DESTINY-Breast03(NEJM)
遠隔転移を有するHER2陽性乳がんと診断され、「ハーセプチン+タキサン」治療を受けたことがある女性が次の治療を考える場合、「エンハーツ」治療を選択することで「カドサイラ」治療を選択した場合を上回る1年無増悪生存率と1年生存率が期待できる。「カドサイラ」治療を受けた人の無増悪生存期間は6.8ヵ月、「エンハーツ」治療を受けた人の無増悪生存期間は解析時点では試験に参加した50%の人が増悪なく、生存できており、未到達であった。
「カドサイラ」治療を受けた人の奏効率は34.2%であったのに対し、「エンハーツ」治療を受けた人の79.7%が治療に奏効した。
「エンハーツ」治療を受けた人45.1%がグレード3または4の有害事象を経験した(vs 39.8%)。「エンハーツ」治療を受けた10.5%の人が間質性肺疾患または肺臓炎を経験した(vs 1.9%)。
本試験の結果に基づき、2021年12月14日、「エンハーツ」がHER2陽性乳がんの二次治療の適応追加に関する国内承認申請が行われ、2022年11月24日、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌」に対して承認された。
【発表】
2022年3月24日
【試験名】
DESTINY-Breast03(Phase 3)〔NCT03529110〕
【試験参加国】
米国、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、イタリア、日本(国立国際医療研究センター病院、愛知県がんセンター、四国がんセンター、九州がんセンター、広島市民病院、北海道がんセンター、神奈川県立がんセンター、熊本大学医学部附属病院、新潟県立がんセンター、岡山大学病院、大阪医療センター、大阪国際がんセンター、埼玉県立がんセンター、静岡がんセンター、国立がん研究センター中央病院、がん研究会有明病院、昭和大学病院)、韓国、スペイン、台湾、英国
【原著】
N Engl J Med 2022;386:556-67. [PubMed: 35320644]
【さらに詳しく】
- 乳癌に対するトラスツズマブ デルクステカンとトラスツズマブ エムタンシンとの比較〔NEJM日本語アブストラクト〕
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