2025年も数多くのがん治療レジメンが承認され、治療の選択肢が増えた。また、標準治療を上回る新たな治療成績も発表され、その一部が承認申請されている。ここでは、日本における2025年のがん治療の進歩をまとめてみた。
1. ホルモン受容体陽性乳がん
1.1 ESR1遺伝子変異陽性
経口投与の選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)である「イムルリオ(イムルネストラント)」が12月22日、日本でも承認されたのが2025年。これまでSERDとしては、フェソロデックス筋注が注射剤として処方されていたが、経口SERDはイムルリオが国内初。2025年は、イムルリオ以外にもカミゼストラント、ベプデゲストラントと立て続けに、Phase3試験結果がNEJM誌に発表された。
12月22日、「イムルリオ」が「内分泌療法後に増悪したESR1遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果として承認された。
「選択的エストロゲン受容体分解薬 イムルリオ(一般名:イムルネストラントトシル酸塩)」は、2025年12月22日、「内分泌療法後に増悪したESR1遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能又は効果として承認された。本承認はPhase 3試 ...
EMBER-3(NEJM) ESR1遺伝子変異陽性かつER陽性HER2陰性進行乳がんと診断され、アロマターゼ阻害薬単独またはCDK4/6阻害薬との併用療法開始後に増悪した女性が次の治療を考える場合、「イムルリオ」治療を選択することで ...
EMBER-3(Ann Oncol) ESR1遺伝子変異陽性かつER陽性HER2陰性進行乳がんと診断され、アロマターゼ阻害薬単独またはCDK4/6阻害薬との併用療法開始後に増悪した女性が次の治療を考える場合、「イムルリオ」治療を選択する ...
【SERENA-6】6月1日、「アロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬」治療後にESR1遺伝子変異が検出されたHR陽性HER2陰性の転移性乳がんに対する「経口SERD カミゼストラント+CDK4/6阻害薬」治療の「アロマターゼ阻害薬+CDK4/6阻害薬」継続治療に対する無増悪生存期間の優越性がNEJM誌に発表された。
SERENA-6(NEJM) 遠隔転移を有するHR陽性HER2陰性乳がんと診断された女性が「アロマターゼ阻害薬(アリミデックスまたはフェマーラ)+CDK4/6阻害薬(イブランスまたはベージニオ)」治療中にESR1遺伝子変異が検出され ...
【VERITAC-2】5月31日、内分泌療法+CDK4/6阻害薬治療歴を有するESR1変異陽性かつER陽性HER2陰性進行乳がんに対する「経口SERD ベプデゲストラント+フェソロデックス」治療の「フェソロデックス」治療に対する無増悪生存期間の優越性がNEJM誌に発表された。
VERITAC-2(NEJM) ESR1変異陽性かつER陽性HER2陰性進行乳がんと診断され、内分泌療法+CDK4/6阻害薬治療歴がある女性が次の治療を考える場合、「ベプデゲストラント」治療を選択することで、「フェソロデックス」治療を ...
1.2 HER2低発現又は超低発現
8月25日、「エンハーツ」が「ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳んがん」の効能・効果が承認された。本適応は、『DESTINY-Breast06試験』の結果に基づくもので、化学療法未治療のHER2低発現またはHER2超低発現の乳がんに承認された日本で初めての抗HER2療法となった。
2025年8月25日、「エンハーツ」が「HR陽性かつHER2低発現または超低発現の手術不能または再発乳がん」を対象に承認された。この申請は、Phase 3試験『DESTINY-Breast06』の結果に基づく。 【承認日】 2025年8月25日 【承認申請日】 2024年10月4 ...
DESTINY-Breast06(NEJM) HER2低発現HR陽性の転移性乳がんと診断され、内分泌療法で病勢進行が認められたが、化学療法未治療の女性が次の治療を考える場合、「エンハーツ」治療を選択することで、「単剤化学療法(カペシタビン、パ ...
