化試験を実施した。本剤群では本剤5.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者557例(日本人85例を含む。本剤群373例、医師選択治療群184例)のうち、ホルモン受容体陽性集団494例(本剤群331例、医師選択治療群163例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は本剤群で10.1[9.5~11.5]ヵ月、医師選択治療群で5.4[4.4~7.1]ヵ月であり、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.51[0.40~0.64]、層別ログランク検定:P<0.0001、有意水準[両側]=0.05)。また、主要評価項目に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目である全体集団(ホルモン受容体陰性63例を含む)での無増悪生存期間でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(中央値[95%信頼区間]:本剤群9.9[9.0~11.3]ヵ月、医師選択治療群5.1[4.2~6.8]ヵ月、ハザード比[95%信頼区間]:0.50[0.40~0.63]、層別ログランク検定:P<0.0001、有意水準[両側]=0.05)。同様に、ホルモン受容体陽性集団及び全体集団での全生存期間でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(ホルモン受容体陽性集団:ハザード比[95%信頼区間]:0.64[0.48~0.86]、層別ログランク検定:P=0.0028、有意水準[両側]=0.00748、全体集団:ハザード比[95%信頼区間]:0.64[0.49~0.84]、層別ログランク検定:P=0.0010、有意水準[両側]=0.00748)。

本剤群371例(日本人56例を含む)において、副作用が357例(96.2%)に認められた。主な副作用は、悪心271例(73.0%)、疲労177例(47.7%)、脱毛症140例(37.7%)、嘔吐126例(34.0%)、貧血123例(33.2%)、好中球数減少123例(33.2%)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は56例中15例(26.8%)に認められた。

5) 手術不能又は再発乳癌に対して、1又は2つの化学療法歴のある患者が対象とされた(術前又は術後薬物療法終了から6ヵ月以内に疾患進行が認められた場合は、当該周術期治療を化学療法歴の1つとみなす)。また、ホルモン受容体陽性患者では上記の基準に加えて、1つ以上の内分泌療法後に疾患進行が認められ、治験担当医師により更なる内分泌療法の有用性が得られないと判断された患者が対象とされた。

6) IHC法1+、又はIHC法2+かつISH法陰性の患者が組み入れられた。