【FLT3陽性急性骨髄性白血病:一次治療(OS)】「ヴァンフリタ」vs「化学療法」

QuANTUM-First(Lancet)                    

FLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病と診断された人(年齢中央値:56歳)が初めての治療を考える場合、「シタラビンダウノルビシン(またはイダルビシン)」治療に「ヴァンフリタ」の上乗せを選択することで、生存期間の延長が期待できる。

ヴァンフリタ+化学療法」を受けた92%の人がグレード3以上の有害事象を経験した(vs 90%)。主なものは、発熱性好中球減少症、低カリウム血症、肺炎、好中球減少症。

本試験の結果に基づいて、2022年8月30日、「ヴァンフリタ」のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に対する1次治療について承認申請が行われ、2023年5月25日承認された。

【発表】

2023年4月25日

【試験名】

QuANTUM-First(Phase 3)〔NCT02668653/jRCT2080223611

【試験参加国】

日本(愛知県がんセンター、名古屋大学医学部附属病院、豊橋市民病院、愛媛県立中央病院、福井大学医学部附属病院、九州大学病院、群馬県済生会前橋病院、群馬大学医学部附属病院、中国中央病院、札幌北楡病院、横浜市立大学附属病院、仙台医療センター、天理よろづ相談所病院、浜松医科大学医学部附属病院、都立駒込病院、東京慈恵会医科大学医学部附属病院、秋田大学医学部附属病院、青森県立中央病院、千葉市立青葉病院、亀田総合病院、九州がんセンター、岐阜市民病院、鹿児島医療センター、熊本医療センター、神戸市立医療センター中央市民病院、長崎大学病院、大阪市立総合医療センター、大阪赤十字病院、NTT東日本関東病院)、米国、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、中国、クロアチア、チェコ、フランス、ドイツ、香港、ハンガリー、イスラエル、イタリア、韓国、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、セルビア、シンガポール、スペイン、台湾、ウクライナ、英国

【原著】

Lancet 2023; 401: 1571–83.  [PubMed: 37116523]

【さらに詳しく】

【他の治療選択肢】

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【添付文書における表記】

未治療のFLT3-ITD変異陽性1)の急性骨髄性白血病患者を対象に無作為化二重盲検群間比較試験を実施した。被験者539例(日本人28例を含む)を1:1の割合で本剤群又はプラセボ群に無作為に割り付けた(本剤群268例、プラセボ群271例)。寛解導入療法期(最大2サイクル2))及び地固め療法期3)(最大4サイクル2))では化学療法4)が完了後(寛解導入療法期では8又は6日目、地固め療法期では6日目)、本剤35.4mg又はプラセボを1日1回、14日間経口投与した5)。維持療法期6)には、本剤26.5mg又はプラセボを1日1回2週間経口投与し、投与開始2週間後にQTcF値が450msec以下の場合、それ以降は本剤53mg又はプラセボを1日1回、最大36サイクル2)経口投与した7)

主要評価項目である全生存期間のプラセボ群に対する本剤群のハザード比[95%信頼区間]は、0.78[0.62, 0.98]、中央値[95%信頼区間]は、本剤群で31.9[21.0, NE]ヵ月、プラセボ群で15.1[13.2, 26.2]ヵ月であり、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意な延長が認められた。また、本剤群における主な副作用は、好中球減少症17.4%(46/265例)、心電図QT延長11.7%(31/265例)、悪心9.1%(24/265例)、発熱性好中球減少症8.7%(23/265例)であった。

1) 中央測定機関のPCR法で測定

2) 1サイクルは28日間(ただし、寛解導入療法期及び地固め療法期については、血球数の回復までの期間等を考慮し、最大56日間)

3) 地固め療法期は、①化学療法のみ、②同種造血幹細胞移植(HSCT)のみ、③化学療法後にHSCTのいずれかを実施した

4) 寛解導入療法期のサイクル1ではシタラビン100mg/m2/day(施設又は国・地域の基準によっては200mg/m2/day)を持続点滴静注(1日目から7日間)並びにダウノルビシン60mg/m2/day又はイダルビシン12mg/m2/dayを点滴静注(1~3日目)投与した。サイクル2ではサイクル1と同一レジメン、あるいはシタラビン100mg/m2/day(施設又は地域の基準によっては200mg/m2/day)を持続点滴静注(1日目から5日間)並びにダウノルビシン又はイダルビシン(サイクル1と同一の薬剤を使用)を点滴静注(1及び2日目)投与した。地固め療法期では各サイクルでシタラビン3.0g/m2(60歳以上で1.5g/m2)を12時間ごとに計6回点滴静注(1、3及び5日目)投与した

5) 強いCYP3A阻害剤を併用する際にはキザルチニブとして17.7mgを投与

6) 地固め療法期にHSCTを施行した場合、HSCT後30~180日以内に維持療法の実施を可能とした

7) 強いCYP3A阻害剤を併用する際には開始用量をキザルチニブとして17.7mgとし、投与開始2週間後にQTcF値が450msec以下の場合、以降は26.5mgを投与