KEYNOTE-177(NEJM)
MSI-HまたはdMMRの人が初めての治療を考える場合、「キイトルーダ」治療を選択することで、化学療法(5-FUを含むレジメン単独、またはアバスチンもしくはアービタックスと併用)を選択した場合を上回る無増悪生存期間が期待できる。2年無増悪生存率は化学療法を受けた人では18.6%であったのに対し、「キイトルーダ」治療を受けた人では48.3%であった。
「キイトルーダ」治療を43.8%が治療に奏効し、化学療法を受けた33.1%が治療に奏効した。奏効した人が2年後も奏効が持続していた割合は、「キイトルーダ」治療を受けた人で83%であったのに対し、化学療法を受けた人では35%であった。
「キイトルーダ」治療を受けた22%の人がグレード 3 以上の治療関連有害事象を経験した。一方、化学療法を受けた人では 66%がグレード 3 以上の治療関連有害事象を経験した。
本試験の結果を受けて、2020年9月10日、「キイトルーダ」が「切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」の適応に対して一変申請され、2021年8月25日、承認された。
【発表】
2020年12月3日
【試験名】
KEYNOTE-177(Phase 3)〔NCT02563002/jRCT2080223183〕
【原著】
N Engl J Med. 2020;383:2207-2218. [PubMed: 33264544]
【さらに詳しく】
- 高頻度マイクロサテライト不安定性進行大腸癌に対するペムブロリズマブ〔NEJM日本語アブストラクト〕
- MSI-H大腸がん1次治療、ペムブロリズマブによるPFS延長証明(KEYNOTE-177)/NEJM〔ケアネット〕
- MSI-H/dMMR進行大腸がん1次治療でペムブロリズマブ単剤と化学療法を比較した第III相試験(KEYNOTE-177)/ASCO2020〔ケアネット〕
- ペムブロリズマブが特定のDNA変異を有する進行大腸がんの無増悪生存を2倍に〔海外がん医療情報リファレンス〕
- MSI-HまたはdMMRの進行大腸癌の1次治療でペムブロリズマブは標準化学療法よりもPFSを延長、効果は持続的【ASCO2020】〔日経メディカル〕
- 「キイトルーダ」、結腸・直腸がんの死亡リスク40%減 米メルク、MSI-Highへの1次治療で〔日刊薬業〕
- 「キイトルーダ」、MSI-High大腸がんの初回治療でPFS延長 米メルク、P3試験の中間解析で〔日刊薬業〕
【こちらの図鑑も合わせてみる】
【添付文書における表記】
化学療法歴のない(術後補助療法を除く)治癒切除不能な進行・再発のミスマッチ修復(MMR)欠損又はMSI-Highを有する結腸・直腸癌患者307例(日本人22例を含む)を対象に、本剤200mg 3週間間隔投与の有効性及び安全性が、担当医師の選択する化学療法[5-FU・ホリナート・オキサリプラチン療法(mFOLFOX6)、mFOLFOX6とベバシズマブ若しくはセツキシマブとの併用療法、5-FU・ホリナート・イリノテカン療法(FOLFIRI)、又はFOLFIRIとベバシズマブ若しくはセツキシマブとの併用療法]を対照として検討された。なお、画像評価で疾患進行が認められた場合に、疾患進行を示す症状が認められない等の臨床的に安定している患者では、次回以降の画像評価で疾患進行が認められるまで本剤の投与を継続することが可能とされた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)とされ、本剤は化学療法と比較してPFSを有意に延長した。
安全性解析対象例153例中122例(79.7%)(日本人12例中10例を含む)に副作用が認められた。主な副作用(10%以上)は、下痢38例(24.8%)、疲労32例(20.9%)、そう痒症21例(13.7%)、悪心19例(12.4%)、AST増加17例(11.1%)、発疹17例(11.1%)、関節痛16例(10.5%)及び甲状腺機能低下症16例(10.5%)であった。