CLEOPATRA(NEJM)
遠隔転移を有するHER2陽性乳がんと診断された女性が初めて治療を考える場合、「ハーセプチン+ドセタキセル」治療に「パージェタ」治療の上乗せを選択することで、無増悪生存期間の延長が期待できる。
「パージェタ」の上乗せを選択することで奏効率の向上も期待できる。試験では「パージェタ+ハーセプチン+ドセタキセル」治療によって奏効率が69.3%から80.2%に向上。
有害事象は「パージェタ」の上乗せによって、グレード3以上の発熱性好中球減少症と下痢が増える。
この結果を受け、米国では2012年6月に、欧州では2013年3月に承認された。日本では2012年5月25日に承認申請され、2013年6月28日に「HER2陽性の手術不能または再発乳癌」の適応で承認され、2013年9月12日より発売された。
【発表】
2011年12月7日
【試験名】
CLEOPATRA(Phase3)〔NCT00567190/jRCT2080220775〕
【試験参加国】
日本(愛知県がんセンター、千葉県がんセンター、国立がん研究センター東病院、四国がんセンター、北九州市立医療センター、群馬大学医学部附属病院、岩手医科大学附属病院、相良病院、聖マリアンナ医科大学附属病院、東海大学医学部付属病院、熊本市民病院、くまもと森都総合病院、京都大学医学部附属病院、新潟県立がんセンター新潟病院、大阪市立総合医療センター、大阪医療センター、大阪大学医学部附属病院、埼玉医科大学国際医療センター、埼玉県立がんセンター、静岡県立静岡がんセンター、静岡県立総合病院、自治医科大学附属病院、国立がん研究センター中央病院、聖路加国際病院、都立駒込病院、がん研有明病院、東京医科大学病院)、米国、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、中国、コスタリカ、クロアチア、フィンランド、フランス、ドイツ、グアテマラ、香港、イタリア、韓国、ラトビア、メキシコ、北マケドニア、フィリピン、ポーランド、ロシア、シンガポール、スペイン、タイ、英国
【原著】
N Engl J Med. 2012;366:109-19. [PubMed:22149875]
【さらに詳しく】
- 転移性乳癌に対するペルツズマブ+トラスツズマブ +ドセタキセル併用療法〔NEJM日本語アブストラクト〕
- 転移性乳がんに対する第一選択治療としてpertuzumab+トラスツズマブ+ドセタキセル併用療法〔ケアネット〕
- pertuzumabはトラスツズマブ、ドセタキセルとの併用でHER2陽性転移性乳癌のPFSを6カ月延長【SABCS2011】〔日経メディカル〕
- ペルツズマブとトラスツズマブ、ドセタキセル併用でHER2陽性転移性乳癌の無増悪生存期間が延長〔日経メディカル〕
- 【SABCS速報】CLEOPATRA HER2陽性患者 トラスツズマブ+ドセタキセルにペルツズマブ併用でPFSが有意に延長〔ミクスOnline〕
【こちらの図鑑も合わせて見る】
【添付文書における表記】
国際共同第III相試験(CLEOPATRA試験)
転移・再発乳癌に対する前治療歴のないHER2陽性(IHC法3+又はFISH法陽性)転移・再発乳癌患者808例(国内53例を含む)を対象に、プラセボ+トラスツズマブ+ドセタキセル(プラセボ+T+D群)と本剤+トラスツズマブ+ドセタキセル(本剤+T+D群)を比較する第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験を実施した。プラセボ又は本剤は初回投与量840mg、2回目以降、維持投与量420mgを3週間間隔で、トラスツズマブは初回投与量8mg/kg(体重)、2回目以降、維持投与量6mg/kgを3週間間隔で投与した。有害事象又はその他の理由によるドセタキセル中止後は本剤及びトラスツズマブは同一の用法・用量で病勢進行まで投与継続した。ドセタキセルは75mg/m2を3週間間隔で投与した注1)。本剤及びトラスツズマブの投与が予定された投与から遅れた場合、前回投与日から6週間未満のときには維持投与量を投与し、6週間以上のときには改めて初回投与量を投与し、次回以降は維持投与量を3週間間隔で投与した。主要評価項目である独立判定機関による無増悪生存期間において、プラセボ+T+D群に比べて本剤+T+D群で有意な延長が認められた。
また、安全性についてはドセタキセル、トラスツズマブ及び本剤が併用投与された407例(日本人26例を含む)において、副作用が396例(97.3%)に認められた。主な副作用は、下痢236例(58.0%)、脱毛症232例(57.0%)、倦怠感212例(52.1%)、好中球減少症207例(50.9%)、悪心149例(36.6%)、爪の異常145例(35.6%)、ニューロパチー126例(31.0%)、発疹125例(30.7%)等であった。
注1)初回投与における忍容性が確認できれば100mg/m2に増量可能。国内において承認されているドセタキセルの乳癌における用量は60mg/m2(ただし、75mg/m2まで増量可能)である。