NOVA(NEJM)
BRCA遺伝子変異陰性の進行卵巣がんと診断され、プラチナ製剤を含む化学療法終了後、6ヵ月以上経ってから再発した女性が次の治療を考える場合、化学療法奏効後に「ゼジューラによる維持療法」の実施を選択することで無増悪生存期間の延長が期待できる。
「ゼジューラ」治療によるグレード3または4の有害事象は血小板減少症(33.8%)、貧血(25.3%)、好中球減少症(19.6%)である。
【発表】
2016年10月7日
【試験名】
NOVA / ENGOT-OV16(Phase 3)〔NCT01847274〕
【試験参加国】
米国、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ハンガリー、イスラエル、イタリア、ノルウェー、ポーランド、スペイン、スウェーデン、英国
【原著】
N Engl J Med 2016; 375:2154-64. [PubMed:27717299]
【さらに詳しく】
- プラチナ製剤感受性の再発卵巣癌に対するニラパリブ維持療法〔NEJM日本語アブストラクト〕
- 卵巣がんが再発、新薬ニラパリブの効果は?〔MEDLEY〕
- PARP阻害薬niraparibがプラチナ製剤感受性再発卵巣癌のPFSを改善、効果はBRCA遺伝子変異やHRDの状態に関わらず【ESMO2016】〔日経メディカル〕
- 再発卵巣がんの維持療法で画期的な効果〔Medical Tribune〕
【こちらの図鑑も合わせて見る】
【添付文書における表記】
白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による2つ以上の治療歴注8)があり、白金系抗悪性腫瘍剤感受性注9)かつ直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による奏効(完全奏効又は部分奏効)が維持されている、gBRCA遺伝子変異陽性注10)、又は高悪性度の漿液性若しくは高悪性度の漿液性組織型が優位を占める再発卵巣癌(原発性腹膜癌及び卵管癌を含む)患者[553例〔gBRCA変異陽性コホート203例及びgBRCA変異陰性コホート350例(gBRCA変異陰性コホートのうち、相同組換え修復欠損を有する集団は162例)〕]を対象として、ニラパリブ300mg(372例)注11)とプラセボ(181例)を1日1回経口投与した無作為化比較試験の結果注12)、主要評価項目である盲検下独立中央判定による無増悪生存期間(PFS)の中央値は、gBRCA変異陽性コホートでは、ニラパリブ群で21.0ヵ月、プラセボ群で5.5ヵ月〔HR:0.27(95%CI:0.173~0.410、片側p<0.0001、層別ログランク検定)〕、gBRCA変異陰性コホートの相同組換え修復欠損を有する集団では、ニラパリブ群で12.9ヵ月、プラセボ群で3.8ヵ月〔HR:0.38(95%CI:0.243~0.586、片側p<0.0001、層別ログランク検定)〕、gBRCA変異陰性コホートの全体集団では、ニラパリブ群で9.3ヵ月、プラセボ群で3.9ヵ月〔HR:0.45(95%CI:0.338~0.607、片側p<0.0001、層別ログランク検定)〕であった。
ニラパリブ投与群で安全性評価対象367例のうち、358例(98%)に副作用が認められた。ニラパリブ群の主な副作用は、悪心69%(253例)、貧血46%(170例)、血小板減少症45%(164例)、疲労37%(137例)、嘔吐25%(90例)、便秘22%(82例)、食欲減退20%(74例)及び血小板数減少20%(73例)であった。
注8)PARP阻害剤による前治療歴のない患者が対象とされた。
注9)PFI(platinum free interval)が6ヵ月以上であること。
注10)gBRCA遺伝子に病的変異を有する、又は病的変異が疑われる場合。
注11)承認された用法及び用量は、下記のとおりである。
通常、成人にはニラパリブとして1日1回200mgを経口投与する。ただし、本剤初回投与前の体重が77kg以上かつ血小板数が150,000/µL以上の成人にはニラパリブとして1日1回300mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。注12)データカットオフ日:2016年5月30日