
FLAURA(NEJM)
EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんと診断された人が初めての治療を考える場合、「タグリッソ」治療を選択することで「イレッサ(またはタルセバ)」治療を選択した場合を上回る無増悪生存期間が期待できる。
「タグリッソ」単独治療を受けた人の83%、「イレッサ(またはタルセバ)」単独治療を受けた人の71%が治療開始18ヵ月後に生存。生存期間(中央値)はいずれの治療も未到達(ハザード比は0.63、95%信頼区間:0.45-0.88、p=0.007)。この時点における有意であるための基準はp<0.0015であったため、統計学的に有意な差には至っていない。
「タグリッソ」単独治療を選択することでグレード3以上の有害事象発現の減少が期待できる。試験では「イレッサ(またはタルセバ)」単独治療を受けた人の45%に発現したのに対し、「タグリッソ」単独治療を受けた人の34%であった。
本試験の結果を受け、2018年8月21日、「タグリッソ」は日本でも「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」の適応拡大の承認を取得し、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの一次治療においても使用可能になった。
【発表】
2017年11月18日
【試験名】
FLAURA(Phase 3)〔NCT02296125〕
【試験参加国】
日本(国立がん研究センター中央病院、九州大学病院、関西医科大学附属病院、金沢大学附属病院、国立がん研究センター東病院、神戸市立医療センター中央市民病院、四国がんセンター、宮城県立がんセンター、大阪国際がんセンター、近畿大学病院、北里大学病院、近畿中央呼吸器センター、仙台厚生病院、静岡がんセンター、横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立循環器呼吸器病センター、横浜市立市民病院、神奈川県立がんセンター)、米国、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、チェコ、フランス、ドイツ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、韓国、マレーシア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、トルコ、ウクライナ、英国、ベトナム
【原著】
N Engl J Med 2018; 378 :113-25. [PubMed: 29151359]
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【さらに詳しく】
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【添付文書における表記】
化学療法歴のないEGFR遺伝子の活性型変異注3)陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者注4)556例(本剤群279例、標準的な治療群277例)(日本人120例[本剤群65例、標準的な治療群55例])を対象として、本剤80mgと標準的な治療(ゲフィチニブ又はエルロチニブ塩酸塩)の有効性及び安全性を比較する国際共同第III相二重盲検無作為化試験が実施された。主要評価項目である主治医判定による無増悪生存期間(中央値[95%信頼区間])の結果は、本剤群で18.9[15.2~21.4]カ月、標準的な治療群で10.2[9.6~11.1]カ月であった(ハザード比[95%信頼区間]:0.46[0.37~0.57]、p<0.0001)(2017年6月12日カットオフデータに基づく集計)。
注3) EGFR遺伝子の活性型変異であるエクソン19の欠失(Ex19del)又はエクソン21の変異(L858R)が腫瘍組織検体で確認された患者が組み入れられた。
注4) 非小細胞肺癌のうち、腺癌又は腺癌が優勢の混合性の組織型の癌が確認された患者が組み入れられた。
安全性評価対象症例279例(日本人65例を含む)中253例(90.7%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹・ざ瘡等152例(54.5%)、下痢138例(49.5%)、皮膚乾燥・湿疹等93例(33.3%)、爪の障害(爪囲炎を含む)91例(32.6%)等であった。また、日本人集団では65例中64例(98.5%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹・ざ瘡等45例(69.2%)、下痢37例(56.9%)、爪の障害(爪囲炎を含む)35例(53.8%)、間質性肺疾患8例(12.3%)等であった。(効能・効果の一部変更承認時)