【HR陽性乳がん:一次・二次治療(PFS)】「イブランス+タモキシフェン」vs「タモキシフェン」

PATHWAY                            

HR陽性HER2陰性進行乳がんと診断され、内分泌療法歴がないまたは1レジメンの内分泌療法にて進行が認められた女性が治療を考える場合、「タモキシフェン」治療に「イブランス」の上乗せを選択することで、無増悪生存期間の延長が期待できる。

本試験の結果に基づき、2024年1月15日、添付文書が改訂され、「イブランス」と「タモキシフェン」の併用療法が可能になった。

【発表】

2023年6月5日

【試験名】

PATHWAY/NCCH1607(Phase 3)〔NCT03423199

【試験参加国】

日本(愛知県がんセンター病院、国立がん研究センター東病院、四国がんセンター、北海道がんセンター、兵庫県立がんセンター、神奈川県立がんセンター、近畿大学病院、虎の門病院、千葉県がんセンター、九州がんセンター、大阪医療センター、国立がん研究センター中央病院)、韓国、シンガポール、台湾

【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

HR陽性かつHER2陰性であり、進行乳癌に対して内分泌療法歴がない、又は進行乳癌に対する1レジメンの内分泌療法にて疾患進行が認められた手術不能又は再発乳癌患者(閉経状態を問わない)184例(日本人118例を含む)を対象に、パルボシクリブ+タモキシフェン併用投与とプラセボ+タモキシフェン併用投与の有効性を検討することを目的とした、無作為化、二重盲検、並行群間、国際共同第Ⅲ相試験を日本を含むアジアで実施した。パルボシクリブは、開始用量としてカプセル剤125mgを1日1回3週間連続経口投与後1週間休薬し、タモキシフェンは20mgを1日1回連続投与した。閉経前・閉経周辺期患者にはゴセレリンを併用投与した。

主要評価項目である無増悪生存期間の中央値は、パルボシクリブ+タモキシフェン群で24.4ヵ月、プラセボ+タモキシフェン群で11.1ヵ月であり、ハザード比0.602(95%信頼区間:0.428,0.848;片側層別ログランク検定p=0.002)でパルボシクリブ+タモキシフェン群で統計学的に有意な無増悪生存期間の延長が認められた。

パルボシクリブ(カプセル剤)が投与された91例(日本人69例を含む)中87例(95.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、好中球減少症83例(91.2%)、白血球減少症44例(48.4%)、血小板減少症31例(34.1%)、口内炎30例(33.0%)、貧血27例(29.7%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加15例(16.5%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加14例(15.4%)、発疹14例(15.4%)等であった。