1.3 PI3CA陽性
【INAVO120】術後補助療法加療中または終了1年以内に再発したホルモン受容体陽性HER2陰性かつPICK3CA変異陽性乳がんに対する「PI3K阻害薬イナボリシブ+フェソロデックス+イブランス」治療の有用性が生存期間についても示され、5月31日、NEJM誌に発表された。無増悪生存期間に関する有用性は、2024年10月にNEJM誌に発表されていた。
INAVO120(NEJM) HR陽性HER2陰性PICK3CA変異陽性乳がんと診断され、術後補助療法加療中または終了1年以内に再発した女性が次の治療を考える場合、「フェソロデックス+イブランス」治療に「PI3K阻害薬イナボリシブ」 ...
INAVO120(NEJM) HR陽性HER2陰性PICK3CA変異陽性乳がんと診断され、術後補助療法加療中または終了1年以内に再発した女性が次の治療を考える場合、「フェソロデックス+イブランス」治療に「PI3K阻害薬イナボリシブ」 ...
1.4 化学療法歴を有するホルモン受容体陽性乳がん
4月24日、抗TROP-2抗体薬物複合体「トロデルビ」の「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性の手術不能または再発乳がん」への適応拡大申請が行われた。
「抗Trop-2抗体薬物複合体 トロデルビ」が2025年4月24日、「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性HER2陰性の手術不能または再発乳がん」を対象に承認申請された。本申請はPhase 3試験『TROPiCS-02』などの結果に基づく。 内分泌療法や複数ラインの化学療法歴がある ...
TROPiCS-02(Lancet) HR陽性HER2陰性転移性乳がんと診断され、ホルモン療法抵抗性となり、化学療法歴がある女性が、次の治療を考える場合、抗Trop-2抗体薬物複合体「トロデルビ」治療を選択することで「化学療法(カペシタビン、 ...
TROPiCS-02(JCO) HR陽性HER2陰性転移性乳がんと診断され、ホルモン療法抵抗性となり、化学療法歴がある女性が、次の治療を考える場合、抗Trop-2抗体薬物複合体「トロデルビ」治療を選択することで「化学療法(カペシタビン、ハ ...
2. HER2陽性乳がん
2.1 化学療法歴を有するHER2陽性乳がん
3月13日、「HER2選択的チロシンキナーゼ阻害薬 ツカイザ+ハーセプチン+カペシタビン」併用療法が「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がん」を対象に承認申請された。この承認は、Phase 3試験『HER2CLIMB』などの結果に基づいている。
「HER2選択的チロシンキナーゼ阻害薬 ツカイザ+ハーセプチン+カペシタビン」併用療法が「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がん」を対象に2025年3月13日に承認申請され、2026年2月19日承認された。この承認は、Phase 3試験『HER2CLIMB』、Ph ...
HER2CLIMB(NEJM) HER2陽性乳がんと診断され、ハーセプチン、パージェタ、カドサイラの治療歴がある女性が次の治療を考える場合、「ハーセプチン+カペシタビン」治療に経口HER2阻害薬「ツカイザ」の上乗せを選択することで無増 ...
2.2 HER2陽性乳がんの術後補助療法
【DESTINY-Breast05】12月10日、HER2陽性乳がんの術後補助療法における「エンハーツ」治療の「カドサイラ」治療に対する優越性がNEJM誌に発表された。「カドサイラ」治療の有用性は、Phase3試験『KATHERINE』が2018年12月にNEJM誌に発表されているが、7年生存率に関する有用性がNEJM誌に発表されたのも2025年であった。
DESTINY-Breast05(NEJM) HER2陽性乳がんと診断され、術前補助療法後に手術を受け結果、乳房または腋窩リンパ節に浸潤性残存病変を有していた女性が手術後の治療を考える場合、「エンハーツ」治療を選択することで、「カドサイラ」治 ...
3. トリプルネガティブ乳がん乳がん
【ASCENT-03】10月18日、PD-L1/PD-1阻害薬の適応とならないトリプルネガティブ乳がんに対する「トロデルビ」治療の有用性が認めらたPhase 3試験『ASCENT-03』がNEJM誌に発表された。
ASCENT-03(NEJM) 遠隔転移を有するトリプルネガティブ乳がんと診断され、PD-L1/PD-1阻害薬の適応とならない女性が初めての治療を考える場合、「トロデルビ」治療を選択することで、「単剤化学療法(パクリタキセル、アブラキ ...
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