【肺がん:術後治療(DFS)】「化学療法→テセントリク」vs「化学療法→支持療法」

IMpower010(Lancet)                      

IB~ⅢA期非小細胞肺がんと診断された人が手術、術後補助化学療法後の治療を考える場合、「テセントリク 3週ごとに16サイクル(約1年)」治療を選択することで、無病生存期間の延長が期待できる。「テセントリク」治療を受けた人の11%がグレード3または4の有害事象を経験した。

テセントリク」治療を受けた11%の人がグレード3または4の有害事象を経験し、1%の人が有害事象のために死に至った。

本試験の結果に基づいて、2021年7月6日、「テセントリク」について、「非小細胞肺癌の術後補助療法」への適応拡大申請が行われ、2022年5月26日に承認された。プラチナ製剤を含む術後補助療法後の術後病理病期II期またはIIIA期でのPD-L1陽性の人が対象となる。

【発表】

2021年9月20日

【試験】

IMpower010(Phase 3)〔NCT02486718/jRCT2080223090

【試験参加国】

日本(愛知県がんセンター、名古屋大学医学部附属病院、国立がん研究センター東病院、四国がんセンター、九州大学病院、広島大学医学部附属病院、北海道がんセンター、兵庫県立がんセンター、神奈川県立がんセンター、産業医科大学付属病院、熊本大学病院、京都大学医学部附属病院、仙台厚生病院、新潟県立がんセンター、岡山大学医学部附属病院、埼玉県立がんセンター、静岡県立静岡がんセンター、国立がん研究センター中央病院、虎の門病院、順天堂大学医学部附属病院、都立駒込病院 、東京医科大学医学部附属病院、杏林大学医学部付属病院、和歌山県立医科大学附属病院)、米国、オーストラリア、ベルギー、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、ハンガリー、イスラエル、イタリア、韓国、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スペイン、台湾、ウクライナ、英国

【原著】

Lancet. 2021 ;398:1344-1357.  [PubMed: 34555333]

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【さらに詳しく】

【添付文書における表記】

国際共同第Ⅲ相臨床試験(IMpower010試験)

プラチナ製剤を含む術後補助療法後の術後病理病期IB(腫瘍径≥4cm)~ⅢA(UICC/AJCC病期分類第7版)の非小細胞肺癌患者1005例(日本人117例を含む)を対象に、本剤1200mgの有効性及び安全性を支持療法(BSC)注9)と比較する第Ⅲ相試験を実施した注10)。中間解析の結果、PD-L1陽性(腫瘍細胞におけるPD-L1発現率(TC)が1%以上)のⅡ又はⅢA期集団において、本剤群(248例)でBSC群(228例)と比較して主要評価項目である無病生存期間の有意な延長が認められ(ハザード比[95%信頼区間]0.659[0.495, 0.877]、P=0.0039[層別log-rank検定]、有意水準両側0.0370)、中央値[95%信頼区間]は本剤群で中央値未達[36.1, 推定不能]、BSC群で35.3[29.0, 推定不能]カ月であった。

本剤が投与された495例(日本人56例を含む)において335例(67.7%)に副作用が認められた。主な副作用(5%以上)は、甲状腺機能低下症53例(10.7%)、そう痒症43例(8.7%)、発疹40例(8.1%)、AST増加37例(7.5%)、ALT増加36例(7.3%)、甲状腺機能亢進症29例(5.9%)、発熱27例(5.5%)、関節痛26例(5.3%)等であった。

注9)プラチナ製剤を含む術後補助療法後に治験薬の投与はされず、観察のみ行った。
注10)本剤1200mgを3週間間隔で最大16回投与した。