2025年も数多くのがん治療レジメンが承認され、治療の選択肢が増えた。また、標準治療を上回る新たな治療成績も発表され、その一部が承認申請されている。ここでは、日本における2025年のがん治療の進歩をまとめてみた。
1. 多発性骨髄腫
1.1 3剤抵抗例
6月24日、「タービー(一般名:トアルクエタマブ)」が「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果として承認された。「タービー」はGPRC5D受容体を標的とする初めての二重特異性抗体。8月14日に発売され、診療現場で選択できるようになった。
「タービー」は、2025年6月24日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認され、2025年8月14日に発売された抗GPRC5D/CD3二重特異性抗体。本承認はPhase 1/2試験『MonumenTAL-1』、国内Phase1試験『MMY1003』の結果に基づいている。 ...
MonumenTAL-1(NEJM) 多発性骨髄腫と診断され、全ての標準治療で進行した、または忍容性のない74名が「GPRC5D/CD3二重特異性抗体タービー405μg/kg毎週投与」を受けた結果、70%の人が治療に奏効し、10.2ヵ月 ...
3月19日、「テクベイリ(一般名=テクリスタマブ)」が発売され、診療現場で選択できるようになった。本剤はB細胞成熟抗原(BCMA)とCD3を標的とする二重特異性抗体で、2024年12月に「再発または難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能又は効果として承認されていた。
「テクベイリ」は、2024年12月27日に「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を対象に承認された抗BCMA/CD3二重特異性抗体。2025年3月19日に発売された。本承認はPhase 1/2試験『MajesTEC-1』などの結果に基づいている。 【承 ...
MajesTEC-1(NEJM) 免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体を含む3剤以上の治療歴がある多発性骨髄腫165名が「BCMA/CD3二重特異性抗体 テクベイリ」治療を受けた結果、63%の人が治療に奏効し、18.4ヵ ...
髄外病変は骨髄を離れ、軟部組織や臓器に形質細胞腫を形成する病態であり、従来の治療法に対する反応性が低い傾向にあり、無増悪生存期間、生存期間の短縮と関連している。10月31日、「テクベイリ+タービー」併用療法が「髄外病変を有する再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された。
【RedirecTT-1試験】この申請の根拠となったRedirecTT-1試験がNEJM誌に発表されたのも2025年であった。
「テクベイリ+タービー」は、2025年10月31日に「髄外病変を有する再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された。本申請はPhase 1/2試験『RedirecTT-1』などの結果に基づいている。 【承認申請日】 2025年10月31日 【効能及び効果】 髄外病変を有 ...
RedirecTT-1(NEJM) 免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体を含む3剤以上の治療を受けたことがあり、髄外病変を有する多発性骨髄腫90名が「テクベイリ+タービー」治療を受けた結果、79%の人が治療に奏効し、13 ...
1.2 レブラミド抵抗性
現在、レブラミド抵抗性には、「プロテアソーム阻害薬を含む3剤併用療法」や「ポマリストを含む3剤併用療法」が、無増悪生存期間の延長効果が期待できることから推奨されている。9月17日、「ブーレンレップ(一般名:ベランタマブ マホドチン)+ベルケイド+デキサメタゾン」3剤併用療法が承認され、推奨救援療法の1つとされた。「ブーレンレップ」の薬価収載が待たれる。
「ブーレンレップ」は、「ベルケイド+デキサメタゾン」などとの併用療法として、2024年9月17日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された抗BCMA抗体薬物複合体。本承認はPhase 3試験『DREAMM-7』などの結果に基づいている。 【承認申請日】 2024年 ...
DREAMM-7(Lancet Oncol) 多発性骨髄腫と診断され、1ライン以上の治療を受けたことがある人が次の治療を考える場合、「ブーレンレップ+ベルケイド+デキサメタゾン」治療を選択することで、「ダラキューロ+ベルケイド+デキサメタゾ ...
1.3 ベルケイド抵抗性/抗CD38抗体抵抗性
現在、ベルケイド抵抗性には、「免疫調節薬を含む3剤併用療法」や「カイプロリスを含む3剤併用療法」が、無増悪生存期間の延長効果が期待できることから推奨されている。
抗CD38抗体抵抗性には、「ポマリスト、カイプロリスを含む併用療法」が無増悪生存期間の延長効果が期待できることから推奨されている。
9月17日、「ブーレンレップ+ポマリスト+デキサメタゾン」3剤併用療法が承認され、推奨救援療法の1つとされた。「ブーレンレップ」の薬価収載が待たれる。
「ブーレンレップ」は、「ポマリスト+デキサメタゾン」などとの併用療法として、2024年9月17日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された抗BCMA抗体薬物複合体。本承認はPhase 3試験『DREAMM-8』などの結果に基づいている。 【承認申請日】 2024年 ...
DREAMM-8(NEJM) 多発性骨髄腫と診断され、1ライン以上の治療を受けたことがある人が次の治療を考える場合、「ブーレンレップ+ポマリスト+デキサメタゾン」治療を選択することで、「ポマリスト+ベルケイド+デキサメタゾン(PVd) ...
1.4 レブラミド/ベルケイド2剤抵抗性
現在、レブラミドとベルケイドの両者に抵抗性には、「ポマリストを含む併用療法」が、無増悪生存期間の延長効果が期待できることから、「カイプロリスを含む併用療法」や「抗CD38抗体治療」が、無増悪生存期間の延長効果が示唆されていることから推奨されている。
【MajesTEC-3試験】12月9日、レブラミドおよびプロテアソーム阻害薬を含む、1〜3レジメンの前治療歴を有する再発・難治多発性骨髄腫を対象に「テクベイリ+ダラキューロ」併用療法が「ダラキューロ+ポマリスト+デキサメタゾン」または「ダラキューロ+ベルケイド+デキサメタゾン」を上回る無増悪生存期間を認めた、Phase3試験『MajesTEC-3』の結果がNEJM誌に発表された。
MajesTEC-3(NEJM) 多発性骨髄腫と診断され、1〜3ラインの治療を受けたことがある人が次の治療を考える場合、「ダラキューロ+テクベイリ」治療を選択することで、「ダラキューロ+ポマリスト+デキサメタゾン」治療を選択した場合を ...
