
EMILIA(NEJM)
遠隔転移を有するHER2陽性乳がんと診断され、ハーセプチン、タキサン系抗がん剤を含む治療を受けたことがある女性が次の治療を考える場合、「カドサイラ」治療を選択することで「タイケルブ+カペシタビン」治療を選択した場合を上回る無増悪生存期間、生存期間が期待できる。
奏効も「カドサイラ」治療を選択した方が期待できる(43.6% vs. 30.8%)。
グレード3以上の有害事象は「カドサイラ」治療の方が現れにくい。試験では「カドサイラ」治療を選択した41%の人に現れた(vs. 57%)。「カドサイラ」治療を選択することで、現れる可能性が高い有害事象は血小板減少症、ATP上昇。逆に低いものは下痢、悪心、嘔吐、手足症候群。
この結果を受けて、米国では2013 年2 月22日、「カドサイラ」が「HER2 陽性転移・再発乳癌の」治療薬として承認された。日本では2013年1月29日、「HER2陽性転移・再発乳がん」を適応として承認申請され、同年9月20日、承認された。欧州では2013年11月22日までに「治療歴のあるHER2陽性の進行乳がん」の適応で承認された。
【発表】
2012年10月1日
【試験名】
EMILIA(Phase 3) 〔NCT00829166〕
【試験参加国】
米国、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ブラジル、ブルガリア、カナダ、コロンビア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、香港、インド、イタリア、韓国、メキシコ、ニュージーランド、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ロシア、シンガポール、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、英国
【原著】
N Engl J Med. 2012;367:1783-91. [PubMed:23020162]
【さらに詳しく】
- HER2 陽性進行乳癌に対するトラスツズマブエムタンシン〔NEJM日本語アブストラクト〕
- 進行性乳がん患者に対するTDM-1、無増悪生存期間、全生存期間を有意に延長/NEJM〔ケアネット〕
- トラスツズマブ-DM1はHER2陽性転移性乳癌の生存を約6カ月延長、フェーズ3試験の最新結果【ESMO2012】〔日経メディカル〕
- T-DM1がHER2陽性の転移性乳癌のOSを有意に延長〔日経メディカル〕
- 抗体薬物複合体TDM-1がHER2陽性進行乳がんのPFSを改善/国際共同第Ⅲ相ランダム化臨床試験EMILIA,2012 ASCOで発表〔MEdical Tribune〕
- 【ASCO特別版】EMILIA T-DM1がHER2陽性転移性乳がんのファーストラインでの有効性示す〔ミクス〕
- T-DM1がHER2陽性進行乳癌患者のPFSを改善、カペシタビンとラパチニブ併用とのハザード比は0.65【ASCO2012】〔日経メディカル〕
【こちらの図鑑も合わせて見る】
【添付文書における表記】
タキサン系薬剤及びトラスツズマブ既治療のHER2陽性進行・再発乳癌を対象に、カペシタビン+ラパチニブ(Cap+Lap)の併用療法を対照群として、本剤3.6mg/kgを3週間間隔で490例に投与した(有効性評価例は495例)。主要評価項目である独立判定委員会評価による無増悪生存期間の最終解析及び全生存期間の中間解析(目標イベント数である632イベントのうち、331イベントが発生した時点)について、Cap+Lap群に対する本剤群の有意な延長が認められた。
本剤が投与された490例において、副作用が427例(87.1%)に認められた。主な副作用は、倦怠感201例(41.0%)、悪心165例(33.7%)、血小板数減少145例(29.6%)、AST増加100例(20.4%)、ALT増加79例(16.1%)等であった。