
ADAURA(NEJM)
EGFR遺伝子変異陽性のII-IIIA期非小細胞肺がんと診断された人は、手術後に「タグリッソを用いた補助療法」を選択することで、2年後もがん病変がなく生活できる可能性が高まる。試験では「タグリッソを用いた補助療法」を受けることで44%から90%に向上した。
「タグリッソを用いた補助療法」を受けることで2年無病生存率が、Stage IBの人では56%から91%に向上し(HR 0.17(95%CI 0.08-0.31))、Stage IIIAの人では32%から88%に向上し(HR 0.17(95%CI 0.08-0.31))、Stage IIIAの人では32%から88%に向上した(HR 0.12(95%CI 0.07-0.20))。
また、「タグリッソを用いた補助療法」を受けることで2年後もCNS病変がなく生活できる可能性も高まる。試験では「タグリッソを用いた補助療法」を受けることで85%から98%に向上した(HR 0.18(95%CI 0.10-0.33))。
「タグリッソ」治療を受けた337名のうち68名(20%)がグレード3以上の有害事象を経験し(vs 13%)、間質性肺疾患を10名(3%)の人が経験した。 5%以上の人が経験したグレード3以上の有害事象はなかった。有害事象のために「タグリッソ」治療を受けた24%(vs 11%)が投与中断、9%(vs 1%)が減量、11%(vs 3%)が中止した。
本試験の結果に基づいて、2021年8月30日、「タグリッソ」が「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」に対し、申請を行ったことを発表し、2022年8月24日、承認された。
【発表】
2020年9月19日
【試験名】
ADAURA(Phase 3)〔NCT02511106〕
【試験参加国】
日本(順天堂大学医学部附属順天堂医院、九州大学病院、関西医科大学附属病院、広島市立広島市民病院。広島大学病院、金沢大学附属病院、国立がん研究センター東病院、産業医科大学病院、神戸市立医療センター中央市民病院、久留米大学病院、四国がんセンター、名古屋第一赤十字病院 、新潟県立がんセンター新潟病院、近畿大学病院、北里大学病院、近畿中央呼吸器センター、佐世保市総合医療センター、仙台厚生病院、東京医科大学病院、静岡がんセンター、山口宇部医療センター、横浜市立市民病院、神奈川県立がんセンター、鳥取大学医学部附属病院)、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、ハンガリー、イスラエル、、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、韓国、ルーマニア、ロシア、スペイン、スウェーデン、台湾、タイ、トルコ、ウクライナ、米国、ベトナム
【原著】
N Engl J Med 2020;383:1711-23. [PubMed: 32955177]
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【添付文書における表記】
病理病期IB~IIIA期注5)(本邦では病理病期II~IIIA期の患者のみが組み入れられた)のEGFR遺伝子変異注3)陽性の非小細胞肺癌の術後患者注6)682例を対象として、本剤80mgとプラセボの有効性及び安全性を比較する国際共同第III相二重盲検無作為化試験が実施された。事前に治験実施計画書に規定されていない時点の解析注7)であるが、主要評価項目であるII~IIIA期注8)の患者における主治医判定による無病生存期間の結果は、下表のとおりであった。
注5) 切除検体の病理診断においてAJCC/UICC病期分類(第7版)に基づくStage IB、Stage II、又はStage IIIAに該当する患者が対象とされた。
注6) 白金系抗悪性腫瘍剤を含む術後化学療法歴の有無にかかわらず、非小細胞肺癌のうち、非扁平上皮癌の患者が組み入れられた。
注7) 2020年1月17日及び2021年2月1日をデータカットオフとして2回の解析が実施された。
注8) AJCC/UICC病期分類(第7版)に基づくStage II、又はStage IIIAに該当する患者が対象とされた。
安全性評価対象症例337例(日本人46例を含む)中308例(91.4%)に副作用が認められ、主な副作用は、下痢135例(40.1%)、爪囲炎83例(24.6%)、皮膚乾燥71例(21.1%)、そう痒症60例(17.8%)、口内炎53例(15.7%)、ざ瘡様皮膚炎35例(10.4%)等であった。また、日本人集団では46例中45例(97.8%)に副作用が認められ、主な副作用は、下痢21例(45.7%)、爪囲炎21例(45.7%)、皮膚乾燥19例(41.3%)、口内炎13例(28.3%)、ざ瘡様皮膚炎12例(26.1%)、間質性肺疾患6例(13.0%)等であった。(2021年2月1日カットオフデータに基づく集計)
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