
遠隔転移を有するHER2陽性乳がんと診断され、「ハーセプチン+タキサン」治療を受けたことがある女性が次の治療を考える場合、「エンハーツ」治療を選択することで「カドサイラ」治療を選択した場合を上回る1年無増悪生存率と1年生存率の向上が期待できる。「カドサイラ」治療を受けた人の無増悪生存期間は6.8ヵ月、「エンハーツ」治療を受けた人の無増悪生存期間は解析時点では試験に参加した50%の人が増悪なく、生存できており、未到達であった。
「カドサイラ」治療を受けた人の奏効率は34.2%であったのに対し、「エンハーツ」治療を受けた人の79.7%が治療に奏効した。
「エンハーツ」治療を受けた人45.1%がグレード3または4の有害事象を経験した(vs 39.8%)。「エンハーツ」治療を受けた10.5%の人が間質性肺疾患または肺臓炎を経験した(vs 1.9%)。
本試験の結果に基づき、2021年12月14日、「エンハーツ」がHER2陽性乳がんの二次治療の適応追加に関する国内承認申請が行われた。
【発表】
2022年3月24日
【試験名】
DESTINY-Breast03(Phase 3)〔NCT03529110〕
【原著】
N Engl J Med 2022;386:556-67. [PubMed: 35320644]
【さらに詳しく】
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