また、9月17日に承認された「ブーレンレップ+ポマリスト+デキサメタゾン」3剤併用療法が推奨救援療法の1つとされた。
「ブーレンレップ」は、「ポマリスト+デキサメタゾン」などとの併用療法として、2024年9月17日に「再発または難治性の多発性骨髄腫」を対象に承認申請された抗BCMA抗体薬物複合体。本承認はPhase 3試験『DREAMM-8』などの結果に基づいている。 【承認申請日】 2024年 ...
DREAMM-8(NEJM) 多発性骨髄腫と診断され、1ライン以上の治療を受けたことがある人が次の治療を考える場合、「ブーレンレップ+ポマリスト+デキサメタゾン」治療を選択することで、「ポマリスト+ベルケイド+デキサメタゾン(PVd) ...
1.5 移植適応のない初発多発性骨髄腫
1.5.1 サークリサ+VRd
2月20日、「サークリサ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」4剤併用療法が承認され、移植適応のない初発多発性骨髄腫における推奨治療の1つとされた。
「サークリサ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」併用療法は、「未治療の多発性骨髄腫」に対して、2024年5月14日に承認申請され、2025年2月20日に承認された治療レジメン。この結果、効能又は効果が「多発性骨髄腫」となった。この申請は、Phase 3試験『IMROZ』の結 ...
IMROZ(NEJM) 移植の適応とならない多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」治療に「サークリサ」の上乗せを選択することで5年無増悪生存率の向上が期待できる。 本試験 ...
1.5.2 ダラキューロ+VRd
6月25日、「ダラキューロ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」4剤併用療法が承認され、移植適応のない初発多発性骨髄腫における推奨治療の1つとされた。
2025年6月25日、「ダラキューロ」の添付文書改訂に伴って、「ダラキューロ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」併用療法が「未治療の移植非適応多発性骨髄腫」に対し、選択できるようになった。この改訂は、Phase 3試験『CEPHEUS』の結果に基づく。 【添付文書改訂日】 ...
CEPHEUS(Nat Med) 移植の適応とならない多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」治療に「ダラキューロ」の上乗せを選択することで、MRD陰性化率の向上、無増悪生存期間 ...
1.6 移植適応のある初発多発性骨髄腫
6月25日、「ダラキューロ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」4剤併用療法が承認され、移植適応のある初発多発性骨髄腫における推奨治療の1つとされた。
2025年6月25日、「ダラキューロ」の添付文書改訂に伴って、「ダラキューロ+ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン」併用療法が「未治療の移植適応多発性骨髄腫」に対し、選択できるようになった。この改訂は、Phase 3試験『PERSEUS』の結果に基づく。 地固め療法期(第5~6 ...
PERSEUS(NEJM) 移植の適応となる多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「ベルケイド+レブラミド+デキサメタゾン(VRd)」治療に「ダラキューロ」の上乗せを選択することで、4年無増悪生存率の向上が期待できる ...
【MIDAS試験】6月3日、NJEM誌に発表されたMIDAS試験によって、移植適応のある多発性骨髄腫治療は新時代を迎えそうだ。移植適応の新規診断多発性骨髄腫の寛解導入療法としてIsa-KRd(サークリサ+カイプロリス+レブラミド+デキサメタゾン)4剤併用療法を選択することで深い奏効が達成された。さらに、微小残存病変(MRD)を評価指標とし、その後の自家造血幹細胞移植を省略できることを証明した。寛解導入後にMRD陰性(10 -5未満)を達成した人における自家造血幹細胞移植の有用性は示されず、MRD陽性(10 -5以上)であった人においてタンデム自家造血幹細胞移植の優越性は示されなかった。
MIDAS(NEJM) 65歳以下で移植適応の多発性骨髄腫と診断された人が「サークリサ+カイプロリス+レブラミド+デキサメタゾン(Isa-KRd)」による導入療法後MRD陰性(10-5)であった人が次の治療を考える場合、「自家造 ...
1.7 くすぶり型多発性骨髄腫
M蛋白を有する例において、骨髄検査で10%以上の単クローン性形質細胞を認めるものの、CRAB症候やSLiM基準を満たさない例は「くすぶり型多発性骨髄腫」と定義されている。最初の5年では年10%、次の5年では年3%、その後は年1%の割合で症候性多発性骨髄腫に進展するが、高リスク例では比較的早期に進展する。
11月20日、「ダラキューロ」が「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫」を対象に承認された。 日本骨髄腫学会は、本治療が有益となる対象症例は慎重に判断すべきであり、Mayo 2018リスク分類のHighリスク例などに限られるべきであると提言している。
2025年11月20日、「ダラキューロ」が「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫」を対象に承認された。 【承認申請日】 2025年2月14日 【承認申請日】 2025年11月20日 【効能及び効果】 高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延 【さらに詳しく】 ダラツムマブ、「 ...
AQUILA(NEJM) 高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫と診断された人が初めての治療を考える場合、「ダラキューロ(3年投与)」治療を選択することで「経過観察」を選択した場合を上回る5年無増悪生存率、5年生存率が期待できる。 【発 ...
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